呪われたブロディ一家 | 高橋いさをの徒然草

呪われたブロディ一家

毎年、夏になるとDVDで「ジョーズ」(1975年)を見直すのが習慣になっているが、合計4本作られた「ジョーズ」シリーズの他の作品を再見することはない。どれも面白くないからである。そして、シリーズ最後の作品「ジョーズ’87 復讐篇」(1987年)は、ジョセフ・サージェントが監督していたことを思い出した。犯罪サスペンス映画の傑作「サブウェイ・パニック」(1974年)の監督である。

「巨大な人食いザメの恐怖と、それに立ち向うブロディ親子を描いた作品。前作と同じく、たくましく成長して海洋生物学者になったマイケル・ブロディと、夫を失い悲しみにくれるエレン・ブロディが主人公である。マーティン・ブロディはすでに故人となっている。ホオジロザメが仲間が殺されたことへの復讐のためにブロディ一家を執拗に狙う、一家を追ってアミティからバハマまで数日で追撃してくるという強引極まりないストーリーに加え、肝心のサメが作り物としか思えない外見のため、全体としては完成度が低い」(Wikipediaより)

第一作で苦戦の末に見事にサメを退治したロイ・シャイダー扮するブロディ署長はすでに亡く、主人公はブロディの妻エレン(ロレイン・ゲイリー)になり 、彼女がサメと戦うのだ。「二匹目のドジョウ」ならぬ「四匹目のドジョウ」を狙った作品だとは言え、強引極まりない展開である。(本作にはマイケル・ケインがエレンの恋人役で出ている)そもそもサメと戦うのは必ずしもブロディ一家でなくてもよいはずだが、恒例行事のようにブロディ一家は常にサメとの戦いを強いられる。そもそも、普通の家族が何度もサメに襲われるのは、どう考えても不自然ではないか! 「だったら海に行くなよ!」と突っ込みたい展開である。毎回サメに襲われる運命のブロディ一家は、まるで「呪われたケネディ一家」のようである。しかし、本作は別にオカルト映画ではないのだ。

調べたらジョセフ・サージェント監督は2014年に亡くなっていた。まったく知らなかったのでちょっとびっくりしたが、日本ではキチンと報道されなかったのかもしれない。映画の遺作は本作である。


※同作。(「サメの映画レビュー」より)