翌寛政3(1791)年、釣船清次をモデルにした人物が登場する、当時のベストセラー作家山東京伝黄表紙箱入娘面屋人魚(はこいりむすめめんやにんぎよう)』が刊行されます。

 

黄表紙は大人向けの絵入り本で、歴史や伝説、芝居や当時の流行風俗などのパロディで、庶民に笑いの娯楽を提供していました。

 

 

そのストーリーですが、清次をモデルにした釣舟平次という人物が品川沖で漁をしていた時、舟に娘の人魚が飛び込んでくる。

 

二人は結婚し、いろいろあった末に人魚をなめると若返るという商売をはじめて繁盛し、人魚も皮がむけて人間の姿になり、夫婦は大金持ちになり不老不死になっていつまでも幸せに暮らす、という内容になってます。

 

 

話の中で、疫病除けのお札を求めて平次の家にお大勢の人々が詰めかけるシーンが描かれていて、当時の釣船清次の人気のほどがうかがわれます。

 

出版といっても、江戸の内輪受け的内容が多かった黄表紙は、江戸っ子の間では大流行したようですが、地方へは江戸土産として喜ばれる程度にとどまったようです。

 

 

 

この箱入娘面屋人魚』は現代でも超訳でタイトルを変えて出版されてます。

 

 

原文と現代語訳はこちらに収録されてます。

 

 

お江戸ルほーりーさんが動画でも紹介しています。