香港が、忘れられない。
何度も何度も、私の中で蘇る。
何かが、おさまっていない。
綴らなかったからかもしれないと想い、
ちょっとずつかもしれないけれど、
あの時のことを書いてみることにした。
到着したのは、とっくに夜中。
鮮やすぎる色で縁取られた高層ビルを、もやりとした窓越しに見た。
最後に訪れたのは、
飛行機が不時着したとき。
小学校のとき、日本へ帰る途中のこと。
空気がとにかくまとわりついてきて、
日本人みたいな人たちが日本語でない言葉をしゃべっていて、
発ったばかりのタンザニアよりも、
よほど異国だった。
それがなぜなのかを確かめに来た、そんな旅だった。