★馴れ初め前編★





あっくんと付き合ってから
気付けば2週間が経っていた。


多忙なあっくんは朝から晩までの仕事のスケジュールが続いていた。


デートをする時間などは未だ全くなく、
会えるとすれば父のお店で私が働いている日に少し飲みに来てくれて顔を合わせるくらいだった。



しかし、父はまだ付き合っている事を知らない。



変な緊張感の中で、あっくんのお酒を作りに行くたびにこっそりとギュッと手を握るのが私たちの唯一の楽しみになっていた。



たまに来る電話と、毎日のメールでお互いの状況を報告しあった。




付き合って2週間が経ち
私は仕事が休みの日曜日が来た。


もちろんあっくんは今日もお仕事だ。



暇な日曜日はなんだか寂しい。


するとママからのお誘い。


“横浜に用事あるから一緒に行かない?“



そうだ、
ママにまだ報告をしていなかった。

お出かけのついでに報告もしよう。


“うん、行こう!“



準備をし、ママと横浜へ向かった。

お腹が空いていたから
先にランチをする事にした。


“せっかくだから中華街でも行こうか!“


と2人で話すも空腹が限界を迎え、
目の前に見つけたファミレスに入る事にした。



注文をし、ママがトイレへ。


私は見ていなかった携帯をふと見る。
 

あっくんから
着信が入っている!!!



急いであっくんへメールを送る。



“ごめん!電話気付かなかった!どうしたの?“


“おつかれさまー。今何してるかなと思って。“


“今!?今はママとご飯食べてるよ!“


“そうなんやーいいねー。“


“なにかあったの???“



“今日これからの仕事なくなって午後からオフになってん!“



“オフ?“



“うん、休みやねん。あゆみちゃん空いてたらデート行きたいな思って連絡したんやけど忙しいやんな?“



オフってお休みのことね!言い方オシャレ!



ここでママがトイレから帰ってくる。

ママにはこれからランチしながらゆっくり報告するつもりだった。


しかし、、このタイミングでの
あっくんからの緊急連絡!!!!!


“空いてるよ!“



そう返信してしまっていた。






私は焦りながら
唐突にママへ話しはじめた。



“ママ!!!!“


“え!どうしたの!?“


私の真剣な顔にビックリするママ。




“実は石田さんと付き合ってる!“






“・・・だれ?“


オーマイガー!!!!!!


ママはあの石田さんとは思っていない。
固まってハテナな顔で首を傾げ私を見ている。



“NON STYLEの石田さん




“えーーー!?“

もう、絵に描いたようなリアクション
ドラマのワンシーンのような驚き方と声を出す。



“で、ごめん。
色々話したいんだけど石田さんこれから空いてる?って聞かれて空いてるって答えちゃった“



“えーーー!?“

メニューをチラ見しながら
また先程と同じリアクションをするママ。



“ご飯は食べていくよ!ごめん、いい?“



するとママは、


“ママ嬉しい!!石田さん素敵な人だと思ってたから付き合ってくれて嬉しい!やだーもう!いいなー!え、いつから付き合ってたの?え、あの連絡取った時にまさか、、!?“



グイグイと聞いてくる。


ある程度の経緯を話しながら
私は熱々のドリアを早食いする。



するとあっくんからのメール。



“やったー。ほなデート行こか。どこにおるん?“


“今横浜!中華街の近くだよ!“


“おー現場からめっちゃ行きやすいわ。ほな向かうねー。30分くらいで着きます。“



やったやったやったった♪


これ、友達と遊んでる時だったら断ってただろうし、ママには悪いけど横浜デートしたかったし、最高にタイミングが良い!場面デートだ!




