一般病棟にて…その11/足指が動いた日 | 窓のむこう

一般病棟にて…その11/足指が動いた日

2007年9月6日…入院20日目。

右足指は冷たい彫像のように動かなかった。
自分の意志ではけして動かなかったが、
触られている感覚はあったので家族に足のマッサージをされる時に、
くすぐったいのでピクン!ピクン!と無意識に反応する。
「今のは僕の意志じゃないよ」
今日も動かず。

右手が微かに動くようになってから数日。
たしか朝方だったように思う。
その日は、9時の回診前に一人病室でリハビリをしていた。

右足に力を込めると、
今まで頑に動かなかった右足の親指がむくっと起き上がった。

あれ?
動く。動くぞ!

喜び勇んで回診で病室に来た主治医K先生に
足指が動くようになった姿を見せた。

「動いてますね。
 親指だけじゃなく、基本全ての指に力が入ってますよ」

足指に力を入れると、
それを証明するように指の筋がピンと張るのだ。

やった!やった!
歩ける日も、もしかしたら間近かもしれない。