-アゲインスト・ザ・群発-
ここまでの記事で何度か触れていますが、現在は群発頭痛に対して全く無力なわけではありません。
急性期治療薬、つまり痛くなっちゃってからでも症状を抑え込む特効薬や、群発期に入ってから飲む予防薬もいくつかあります。
ここでは代表的なものや、私が処方されている薬を紹介したいと思います。
有病率が低い群発頭痛では情報が少なく、自分に合った薬探しに苦心されている方も多く居るようなので、少しでも情報の足しになれば幸いです。
まぁ処方する薬はお医者さんが決めるのでそもそも我々がどうこうすることではないのですが…
特効薬
群発頭痛は一度発作が起こると経口摂取の鎮痛剤などでは抑えることが難しい場合が多く、その場合に用いられる代表的なものが以下の2つです。
・トリプタン系薬剤の皮下注射
読んで字の如く注射なのですが、少し前までは在宅自己注射が認められていなかったため、病院に行って打ってもらうしかありませんでした。
現在は自己注射が認可されており、注射のキットさえ手元にあれば発作が起きてからでも自分で症状を抑え込むことができます。
注射といってもよく見る注射器ではなく、ペン型の注入器にカートリッジを付けて、腕や太ももに押し当てノック式ボールペンのようにカチッと5秒ほど押すだけです。
多少チクリと痛いかもしれませんが、それで群発の痛みが収まるなら屁でもないですよね。
使い方は処方される際に練習させられますし、使用方法のDVD(!)もついてきます。
少し大きめのモバイルバッテリー程度の大きさなので携帯することも可能。
私も過去に「救急車呼びたくなるくらい痛くなったら使ってね」と、念の為イミグランの自己注射キットを処方されましたが、幸い予防薬がよく効いているので今の所出番はありません。
一度だけだったので正確な価格は覚えていませんが、2回分を1セットで数千円はしたと思うので、継続的に症状を抑えるのに使うには経済的負担はかなり大きいですね。
・純酸素吸入
もう一つの急性期治療が純酸素の吸入です。
医療法の純酸素を7リットル、15分ほど吸入することで(何がどうなるのかはよくわからないけど)、症状が改善されるそうで、純酸素は効くという情報は私もよく目にします。
こちらも以前は保険を適用するには病院に行くしかなかったですが、近年在宅酸素療法も保険適用となり、より身近になったようです。
発症してから出来るだけ早く吸入することが望ましいようなので、この改正は助かる方も多いのではないでしょうか。
こちらも幸いにもお世話になるほど症状が酷くなったことがないので今のところは経験していません。
(不謹慎ながらどんな感じで楽になるかはちょっと体験してみたい気はする…)
こちらは金額的なことは全く分からないのですが、物理的にもコスト的にもやはり継続使用は難しそうではあります。
予防薬
発作が出てから抑えるのが難しいなら、そもそも発作が出ないようにしようというというのが予防薬です。
群発期中は継続的に錠剤を服用し続けます。
私は以下の3つが群発期の長さに合わせて処方されています。
・プレドニン
炎症を鎮める作用があるステロイドです。
ステロイドであるため服用はデリケートで、処方される際に”絶対に勝手に量を変えたり、無駄に飲み続けたりするな”と毎回強く念を押されます。
長く大量に服用すると糖尿病や骨粗鬆症などの重篤な副作用を起こすためです。
そのため、服用は一週間ごとに毎回4錠→3錠→2錠→1錠と徐々に減らし、もしも減らしている過程で発作が起きたら相談して服用する個数を調整するよう言われています。
それに加え2シーズン毎くらいで血液検査も行ってもらっています。
その他私の場合は副作用として、視力低下(霞んで見える)、食欲亢進(めっちゃお腹すく)、口渇(めっちゃ喉乾く)が特に自覚できるものとして出ています。
・ベラパミル塩酸塩錠(ワソランなど)
心臓へ酸素を送っている冠血管を拡張する抗不整脈の薬ですが、群発頭痛を予防する効果があるようで処方されています。
こちらの副作用では便秘になることが多い気がします。(あるシーズンは出なさすぎてある意味群発より困った)
あとなぜかグレープフルーツジュースを禁止されます。
私はグレープフルーツそのものが嫌いなので問題ないんですが、好きな人になっては地味に痛そうですね、これ。
・バルプロ酸ナトリウムSR錠(デパケンR、セレニカRなど)
詳しいことはよくわかりませんが、脳内の神経興奮を抑制する作用があり、偏頭痛の他にてんかんや躁病に用いられる薬です。
偏頭痛の予防効果ががあるようで処方されているようです。
こちらは特に自覚のできる副作用は起こっていないようです。
私はこれら予防薬を3種をセット(プレドニンのみ朝夕のみ)として約1ヶ月間分処方され、いずれも保険適用のため3割負担で2000円弱程度の出費で済んでいます。
他にも急性期用の鎮痛剤としてアセトアミノフェン(トラムセットなど)やトリプタン系錠剤(マクサルト、イミグラン、ゾーミッグなど)などなど、基本的には偏頭痛の治療にも用いられているものがほとんどのようですが、中には保険適用でも高価なものもあり、経済的負担はマチマチのようです。
