私たちの生活は、これまでのイノベーション(産業革新)によって大きく改善され、豊な暮らしができるようになってきました。
具体的には、蒸気機関が1780年ころ(ジェームズ・ワットなど)、電気が1879年頃(エジソンなど)、電話が1876年頃(グラハム・ベルなど)、自動車が1885年頃(ダイムラーなど)、テレビが1928年頃(アメリカ合衆国のテレビ実験放送など)からです。家電があって、車があって、通信機器があるいまの暮らしは、これらのイノベーションのおかげなのです。
ところで、これらはすべて戦前の発明です(第二次世界大戦終戦は1945年)。
今年(2023年)は戦後78年になりますが、この間に新しく登場した大きな産業革新がコンピューターを代表とするデジタルです。世界最初のコンピューターと言われるENIAC(エニアック)が作られたのが1946年、最初のマイクロプロセッサーチップであるi4004(インテル4004)が登場したのが1971年です。それ以来、コンピューターは加速度的に進化し、現在のパソコンやスマホが誕生しています。それと平行して本書で解説しているデジタル技術全体も発展してきました。
ここで重要なことは、戦後に新しく生まれたイノベーションはデジタルだけだということです。バイオテクノロジーやナノテクノロジーなども新しい革新的技術ですが、我々の日常に大きなインパクトを与えるという意味ではまだ開発途上でしょう。新しいイノベーションがあるからこそ、そこに新しい産業が生まれ、私たちはその製品やサービスの恩恵を受けて豊かになれるし、結果として経済が発展していきます。
もし、ビジネスで大きな利益を求めるなら、また新しい産業を創出しようとするなら、デジタルを使う必要があるということです。デジタルはまだ発展途上にあるので、それをうまく使えれば一攫千金も夢ではないでしょう。これ以外のイノベーションは発明からすでに100年以上も経過し、大方のことはやり尽くされていて、先行者に陣地を占領されていて、大きく成功するのはとてもむずかしいでしょう(やる価値がないという意味ではないのでご注意を)。たとえば、新しく自動車製造の会社を作ったとしてもトヨタを超えるのは至難の業でしょうが、デジタルを活用したテスラはある意味でトヨタを超え始めています。
マイクロソフト、アップル、アマゾンやグーグルなどがITジャイアントと呼ばれ巨額の利益を上げているのはご存知の通りです。残念ながら、日本からは世界レベルのITジャイアントは生まれていませんが、日本の成功企業の1つの指標とも言えるプロ野球球団に新規参入しているのが、ソフトバンク、楽天、ディー・エヌ・エーなどのデジタル活用企業であることは、その錬金術ぶりを表していると言えそうです。
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