「観光・文化振興」
温泉観光地はかつては社員旅行など団体旅行が主体でしたが、社会そのものが変化し、旅行スタイルが個人旅行へと変化してすでに多くの時間がたっています。
かつては比較的年齢層が高いといわれた温泉観光地も客層が大きく様変わりし、20代~30代の観光客が増えています。
近隣では草津温泉がここ数年、若年層の人気を集めています。熱海も客層が若返っています。市が誇る伊香保温泉もこの流れにあり、客層が以前と比べて若返っていることに気づかれている方も多いと思います。
さまざまな要因があると思いますが、象徴する言葉で言えば「エモさ」「映え」もその一つだろうと思っています。
伊香保でいえば、象徴の石段街はノスタルジーを感じさせます。今夏、最新作の劇場版が公開され、興行収入の記録を塗り替えそうな勢いで話題を呼んでいる「鬼滅の刃」の世界観、大正時代の郷愁を彷彿とさせる風景にも思えます。
さらに石段街の風景は、画像を見ればどこにいるかがわかりSNS時代にマッチしています。
コロナ禍で海外旅行に出かけられず、若者の目が国内旅行に向いた面も大きいと思われます。
伊香保温泉では、さらにその魅力をアップしようと2021年度に観光庁の補助事業である「既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業」を実施しました。火災で焼けた廃墟ホテルの撤去や旅館やホテルなどが、客室を改装し高付加価値化し、魅力度を高めています。
伊香保の今後の方向性ですが、温泉街全体のテーマパーク化。
訪れた方によりノスタルジーを感じてもらい、「没入感」を感じてもらえるような取り組みが必要だと考えています。
また、伊香保でマイクロモビリティ、特定小型原動機付自転車の実証実験を行いましたが、こうした旅行者が気軽に乗れる交通手段の導入も必要だと思われます。
もちろん、これは行政が一方的に行う取り組みではありません。渋川伊香保観光協会をはじめとする関係する方々と緊密に連携を続けていきたいと思います。
インバウンド誘致ですが、これは難しい課題です。
国際空港から遠い県内では入込数が過去最高の400万人を記録している草津町でもインバウンドは5%以内と苦戦しているようです。
生成AIの発達で、SNSを使った情報の発信自体は難しいことではなくなりました。差別化を図らなければならず全国、全世界が競合関係にあります。そもそも発信さえすれば来てくれるというものでもありません。
ただ、鍵となりそうな事例はありそうです。
県内では台湾との積極的な交流を続けてきたみなかみ町がある程度、インバウンドの成功例といえそうですが、これは9年間にわたって職員を派遣するなど例外的な取り組みを行っています。
嬬恋プリンスホテルは宿泊客の8%がインバウンド客と、県内の中では高率です。その多くを占めるのは台湾人客のようです。アウトレットを抱える軽井沢から草津に抜ける好立地にあります。さらに露天風呂は女性客が湯あみ着を着用して入浴するというスタイルが台湾の温泉の入浴スタイルにも合致している面があると考えられます。
では、渋川はどうでしょうか。水澤に台湾の仏教寺院の仏光山があります。海外寺院であるばかりではなく、その景観の良さからすでに観光地化しているのは、ご存知の方も多いかと思います。館内には「素食」と呼ばれる台湾精進料理の店もあります。熱心な仏教徒が多い台湾は、世界の国・地域でもトップクラスで菜食主義者が多いところです。これらの人々は、食事上の制限から海外旅行を困難にしています。
精進料理を提供する仏光山の存在は、新たな海外客の掘り起こす可能性があります。
先日、北橘町で、火を通さない野菜だけの料理を提供するお店で食事をしましたが、こうした観光資源となりそうなところが市内にはまたまだあるはずです。
一般的に1人当たりGDPが5000~1万ドルになると、海外旅行志向が生まれるといわれます。そのような新たな市場となる地域の対策も必要でしょう。ベトナムは現在、4500ドルでそのラインに近づきつつあります。最大の経済都市のホーチミン経済圏はすでにこの数字を上回り、1万ドルに迫りつつあります。本県は全国でもトップクラスで、ベトナム人の多い地域ですから、新たな市場にアクセスしやすい環境にあります。
いずれにしても、インバウンドは国内各地域が競って獲得を行ってきました。
それだけに年々、専門性が求められ、そうした人材の育成も必要となってくるでしょう。
また、文化振興については、各地域に大切に受け継がれてきた文化があります。そういった思いを次の世代に大切につなぐ取り組みをしっかり支援していきたいと思います。
渋川市美術館のさらなる活用も進めていきたいと考えています。