新しい「ミッション:インポッシブル」 | 高橋いさをの徒然草

新しい「ミッション:インポッシブル」

DVDで「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」(2018年)を見る。シリーズ第六作。国際的テロリストのグループに核兵器を売買しようとしている謎の男の追跡と核爆発を阻止しようとするイーサン・ハント率いるIMFの活躍が描かれる。

わたしはこのシリーズを全部見ているが、ストーリーは、どれもこれも似たり寄ったりの印象が拭えない。今まで作られた映画の内容をどれ一つとして正確に思い出せないのがその証左である。だいたいが核兵器をめぐる何かの陰謀(人類滅亡の危機)を主人公であるイーサン・ハントがチームの面々と協力し合って暴き、阻止するというようなものであると思う。それでもわたしが本作を見たいと思うのは、ラロ・シフリンが作ったあの血沸き肉躍るテーマ曲に乗って、不可能に挑戦するイーサンの神業的な活躍を見たいと思うからに他ならない。

今回のアクションの目玉は雪に覆われた山岳地帯を舞台にした「クリフ・ハンガー」のようなヘリコプタ・ーアクションである。それはそれで大いに楽しめるのだが、それ以外のアクション場面も含め、どのアクション場面もかつてどこかで見たような既視感がある。難しいものである。

わたしは必ずしもこのシリーズの原作となったテレビ・ドラマ「スパイ大作戦」の熱心な視聴者ではなかったが、このドラマで最も印象的だったのは、先にも書いたあのテーマ曲と主人公が指令を受け取った際に「なお、このテープは自動的に消滅する」という人を食ったような当局の指令者の台詞である。イーサンが所属するIMFとはいかなる組織か?   「アメリカ政府が手を下せない極秘任務を行う秘密諜報組織」とのことである。つまり、CIAのようなものか。それにしては、毎回、活動するチームのメンバーが少ないように感じるのはわたしだけか。

ところで、主人公のイーサン・ハントを演じるのはトム・クルーズである。この人はわたしと同い年なのだが、57歳にしてよく走り、よく動いている。同世代の人間として、その躍動する姿を見るのはやはり楽しい。

※同作。(「映画.com」より)