Junk days

Junk days

ネパールのタメルというジャンクな街に住み着いて、ジャンクな日常に圧倒されるジャンクなひとのお話

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タメルで散歩していると「チョコ?ハッパ?」と声をかけられる

声をかけられても無視していたのだが、その日は退屈してたので「いらない」とネパール語で返事してみた

 ネパール語わかるのか!いいマリファナあるよ
  マリファナ嫌い、いらない
 じゃあヘロイン?マジックマッシュルーム?
  嫌い嫌い、いらないよ
 女はどうだ?いい店紹介するぜ!
  いらないってば
 今からどこ行くの?
  メシを食いにいこうかなぁ
 おれ、3日もメシ食ってないんだ!
  ふーん
 頼むからオゴってくれ!!

彼を餃子の店に連れて行くことにした
餃子2人前とコーラを注文してあげると、彼はベラベラと語りだした

 おれの名前はAっていうんだ!シーズンの時は山のガイドをして、オフシーズンはクスリ売ってんだ。でも全然もうからなくてさ、、、 山登るときには声かけてくれ!一緒に山登ろうぜ!!

絶対嫌だよ!こいつと山登りたくない!!と思ったが、小心者なので口にはださなかった
その日から、Aにつきまとわれるようになった
会うたび適当にあしらってたのだが、ついに決心して話すことにした

 もうおごらないって!あの時の1回限りだ
  兄貴、そんなこというなよ
 誰が兄貴だ!だいたいAはいくつなん?
  28だよ、兄貴
 俺より年上じゃないか!とにかく、もう兄貴って呼ばないでくれ
  いーや、年の問題じゃない。兄貴は兄貴だ

 、、、わかった。兄貴でいいよ
  うん!
 僕は君の兄貴だね?
  うん!
 君は餃子が好きだね?
  うん!
 餃子をおごってくれる人は好きだね?
  うん!
 だから僕のことを兄貴って呼ぶんだね?
  うん!、、、いっ、いや、違うんだ!誤解だ!!
 もういいって。もう俺ににかまうなよ
  、、、うん



それから数年後。近所で商売している気のいい兄さんと路上のチャイ屋に行ったら、メシをたかってくるAがいた
ニタニタしながら「兄貴、、、」と声をかけてくるのはいつも通りだが、あきらか様子がおかしい。ガリガリにやつれていて目の焦点もあってない。おまけに左右にフラフラとゆれている

 おぉ、イシダ!Aを知っているのか?
  前にメシをおごったことがあるんだ
 昔、おれの子分だったんだよ。こいつさぁ、昔っからロクでもないんだよね、勝手に商品使い込むしさぁ
  、、、(そういえば彼は元ギャングって言ってたよな、忘れてた)
 まぁ、クスリがいるときはこいつに声をかけてやれよ!

爽やかな笑顔で話しながら、突然Aの顔面を殴りだした
殴りながらも爽やかな笑顔の元ギャング、殴られても呆けたようにヘラヘラ笑っているチンピラ
ヤバい!ヤバいけどこの空気に飲まれちゃダメだ!!
そう思い、チャイを一口飲んで笑顔を作って話しかけた

  もうやばそうやな。手とかプルプルしてるやん!
 こいつ、新しいクスリに手をだしてるからな
  もう半年後には死んでるんちゃう!?

場の空気をなごませようと、ブラックジョークを言ってみた

 はっはっは!イシダ、3か月だ!!あのクスリでこの調子なら、もう3か月ねえよ。半年は無理だな、はっはっは!!

爽やかに笑いながらAの腹を蹴る
Aは地面にうずくまりながら、モゴモゴ言いながらもニタニタ笑っている
怖い。空気に飲まれてしまい、ひきつった笑顔で固まってしまった

人間、怖すぎると笑ってしまうもんなんだね。あの時は笑えなさすぎて笑えてきたよ。