カタカナ表記 | 高橋いさをの徒然草

カタカナ表記

しばしば泳ぎに行くスポーツ・クラブのプールで、監視員の姿を見かける。大抵は若い男女だが、彼(彼女)らは、胸にカタカナで「プールガード」と書かれたシャツを着ている。その姿を見かける度に「カタカナ表記のシャツはなんで間抜けな感じになるのだろう?」と思う。

前に一度書いたことがあるが、和製パニック映画の傑作「新幹線大爆発」(1975年)の中にヘリコプターが登場する。確か新幹線に爆弾を仕掛けて国鉄当局を脅す犯人たちにヘリコプターに乗って警察官が身代金を届ける場面だったと思う。そのヘリコプターの機体にカタカナで「ヘリコプター」と書いてあるのを目にして、膝が折れた記憶がある。それは紛れもないヘリコプターなのだから、機体に「ヘリコプター」と書いてあって全然おかしくないのだが、何とも奇妙な印象を持ったのだ。例えば、ピカピカのレーシングカーの車体にカタカナで「レーシングカー」と書いてあったら、物凄く格好悪い気がする。スポーツのユニフォームも同じ。ユニフォームに「GIANTS」と書いてあれば違和感はないが、「ジャイアンツ」と書いてあると違和感があるにちがいない。

わたしたちが普段、着ているTシャツには、アルファベットの文字(英語)が書いてある場合が多いと思うが、とんでもない意味の言葉がそこにあっても、それがアルファベットであると、格好よく見えるのが不思議だ。例えば、Tシャツに「LOVE&PEACE」という文字が入っていてもまったく気にならないが、そこに「ラブ&ピース」と入っていたらちょっと違和感があるのではないか?

話をスポーツ・クラブのプールガードに戻せば、カタカナで「プールガード」と書くから奇妙なのであって、「水難救助員」と漢字で書いてあれば、少しは違和感は減るのではないか。いずれにせよ、英語のカタカナ表記はどんな場合も間が抜ける。

※Tシャツ。(「オリジナルプリント.jp」より)