フィレンツェ海外社員研修レポート1 | ISBIT DAIKANYAMA

フィレンツェ海外社員研修レポート1


先日サマーエキシビションを終え「ISBIT GUARDIAN」「SIERA LEONE」「Wendine」
3ブランドのデザインナー13人がイタリアトスカーナ地方フィレンツェに
研修に行って参りました。

ISBITでは年に複数回の海外研修を行います。
主旨は、地域ごとの様々な製作物、また地域性から生まれる文化に触れる事によって、
表現者として、また一人の人間としても広い視野で経験を増やし
日々の活動につなげていける様にと考えています。

今回のデザイナーのレポートをいくつか掲載しますので、是非ご覧下さい。



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レポート1 
レオナルドダビンチ、ボッティチェッリ、ラファエロ…世界的有名なルネサンス芸術家がこの地で多くの絵画や芸術品を創っている事を知り、今回初めて訪れるフィレンツェにより一層の興味を持ち向かいました。

 3日間、毎日朝9時20時過ぎまで美術館や教会、民芸店を数々回り、市内2.3kmをくまなく歩き、見るもの全てに新鮮な驚きと歴史的建造物のスケールに大変感動しました。
500年前から変わらない風景を目の当たりにし、作品を残した偉人達の見ていた街並を私たちも体感出来る事が嬉しく、フィレンツェに流れる空気自体が穏やかで清々しくも感じました。
  
<行った美術館>
  ウフィッツィ美術館              アカデミア美術館
  サンマルコ美術館               大聖堂(ドゥオーモ)
  洗礼堂                    ピッティ宮
  パラティーナ美術館              サンタマリアノヴェッラ教会

 美術館で見た絵は、ギリシャ神話やキリスト教宗教絵画が数多く、新約聖書を読んだ事があったので、絵の隅々まで意味合いと知識を重ねあわせ、謎を解くような思いで冷静に観察しました。
 社長からのアドバイスがあり、配色感、曲線美、光のあたり具合や背景、周囲に施されている演出等にも目を向け、「なぜ感動したのか?」と自問自答しながら時間を大切に費やしました。
 又、服作りにおいて大切なポイントの1つである、“高揚する気持ちにさせるアイテム”についての研究もできるよう、期間中常に意識していました。
 
 ウフィッツィ美術館では、コの字型の全長約600メートル続く天井画に目が釘付けになり、明るい色味(white ecru pink…)の背景と淡い色味(orange sax pink…)8割:濃い色味2割の色バランス、全体的に丸みのあるデザイン要素をシンメトリーに配置しているのもポイントだと感じました。そしてデザインの無い背景(無地)との割合も勉強になりました。多くのキリスト教絵画も大変勉強になり、ブルー背景に規則正しく輝く薄いシルバーの星達が神々しく印象的でした。
 又、ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』と『春』は、多くの人が好みそうな女神の優


しい表情と色合いの心地よさが絵というモノ以上の存在感があり、鑑賞中に心地よい気持ちになりました。
 
サンマルコ美術館は元修道院で、修道士たちが実際に暮らしていたすべて個室の部屋に入り、壁面に描かれたキリスト受難の絵画をまぢかで見る事ができました。アンジェリコ作宗教絵画に、無宗教の私も深い愛情と心静かに満たされる思いがしました。絵自体が淡いペールトーンの色彩の中、天国の光と神聖な意味を表すゴールドの色味(キリストや天使、預言者のオーラ)が際立って目立ち、背景の薄いブルーの濃淡に心惹かれる思いが止みませんでした。
 
 街の見どころを回りながら、建物の扉や金具で出来たブザー、店の看板等足を止め、重厚感と心躍る文字の曲線美、金属に彫り込まれたレイアウトバランスもまた高級感と高揚感があったので、気になる要素はカメラに納めオリジナル金具付属の参考資料として保管したいと思います。
 
 又、鮮やかなディスプレーに惹かれ、文房具類を扱うお店に何件も立寄りました。特に興味を持ったものは包装紙で、その色味はオレンジやピンクの濃く鮮やかにはじまるグラデーションでデザインされて、豊かな美しさと躍動感を感じました。配色バランスや背景の色が参考になりそうなので、サンプルとして数十枚購入し、洋服等デザイン時に活躍させたいと思います。あと日本では入手困難な本や雑貨も多く感じたので、この機会に手に入れました。

  “創られたモノは創り手に良く似る”と以前教わった事がありました。2年前ISBIT Guardianを立ち上げた時から、創る人間としての姿勢や創られる環境すら大切に考え取り組んできました。
 歴史や文化に触れることで、服の創り手として必要な知識教養を持ち、味わった感動や喜びを思い返しながらお客様へ分け与えたいという気持ちでデザインする事が大切だと思います。そして、アイテムに思いや意味を融合させ、ブランドのパワー感を出し、期待されるブランドとして存在し続けるよう今後も心を高めて進めて行きたいと考えています。

 最後に、フィレンツェ研修という貴重な機会を与えたて頂きありがとうございました。

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