１ 江戸風水都市否定説 （２）

しかし、鈴木氏が問題にしている江戸における方位の問題は、中国風水学における、家屋などの向きから生気の所在を推測する「理気（りき）」の観点からのみの判断であり、もうひとつの側面である、山川などの地形からその土地の生気の有無を判断する「巒頭（らんとう）」からの判断は考慮に入れられていないので、鈴木氏の見解だけで、「江戸では風水は用いられてはいなかった」と結論づけるのは、少し早急すぎるかもしれません。

日本で良く知られている家相とかはこの「理気」からの判断であり、「巒頭」の見方は朝廷や陰陽寮でのみ伝わっていて、つい最近まで一般には知られていなかったのです。

したがって、「理気」の見方に偏ってしまうのは、ある程度やむを得ないことだと思います。


次に、江戸風水都市肯定説をみてみましょう。