古事記の冒頭

 

「天地」初めてひらけしとき

高天原になりませる神の御名は

天之御中主神~

 

古事記でどこが大切かと聞かれたら、

この冒頭の一文だと回答します。

 

そして、一番大切な言葉は?と聞かれたら

迷わず「天地(あめつち)」と答えます。

 

しかし、この天地を説明するのがとても難しいのです。

言語化して説明すればするほど、違ってきてしまう…

 

かつては普通に使われていました。

【明治天皇】

とこしえに 国まもります

天地の 神のまつりを

おろそかにすな

 

【井上正鐵】幕末の国学者、神道家

天地の御恩 日夜に忘れぬは

神道のはじめと 奉存候

 

【吉田兼倶】

神道に書籍なし。

天地をもって書籍となし 

日月をもって証明となす。

 

明治時代にスペインと交わした外交文書にも天地が…

どんな風に訳されているのか知りたいです…

いずれにしましても、

かつての日本人には

この「天地」と聞いただけで、

なにか感じる感覚があったのでしょう。

 

他にも、江戸時代には伊勢神宮のお札が

全国の世帯の9割に普及していたのも理屈を超えていると思います。

今だと「伊勢神宮のお札をお祀りしませんか」と勧めたら、

「どうして?」と聞かれると思います…

 

かつての日本人には、

説明しなくても感じる

「共通認識」があったようです。

 

ちなみに「天地」については、

今の日本人にも無意識のうちに理解できることがあります。

使ったり、聞いたりする場面はなかなかないですが…

 

天地神明に誓って…

 

これを聞いたときに、「天地」て何よ?て聞き返す人はいないと思います。