マッサージ店の会話 | 高橋いさをの徒然草

マッサージ店の会話

たまに自宅近くのマッサージ店へ行く。先日、歯科医で治療中に歯医者と世間話をするのはなかなか難しいということをこのブログに書いたが、歯科医に比べれば、マッサージ店は世間話はしやすいと言える。歯科医では口を開けている上に器具が差し込まれているので、思うように言葉を発することができないが、こちらはうつ伏せに横たわり、マッサージしてくれる人に身を任せていればいいだけだから。もっとも、わたしが通うマッサージ店の店員は中国の女性なので、余り難しい言葉は使えないが。それでも、マッサージ店での世間話は、ちょっと普通ではない。以下のようなやり取りになるからである。

中国人女性「台風すごかったね」
わたし「そうだーーねっ!」
中国人女性「ダイジョブだった?」
わたし「うん」
中国人女性「家の窓に飛んできたカンバンにぶつかりそうになったよ」
わたし「そりゃあぶーーないっ!」
中国人女性「そと歩いててあんなのにぶつかったらタイヘン」
わたし「台風で何人か亡くなったらしいーーけどっ!」
中国人女性「そういうとき、オカネ出るのかしら」
わたし「どうなんだろーーおうっ!」
中国人女性「ここ凝ってますね」
わたし「そうなんだよーーうおっ!」
中国人女性「痛い?」
わたし「だだだいじょうーーぶっ」
中国人女性「台風は怖いね」
わたし「そうだーーねっ!」

わたしの会話の語尾が「ねっ!」「ないっ!」「けどっ!」「おうっ!」「うおっ!」「ぶっ!」「ねっ!」となるのは、会話の最中に力を込めて背中を押されるからである。つまり、歯科医は治療する先生と世間話しずらいのと同様に、マッサージ店はマッサージ店で普通に世間話をしずらい場所であるということができる。そういう意味では、接客者が客の身体に関わりながら一番スムーズに会話をできる場所は、床屋か美容室ということになろうか。

※マッサージ。(「マイナビ進学」より)