先日、高木彬光『占い人生論』を読んでいて、こういう記述があるのを見つけました。

著者が処女作を何軒かの出版社に持ち込んだが受け入れてもらえなかったときのことです。

帰りに浅草寺でおみくじを引くと、その五言絶句に

「玉(たま)深石(しんせき)にかくるに似たり
故眼(こがん)を以って見るをやめよ
一朝良匠分たば
燦として宝光(ほうこう)の寒きを見る」

(宝石が石に隠れているようなものだ
目先だけで判断してはいけないよ
いつか見分けられる師匠が現れたら
その美しさが世間に知れ渡るだろう)

とあり、この詩には「玉」と「石」の文字も隠れていて、この詩にある「良匠」とは当時『宝石』誌上に随筆を連載していた江戸川乱歩を暗示していた、というものでした。

つまり、浅草寺のおみくじは内容の吉凶だけでなく、直接五言絶句の原文に当たることで読み取れることもあるのかもしれません。

 

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