『ヒロシ』#28
まさかのヒロシブームの中快く思わない奴がいた、そうヒトシである
今まで中心人物であったヒトシは静かなブームをつくってているヒロシが妬ましかった
今はヒロシのキャラクターでウケているが実際のところ笑いのセンスを持っているのはヒトシの方だった
なのでヒトシはオモシロくなるのも無くなるのも分析できる人間なのである
休憩時間ヒトシはヒロシに声をかけた
「よっ!人気者!」
「やめてくれよフフ…」
ヒロシは照れながら応えた
「ウケてるなあ、でもちょっともったいないかな?」
「!?…ど、どこが?」
ヒロシはムッとしながらも聞き返した
「お笑いって結構つっこんだりリアクションで笑い取るじゃん?だからヒロシもギャグ言った後自分でつっこんだらもっとウケるんじゃない?」
「でもオレ、ウケようと思ってねえし…」
「あ、ゴメン余計なお世話だったな!じゃ」
ヒトシはそう言って去っていった
「……」
ヒロシはヒトシの助言が気になっていた、なぜならヒロシもヒトシのセンスの良さをわかっていたからだ
そして再びクラスの男たちがヒロシをいじりはじめてきた
「キモシ、お前女性の下着はいてんじゃねえのか?」
その質問に一瞬ヒトシの助言を思い出した
「…はいてないよ、かぶってはいるけど?やめなさいって!ハハハ!」
「……」
すべった
男たちも改めていじり直した
「キモシの好きな飲み物は?」
「…アイスティー?いやパンティーかな?ヘンタイかっ!ハハハ!」
「……」
またすべった
知らぬ間に生徒たちは何かを思い出したように白々しく散っていった
教室の隅で女生徒に囲まれたヒトシはほくそ笑んでいた
「???」
ヒトシの策略にはめられたヒロシは気づかないまま再び暗黒の時代へと入るのであった。
つづく