瓦版にある人魚のご利益はこれまでみてきたように

 

①不老長寿。寿命がのび、長生きできる

②疫病の災難をまぬがれる

 

この2つがあります。

 

 

一方、江戸時代までに信じられていた人魚の一般的なご利益は

 

人魚を食べれば痴呆症にならない。(中国『山海経』)

人魚の膏(あぶら)は燃やしても尽きない。秦の始皇帝陵の灯火に使われている。(中国『異物志』)

 

オランダでは人魚の骨を解毒の薬としていて、効能がある。(『和漢三才図絵』寺嶋良安1712年)

人魚の骨は下血を止める妙薬である。(『長崎見聞録』広川獬1797年)

 

等々があり、また文学作品である『南総里見八犬伝』(曲亭馬琴1814-1842年)には

 

「人魚の肉を食べるときは寿命は三千年を保てるが、膏油(あぶら)であれば年齢を延ばす効能はない。

しかしながら、これを灯火にするときは風雨にも消えることなく、日月の光と同じに輝く。

また、人の身体の目鼻口耳へそ肛門、九つすべての穴に塗って水に入れば、たとえ大寒の日であってもなお温かくて凍えることなく、波をくぐって海でも渡れる。

また、刀剣に塗るときは鉄を切り、ツノを突き破ることができる」

 

という効能が書かれています。

 

 

不老長寿のご利益は八百比丘尼の伝説から出ていますが、瓦版でうたわれている流行病、伝染病、疫病などの病難から守ってくれる人魚のご利益は、一般的な人魚の効能をみてもその理由がいまひとつはっきりしません。

 

いったいどんな根拠から疫病退散の功徳が出てくるのか、さらに調べてみました。