2015年・安田記念、マイルチャンピオンシップ、香港マイルと海外も含めてマイルG1・3連覇を果たしたモーリス。

 

春のマイルG1・安田記念はロゴタイプの2着。秋は天皇賞秋に出走、見事に勝利し12月の香港カップをラストランと決めた。

 

 

空白となった観のある『マイル王』。マイルチャンピオンシップ奪取に群雄割拠の様相を呈していた。

 

 

 

菊花賞を制したサトノダイヤモンドに続け、とばかりに盛り上がる『サトノ』の素質馬サトノアラジン。

 

父ディープインパクト、母マジックストーム。全姉はエリザベス女王杯を制したラキシス。

 

 

ラジオNIKKEI杯2歳S3着、共同通信杯3着と素質の片鱗は見せていたが、クラシック戦線には乗り切れず、3冠最後の菊花賞に出走も6着に終わった。

 

 

前年、4歳古馬となって、マイル中心の距離に焦点を当てて出走するようになり、マイルチャンピオンシップではモーリスの4着。

 

 

5歳になって、4月・ダービー卿チャレンジトロフィー3着、5月・京王杯スプリングカップ1着、6月・安田記念4着、10月・スワンS1着。

 

『マイル王』へ・・・・・、頂点へ上り詰める、機は熟した、か!

 

 

 

 

クラシックをリードした皐月賞馬イスラボニータ。

 

父フジキセキ、母イスラコジーン。

 

 

4歳は中山記念5着、毎日王冠3着、天皇賞秋3着、マイルチャンピオンシップ3着。4戦に留まった。

 

5歳になり、前半は中山記念9着、産経大阪杯5着、安田記念5着。

 

復活をかけた10月、富士Sで10戦ぶりとなる連対、ヤングマンパワーの2着。

 

皐月賞、ダービーを戦った輝きを、マイルG1で取り戻さねば・・・・・・見つめる先は遠い過去か?現実か?

 

 

 

 

イスラボニータが皐月賞馬ならば、その年、NHKマイルカップを制したのはミッキーアイル。

 

父ディープインパクト、母スターアイル。

 

 

新馬戦2着後、逃げて5連勝。3歳の『マイル王』となったミッキーアイル。

 

安田記念16着、マイルチャンピオンシップ13着、安田記念15着、どうなってしまった『マイル王』。

 

視点をスプリントにも合わせて、高松宮記念3着、スプリンターズS4着、香港スプリント7着、高松宮記念2着、スプリンターズS2着。

 

もはや、スプリンターとなって、『スプリント王』をめざすか?ミッキーアイル。

 

 

負けて、負けて逃げることを躊躇った。2番手、3番手から上手く立ち回ることを覚え、スプリント界での安定した存在感を得た。

 

そのミッキーアイルが、再びハナを切るようになった。

 

阪急杯、逃げ切り勝ち。スプリンターズSも逃げて2着。

 

 

原点の走りをしたい・・・・・・、原点ともいえるマイルで。

 

1年半ぶりのマイル戦。ミッキーアイルは原点の逃走劇を見せるのか?

 

 

 

 

近5走、2,2,1,1,1着。絶好調でマイルチャンピオンシップに挑戦するヤングマンパワー。

 

関屋記念、富士S、マイル重賞連覇は、大きな野望を抱くに十分だった。

 

 

 

 

デビューは遅く、本格化は5歳春、『マイルの申し子』フィエロ。

 

2014年、安田記念8着、マイルチャンピオンシップ2着。

 

2015年、安田記念4着、マイルチャンピオンシップ2着。

 

この春は、安田記念3着。7歳となっても突き進む『マイル王』。

 

 

 

 

8歳、5年連続マイルチャンピオンシップに臨むのはダノンシャーク。

 

6,3,1,10着。2015年はフィエロをハナ差制して勝利。

 

安田記念は4年連続、3,4,10,7着。

 

マイルに捧げた競走馬生活。ラストランを迎える。

 

 

 

 

半兄は、3歳で安田記念を制したリアルインパクト。

 

ディープインパクトからネオユニヴァースに父を替えたのは、ネオリアリズムだ。

 

夏、モーリス相手に2馬身差の逃げ切り勝利。

 

大きな自信をもって、G1戦線へ殴り込み?

