将門伝説と聖数“七”

将門伝説はなぜか“七”という数字と縁が深いです。

有名なのが掛け軸にもなっている将門には七人の影武者がいたという伝説や、影武者の墓といわれる千葉市の七天王塚や奥多摩の七つ石山や七塚、七騎塚など将門公が活躍していた関東地方に数多く、枚挙にいとまがありません。

前に挙げた『源平闘諍録』の千葉成胤の合戦においても、童子姿の妙見菩薩とともに勇敢に戦う七騎の武者が登場します。

講談社学術文庫版の解説には、「七」は妙見信仰の聖数であり、妙見信仰を保持した千葉一族が根付いた地方には七騎武者の伝説が多い、といいます。


柳田國男は『七塚考』の中で、“七”にちなんだ塚には、自刃した落武者や戦死者、殺害された人などの横死した人たちが埋められているとたくさんの例を挙げていて、その中に将門公の愛知県熱田の七塚も出てきます。

戦死した将門公の首は切られてさらし首になりますが、「胴体と一緒になってまた戦う」と宣言し、故郷の茨城県を目指して飛びましたが力尽きて途中で落ちたところが今の将門塚の場所だといわれています。