「粋な計らい」とは、これ見よがしの感動ではなく、ふんわりと染み入るようなものだと私は思います。例えば、「うわ～びっくりした！ありがとう」というサプライズ的なおもてなしではなくて、「今日は好みを一切言っていないのに、偶然好きな寿司ネタばかり出てきてラッキーだった」と、相手が偶然に起こったことをハッピーだと思い込むような、さりげないおもてなしです。自分という気配をできるだけ消して、相手からの反応をまるで求めないような行為が出来る人は、粋です。そして、今日も「粋な計らい」はあちこちで起こっているけれど、「粋な計らい」をされた人はそれを知らないのです。
和田裕美