妻を殺害する① | 高橋いさをの徒然草

妻を殺害する①

ハリソン・フォードが妻殺しの容疑者として追われる様を描く「逃亡者」(1993年)は面白い映画だ。主人公が警察の手を逃れ、真犯人を見つけるべく講じていくあの手この手が面白いからだ。ところで、この映画は以下の事件を元にしている。

●サム・シェパード事件
1954年7月4日、オハイオ州クリーブランド郊外に住む、サム・シェパード医師の家で、彼の妻マリリンが惨殺された。サムはもじゃもじゃした髪の侵入者に殴られ気絶していたと主張したものの、容疑者として逮捕され、第二級殺人(計画性はあるが第一級殺人の条件を満たさない殺人)で終身刑の判決を受ける。母親はショックで拳銃自殺し、父親も病死。しかし、1966年に行われた再審の結果、サムは無罪となって釈放された。(Wikipediaより)

文中にある「もじゃもじゃした髪の侵入者」という部分が「義手をつけた侵入者」に脚色されて劇化されたという点が興味深い。近年に作られた妻の殺害を扱うミステリと言えばベン・アフレック主演の「ゴーン・ガール」(2015年)だろう。この映画の原作も現実の事件を元にしているという。以下の事件である。

●スコット・ピーターソン事件
2002年12月24日、カルフォルニア州モデストに住むスコット・ピーターソンの妻(27)で妊娠8ヶ月のレイシーが失踪する。誰もが羨む理想のカップルの失踪事件は全米を揺るがした。必死の捜索もむなしく、4ヶ月後に胎児をかかえたレイシーの死体がサンフランシスコ・ベイ岸に打ち上がる。スコットは2003年に逮捕され、レイシー殺害で第一級殺人、胎児殺害で第二級殺人で有罪判決を受ける。サン・クエンティン州刑務所にて死刑囚として服役中。(WAY2Realを要約)

映画は本件を元にしながら大胆な脚色をしてあのように作り替えられているわけだ。そんな「夫による妻殺し」の映画を思い出したのは、現実に某有名出版社の敏腕編集者による同じような殺人事件が最近、日本でも起こったことを知ったからである。


※「逃亡者」と「ゴーン・ガール」。(「Y!映画」より)