危ない通学路 | 事件鑑定人のブログ@鑑定人イシバシ

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私が事件鑑定人としてこれまで経験したことを書きます。
特定を避けるため、一部、ぼかしたりフェイクもありますが、概ね実体験です。

とある、小学校のPTAからの要請で通学路の危険性にまつわる意見書を求められた。
現地を見たが、確かに道幅は狭く、交通量は多い道路である。
どうやら幹線路の抜け道として作用しているようだ。
朝夕は幹線路の混雑を避ける車がひっきりなし。
見るからに危険な道路で、 「事故が起きたら」 という親御さんの心配もごもっともである。
しかし、私はその道路は危険ではないと判断した。
何故かと言えば、見るからに危険だからである。
危険に見える道路ほど、運転者も歩行者も注意するので逆に事故は少ない。

サソリやムカデが飼われている飼育箱に素手を突っ込む人がいないのと同じ理屈である。
現に、スピードガンで測ると、走行する車両の速度は40km/h未満。
道路の幅員が狭いので、あたかも速度がでているように感じるだけだ。
念のため、過去に起きた事故を調べてみたが、朝夕に事故は殆ど起きていない。
通学時間帯の事故も、双方の車両が自走できる軽微な物損事故。
運転手同士が、怒鳴り合うか、つかみ合いができる程度の事故である。

ある程度、速度が出ていれば、事故後に怒鳴り合ったりつかみ合う余裕などない。

怪我がなくとも、茫然自失として、意味不明の事を呟くのがデフォーだ。

私は、過去の事故発生状況については、行政が公開するべきだと思う。
可視化すれば、どの路線が危険か、住民自身が判断できるからだ。
危険を承知していれば、存外事故は起きない。
現在、この取り組みを行っているのは静岡県警である。
http://www.machi-info.jp/machikado/police_pref_shizuoka/app/app_accident.html
こういった取り組みができるのは、警察を擁する都道府県レベルだ。
市町村レベルだと、できないことはないが、警察との連携に手間取ってしまう。
静岡県の場合、議会承認を経て、情報公開のインフラを整えた筈だ。
この様な情報発信インフラを整備するには、都道府県会議員への陳情がモノを言う。
事故情報開示のインフラが欲しいのであれば署名を集め、陳情してみては如何だろう。
一票の選挙権こそが、子供の安全を守る、武器である。