2014年8月23日映画「薄化粧」あらすじ・鑑賞 | 芸術家く〜まん843

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妻子を殺した上に刑務所を脱走した男の生きんがための逃亡生活を描く。実際の事件に基づいた西村望原作の同名小説の映画化で、脚本は「危険な女たち」の古田求、監督は「櫂」の五社英雄、撮影も同作の森田富士郎がそれぞれ担当。

昭和23年、ある山奥の鉱業所。坂根藤吉は坑夫として鉱山で働き、妻ふくみ、息子喬と3人で暮らしていた。そんなある日、鉱山で落盤事故が発生しその補償問題で鉱夫の代表として会社側と掛け合った坂根は、逆に多額の裏金を会社側から掴まされてしまう。坂根の運命の歯車が狂いだしたのはこのときからであった。裏金を元に金貸しをはじめた坂根は、事故で夫を亡くした地所テル子に接近、親密な仲になる。そして、このことが原因で妻ふくみと一人息子喬を次々と惨殺。また、坂根は金を貸しているのをいいことに仙波徳一の妻すゑとも肉体関係を結び、すゑの一人娘弘子にまで手を出そうとする。しかし、弘子は坂根からたくみに金を引き出したあげくに、鉱業所の課長と結婚してしまう。小娘に翻弄されたことに気づいた坂根は、弘子の婚礼の夜、ダイナマイトを持ち出し、仙波家を木端微塵に吹き飛ばしてしまった。この爆破容疑で逮捕された坂根は、真壁刑事、松井刑事の執拗な追求に合い、ふくみ・喬殺しも発覚。留置場に入れられた坂根は突然、隠し持っていた剃刃で自殺をはかるが奇跡的に一命はとりとめた。昭和27年、坂根は刑務所を脱走。以後、素性を隠しながら各地の飯場を転々と渡り歩く、流浪の旅が続いた。一方、警察側も坂根逮捕に全力をあげ、真壁刑事が追跡を開始した。そんな逃亡生活の果てに、坂根は一人の薄幸の女・内藤ちえと巡り合う。坂根にとってちえは、初めて出会った菩薩のような女であった。ちえも坂根に強く魅かれ、やがてふたりは自然に親密な関係になっていった。ある日、ちえは照れる坂根に無理矢理、眉墨を引いた。最初はいやがっていた坂根だが、鏡を見るとそこには全く別人の自分があり、以後、出歩く時には必ず化粧をすることにした。しかしそんなふたりの仲も、捜査の輪を刻一刻とせばめる警察によって引きさかれてしまった。ちえは金持ちの旦那のところにかこわれ、坂根はまた旅へ。彼女は坂根の素性を風呂屋の手配書を見て全て知っていた。だが、坂根に強く魅かれるちえは別れる時に、彼に住所を教えた。そして、ちえのことを忘れられない坂根は彼女の元へ。久し振りにほんのつかの間の逢瀬をたのしんだ坂根はまた旅へ出るため夜のプラットホームへ行き、便所で化粧をすませでてくると、そこには彼のあとを追ってきたちえがいた。そしてふたりでの逃亡がはじまろうとした時、突然、警察のサーチライトが一斉に点灯した。

◆キャスト
緒形拳(坂根藤吉役)
浅利香津代(坂根ふくみ役)
川谷拓三(真壁一郎)
大村崑(松井捨蔵役)
浅野温子(地所テル子役)
宮下順子(仙波すゑ役)
松本伊代(仙波弘子役)
藤真利子(内藤ちえ役)
竹中直人(氏家正肋役)
花澤徳衛(渡辺鉄治役)
柳沢慎吾(明賀英之役)
小林稔侍(森谷役)
菅井きん(とよ役)
萩原流行(立石役)
笑福亭松鶴(上瀧役)

◆スタッフ
監督:五社英雄
助監督:南野梅雄
脚本:古田求
製作:升本喜年、遠藤武志、西岡善信、宮島秀司
プロデューサー:徳田良雄、高橋泰
撮影:森田富士郎
音楽:佐藤勝
美術:西岡善信
編集:市田勇
録音:大谷巖
スチル:小山田幸生
照明:美間博

原題 Tracked
製作年1985年
製作国日本
配給 松竹
上映時間124分

時間がシャッフルされて描かれている。私は説明過多嫌いのシャッフル好きだから問題はないが、時系列を自ら繋いで観る必要がある。役者はそれぞれいい味を出している。実際の事件を元にしていることにびっくり。

◆実際の事件とは?
昭和25年(1950)10月、別子銅山の社宅で爆発事件が発生。 さらに床下より、子供を抱いた状態の妻子のミイラ化死体が発見され一大事件となった。 犯人は同一犯でしかも刑務所から脱獄して再逮捕されるまで長期間にわたり社会不安を煽った。今はすべて取り払われて更地となり山根運動公園に生まれ変わってはいる。

緒形拳はやはり怪優だ。ろくでなしの女好きだが何処か憎めない次々と殺人を犯す坑夫を見事に憑依し演じている。狂気に迫る表情や雰囲気だけで場面を見せない殺しの方が背筋が寒く怖い。