効き目に関しては人によるところの差が大きいようで私にはガッツリと効いてくれているプレドニンでも効かずに発症してしまう方もいるのだとか。
期間限定とは言え基本的に強めの薬ばかりなので、医師の指示に従って正しく服用してください。
以上のように対症療法はある程度確立されている群発頭痛ですが、根本的な完治はしません。しつこいようですが。
しかし傾向としては高齢になると症状がでなくなることが多いようです。
果たして私の場合はそれが何年後なのか、そもそもそんな時がやって来るのか、それは誰にもわかりませんが…
-わたしのことはそれほど-
いくら群発持ちの私がここまで書き連ねたところで、罹ったことがない方にとってはイマイチピンと来ないかと思います。
仕方がないことではあるのですが。
では、あなたのパートナーや友人、同僚など周りの方が群発頭痛持ちだったらどうしてあげるのがいいのでしょうか。
まずは群発期ではない期間(寛解期)は、至って普通の生活ができますのでなんの心配もいりません。
人によっておおよそ決まった周期があるので、時期が近くなってきたかな?と思ったら気をかけてあげるくらいでしょうか。
群発期に入っても基本的にしてあげることは特にありません。
本人ですら予防薬を飲むくらいしか具体的な方法はありませんからね。
ただし、お酒だけは絶対に勧めないでください。
これも群発期と寛解期がハッキリ分かれている群発頭痛の厄介なところで、よくあるパターンでは、群発期中でも顔を出しておきたい飲み会などをノンアルコールでやり過ごそうとすると、頭痛持ちであることを聞きかじったくらいの人は「ちょっと頭痛くなるくらいなんでしょ~?」と、軽い気持ちでお酒を勧めてきます。
私の場合は特に、寛解期は酒持ってこい系の人間なので、急に飲まないとなるとなおさら言われます(笑)
幸いアルハラのごとく無理矢理飲まされた経験はありませんが、群発に限らず世の中俺の酒が飲めねえのかと本気で押し付けてくる人間も居ますので…
もし、あなたがそのような場面に出くわしたら、どうか助け舟を出してあげてください。
そして、まさに群発の症状が出ている人が目の前に居たら、あなたのすべきことは何か。
それは、
黙って放っておく。
これに尽きます。
一見すると冷たく思われるかもしれませんが、以前にも書いたとおり群発の症状が出ているときは、光や音に非常に過敏になっています。
あまり執拗に大丈夫?などと聞いてこられたり、横になって安静に!なんて言われる方がかえって苦痛だったりします。
心配してくれるのは非常にありがたいのですが、群発が出たのかどうか、いつもの症状かどうかを確認する程度に留めておくのがベターです。
また、明るいところであれば出来るだけ暗いところに連れて行くのも。
とにかくなるだけ暗く静かなところ、同じ空間に居るのであれば出来るだけ静かに症状が収まるまで放っておく、これがあなたにできることです。
黙って、というのはそういう意味でもあります。
強いに強いて言うならば冷たい水やティッシュなんかを持ってきてくれるととても助かります。めっちゃ鼻水出るし。
ただし、少しでもいつもと違う様子だったり、本人がそう訴えてきたのならば迷わず救急車を呼んでください。
仮に群発だったとしてもいつにも増して痛ければ錯乱状態になる可能性もありますし、クモ膜下出血や脳出血など、他の致命的な発作が起きているかもしれません。
何にせよただでさえ激痛のいつもの発作以上が急に来たのであればそれはただごとではありません。
念のために再度書いておきますが、最初の記事冒頭にも書いたようにあくまで私の場合です。
症状の出方や強さは人それぞれなので、話せる間柄であれば、”どのような症状が出るのか” ”発作の出ている間はどんな風になってしまうのか”など落ち着いている時期に聞いておくと良いでしょう。
-さいごに-
思いの外長くなってしまいましたが、これら3つの記事に書いたことが私の持病である群発頭痛という病気です。
現状では事実上完治させることができない病気ですが、私は決して痛くて可哀想だと思ってもらいたくてこのような記事を書いたわけではありません。
今でこそ稀にテレビなどのメディアで紹介される機会もありますが、まだまだ認知度は低く、未だに”群発頭痛”という持病があることを話すと、大抵の人には「そんな病気があるのか」と驚かれます。
群発頭痛は激烈で急な痛みを伴い、なおかつ急激に回復する病気です。
ですが、それと同等か、もしくはそれ以上に、その変わった特徴が故に周囲に理解されないことが何よりの苦痛であることも事実です。
この記事を読んで初めてこの奇妙な病気の事を知った方は、もしも自分の周りにそのような人が居たら、また今後現れたら、ぜひ話をして理解をしてあげてください。
そして同じ群発頭痛を持っている方、いつか出なくなる日が来るまで、上手いことコンチクショウと付き合っていきましょう。
おわり