タイトル・フォント | 高橋いさをの徒然草

タイトル・フォント

先日のブログで、中学時代のわたしは授業そっちのけで、教科書の余白に映画のタイトル・フォントをいたずらがきしていたという話を書いたが、実は今でも暇な時間があると、映画のタイトル・フォントを何かの紙に書いていることがしばしばある。昔の癖は簡単には治らないということだと思う。わたしが時々にいたずらがきをする映画のタイトルは以下のようなものである。

●「サブウェイ・パニック」
地下鉄の乗っ取りを描く犯罪サスペンス映画。「ぺラム発123号車の乗っ取り」という原題をこのように邦訳したわけだが、赤文字で構成された「パニック」という文字の先端がハネている。このハネているデザインが、「大変なことが起こったぞ!」という雰囲気をよく醸し出している。

※同作。(「映画.com」より)

●「タワーリング・インフェルノ」
超高層ビルの火災を描くパニック映画。太い特徴的な黄色い文字。「インフェルノ」という文字の下半分がオレンジ色に染まっているデザイン。つまり、火が階下から階上へ燃え広がっている様を文字のデザインが表現している。

※同作。(「Y!映画」より)

●「ターミネーター」
未来から現代にやって来た殺し屋を主人公にしたSF映画。オリジナルのタイトル・デザインは、邦題のデザインに比べると、ちょっと丸みを帯びているのだが、邦題の鋼鉄を思わせる色合いのカクカクした字体が「絶対に逃がしはしない!」というターミネーターの断固とした意志を表現しているように思う。

※同作。(「Amazon.com」より)

つまり、これらのタイトル・フォントは映画の内容を視覚的に表現しようとよく工夫されいる。もしも、わたしが現在の仕事をしていなかったら、たぶん、そういうフォントをデザインする仕事をしていたように思う。わたしのあり得たかもしれないもう一つの人生。