そして、食べ終わってお会計をすると
ママは気を利かせたのかお買い物に先に向かった。


せっかくなら会えば良かったのに、、

“こんな格好じゃ会えない!“

とそそくさと去って行った。
さすがのプロのミーハーだ。



しかしママ、ありがとう。ごめんね。





そうして少し早く出た私は中華街へ向かった。



“中華街に行くね!どの辺が分かりやすいかな?“


“中華街駅の出口から出るよ。“


“え?電車で来てるの!?“


“え?もちろん“


勝手なイメージだけど芸能人って運転手付きの車で助手席には乗らず後ろに乗ってこっそり登場するものだと思ってた。


なにこの庶民派親近感。


一気に気が楽になり、またあっくんへの好感度が上がった。



そして待ち合わせ場所で待っているとあっくんが現れた。


遠くから堂々と思いっきり手を振っている。

小さく手を振り返す。



“おまたせ。“


“ううん、忙しいのにありがとう“


“ううん。あれ?お母さんは?“


“もうお買い物に行っちゃった“


“そっか。挨拶したかってんけどよろしく伝えてな“


ママへ優しい配慮をしてくれたのも嬉しかった。




“中華街来たことある?“


“うん、ロケで一回“


“すご!やっぱ芸能人だ“


“ん??“


“ううん。“



そして自然と手は繋げず、
微妙な距離感で中華街を歩き始めた。


お腹いっぱいなはずなのに
中華街の雰囲気に食べ歩きをしたくなる。


“うわ〜この路地最高だね!“

“ほんまやな!こっち行っちゃいます?“


とにかくあっくんとは路地の趣味が合いすぎる。




路地の中で小籠包屋さんを見つけると、


“うまそ〜!!!“

“美味しそう〜食べようよ!“

とザ!デート感満載な雰囲気に。




“熱いよ“

店員さんがそう言い小籠包を渡してくれた。



“あっくんから食べて“


“俺、これ食べるのうまいねん“




すると一気にかぶりついた。


その瞬間!!!



ピューーっと小籠包の汁が飛んできた!



“あっっつ!“


思わずとっさにヤンチャな声が出る。


熱そうにしながら飛ばしてしまった事にめちゃくちゃ焦っているあっくん


“アハハハハハハー!!!!“


その姿を見て私は笑いが止まらない。

あっくんはひたすら熱さと申し訳なさであたふたしている。


ジェスチーでごめんのポーズをしてくる。
それがまた私のツボに入り更に笑いが止まらない。


気付けば待ち合わせたばかりの緊張はなくなり楽しいデートとなっていた。



そして歩いていると神社を見つけた。


“行ってみたい“

“おー行こか!“


長い階段を登り神社のお参りにたどり着いた。

“はい、お賽銭“

“あ、ありがとう“

さりげない優しさですぐにお賽銭を差し出してくれた。

そしてお賽銭を入れて、手を合わせ目を瞑る。


“(ずっと一緒に居られますように)“


心の中で早口で唱え目を開け横をみると
まだ目を瞑りなにかをお願いをしているあっくん


なぜか私も、もう一度目を瞑る。

チラッと横を見るとあっくんはまだ手を合わせ目を瞑っている。


クスッと笑うとあっくんは目を開けた。


“お願い、出来た?“

“めっちゃしちゃったわ“


何をお願いしたのかはお互い聞かなかった。

そうして上がってきた長い階段を下る。


すると、、


“大丈夫?“

と手を差し出してくれたあっくん

とっさに手につかまった。

“大丈夫、ありがとう“


何気なく手を繋いだ。
階段を降りてからも離さずそのまま繋いで歩き始めた。

この時の緊張はお互いに伝わっていた事だろう。



そして再び路地へ入り歩いていると、


“占いしてますよ🔮いかがですか?“


と声をかけられた。



“占いしたいんだけど!“

“え!?ほんまに!?“

“あまりしたことない!“

“俺も。。入ってみる?“


そんな会話をして占いの館に入った。



金運、仕事運、健康運、恋愛運、結婚運


色々な項目があったが
私たちは全体運を選んだ。


本当は恋愛運だけで良かったんだけど
なんかそれは少し気まずかったから。




生年月日などを書き鑑定スタート。


すると突然占い師さんから、、



“あなた達とても相性いいわよ“


と言われる。とまどう私たち。


そして占い師さんは更に続けてこう言った。






“あのね、
あなた達2012年に結婚する。

いや、絶対にした方がいい。“




あれ?今は何年だ?今は、、、




















2012年2月だ。










2012年は

残り

後10ヶ月。







はいっ!?





結婚までのカウントダウン編★


続く。



ほいでは!