現職は前職とは全く違う業界です。

製造業という点では同じですが、作っているものも、扱うものも違います。

そして何より、職務内容が違います。

自分は2000年に社会人になり、2015年まで設計職でやってきましたが、現職は町工場のNC旋盤工。

どちらにも共通するものは図面。

今日は図面についての私の考えを書こうと思います。

 

設計者は実際に物を作る人ではありません。

頭の中にあるイメージをCAD上で表現し、それを実際に製品として成立させるために、各部品の詳細を記した図面を起こしていきます。

図面には設計者の思いと魂が込められています。

設計者が去っても、図面さえあればそのものを作ることができるよう、全てが記載されていなければいけません。

モノづくりにおいて、(2Dであれ3Dであれ)図面は絶対です。(と、私は思っています。)

 

したがって、設計者(製作を依頼する側)は図面に書かれていること以上を要求することはできませんし、してはいけないのです。

 

逆に、加工業者(依頼を請け負う側)は図面で書かれていること以上のことをする必要はありませんし、余計なことをしてはいけないのです。

 

しかし、現職場ではこの図面の扱いがあまりにもひどい。

設計者目線では、許し難い。

勝手な図面の解釈。加工者側都合の図面指示を無視した加工。などなど。

図面に記される形状に矛盾がある等の問題があるのであれば、勝手な解釈をするのではなく、設計者に確認し図面の修正をお願いしなければいけないし、加工都合で図面指示の形状ができないのであれば、その旨を伝えて加工可能な形状への設計変更の検討をお願いするなどしなければいけない。

そして、製作を依頼してくるメーカーの設計者のレベルもあまりにも酷い。

図面指示以上の精度要求は当たり前。問題に気付いても図面修正をしない。口頭で済まそうとする。

設計変更の手続きが面倒なんでしょうが、気付いた時に修正しなければ、設計者が去ったあとに混乱が起こるのは必至です。

メーカーに残るのは老いぼれた設計者ではなく、図面です。図面が部品の詳細を語り、後世に伝えるのです。

 

この両者は、図面の重要さがまるで分っていない。

これで今までやってきたことに、驚きです。

というか、その程度のモノづくりしかしてないんでしょうね。

「ものづくり大国ニッポン」なんて言うのは幻想です。

15年間設計者としてやってきた私にとっては、ここは地獄です。

図面に対する敬意は全く存在しません。

むしろ馬鹿にしている節があります。

 

私が転職を決意した理由の一つがこれです。