曇り空がつづいていますね。
今日の夕刻に空を見上げると、終末の色をしていたのが印象的でした。
さて、来る10月22日。
今年は何かと注目を集めるこの日ですが、わたし自身ある別のことに思いを馳せる日でもあります。
この日は「中也忌」です。
教科書にも載る詩人ですから、意識せずとも一節耳にしたことはあるでしょう。
わたしは中也の詩が大好きです。
数奇な運命をたどり、また若くしてこの世を去った”夭折の天才”の作品をひとつ紹介しようと思います。
空の色を、想像してみてください。
(表記は集英社文庫『汚れちまつた悲しみに…… 中原中也詩集』に拠りました。)
北の海
海にゐるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。
曇った北海の空の下、
浪はところどころ歯をむいて、
空を呪ってゐるのです。
いつはてるとも知れない呪。
海にゐるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。