この世の中に警察と呼ばれる犯罪の摘発・逮捕を担う組織がないとしたら、社会はさぞかし不安定な乱れたものになるにちがいない。それがなければ様々な種類の犯罪が取り締まられることなく横行し、社会は混乱し、わたしたちは大きな不安を抱きながら毎日を過ごすことになる。それは窃盗や強盗、強姦や殺人が当たり前のように行われる無秩序な世界である。ゆえにわたしたちは口を揃えて言うにちがいない。「社会に警察は必要だ」と。

では、国内における警察に対して、国外に対しての軍隊の存在はどうか？　警察は容認するが、軍隊は容認しない人がこの世には多く存在する。ややこしい説明は省くが、日本の軍隊は自衛隊である。警察が日本国内の犯罪者を取り締まってくれるように、外国の侵略者から日本を守ってくれるのは自衛隊である。そんな自衛隊を否定する人が存在し、その主張がある力を持つのは、日本には「憲法第九条」があるからである。

●日本国憲法・第九条

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

２前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

自衛隊を否定する人たちは、アメリカに押し付けられたこの条項を盾にして「どんな理由があっても戦争は二度としない！」と主張する。個人がそういう考えを持つことは自由だが、ここには論理的な矛盾があると思う。なぜならそういう人たちも国内における警察組織の存在は容認しているからである。社会秩序を維持するために国内に警察が必要であるように、国外に対して軍隊は必要な組織である。強盗が我が家に侵入した時、いかにそれに対処するかを考えておくのは普通のことである。強盗することには反対だが、強盗されることは当然あり得る。ゆえに武力＝軍隊は必要なのである。それが戦争を回避する際の抑止力になる。

問題は、その軍隊をいかに組織し、運営していくかである。わたしたちは、先の大戦の経験から軍隊とそれを司る軍部の首脳陣は、下手をすると暴走する可能性があることを知っている。そのためにたくさんの若者が死んだことも事実である。だから、その運営には細心の注意が必要であるが、それでも世界秩序を維持する上でも自衛隊は兵力を持たなければならないとわたしは思う。

✵自衛隊。（「スプートニク日本ニュース」より）

軍隊の必要性