 

 

 

11月20日、マイルチャンピオンシップ。

 

1.ディサイファ

2.サトノアラジン

3.スノードラゴン

4.ロードクエスト

5.ヤングマンパワー

6.ダノンシャーク

7.フィエロ

8.イスラボニータ

9.サトノルパン

10.マジックタイム

11.テイエムタイホー

12.ウインプリメーラ

13.ダコール

14.クラレント

15.ネオリアリズム

16.ミッキーアイル

17.ガリバルディ

18.サンライズメジャー

 

 

1番人気サトノアラジン、2番人気イスラボニータ、3番人気ミッキーアイル。

 

4番人気ヤングマンパワー、5番人気フィエロ。

 

 

18頭、きれいなスタート。

 

外16番枠から飛び出したのはミッキーアイルだ。

 

15番枠ネオリアリズムが2番手につけた。

 

 

ウインプリメーラ、スノードラゴン、ディサイファが内で並び3番手グループ。

 

外から半馬身差で続くのはサンライズメジャー。

 

その後ろにイスラボニータが控え、並ぶのはクラレント。

 

フィエロ、ヤングマンパワーが並ぶ内を上がって来たのは、サトノアラジンだ。

 

 

隙間なく馬群がひしめくなか、後方にダノンシャーク。

 

ガリバルディ、ロードクエスト、マジックタイムが行き、

 

最後方はダコールだ。

 

 

 

3ハロン34秒4、平均ペース。

 

スムーズに飛ばすミッキーアイルには、絶好のペースか?

 

 

4コーナー・カーブからスピードアップ下のミッキーアイル、ネオリアリズム!

 

直線に入るや、2頭で後続に3馬身の差をつけ、壮絶な叩き合いとなった。

 

 

マイルで、原点の距離で逃げ切って見せるッ。

 

浜中俊の右ムチが飛ぶミッキーアイル!

 

 

モーリスに勝ったんだ!ここで負けられないッ。

 

左ムチで迫るのはライアン・ムーア。ネオリアリズムが外から交わすか!

 

 

激しい、激しい叩き合い。

 

一旦、出かけたネオリアリズムに、ミッキーアイルが並び返す。

 

 

ようやく迫ってきた後続。

 

 

内からサトノアラジン・川田将雅、ディサイファ・武豊、ダノンシャーク・松山弘平、一番外からラボニータ・C.ルメール!

 

並んで迫ってきた!

 

 

届くのかッ!

 

手に汗握る攻防。

 

 

ここで起こった、大異変。

 

 

ただ、真横からレースを見る我々には、わからなかった!

 

 

スピードが最高潮となるゴール前、

 

ミッキーアイルと並んでいたネオリアリズムが遅れ、

 

一瞬のうちに、武豊が乗るディサイファが視界から消えた。

 

 

ミッキーアイルが逃げ切ってゴールを通過。

 

外から伸びたイスラボニータがアタマ差届かず。

 

遅れてネオリアリズム。

 

さらに遅れてダノンシャーク、フィエロ、サトノアラジンが、ほぼ一線で飛び込んだ!

 

 

 

ゴールと同時に点灯した『審議ランプ』。

 

長い、長い審議となった。

 

 

パトロールビデオを見ると、ゴール直前に、ミッキーアイルが外に寄れた。

 

先ず、そのあおりを食ったのがネオリアリズム。

 

外に寄れ、下がった。

 

 

その後方にいたサトノアラジン、ディサイファ、ダノンシャークは横に連鎖するように寄れ、

 

最も被害を受けたのは、大きく寄れることのなかったダノンシャークが壁となり、挟まれるようになり武豊は立ち上がり追えず、後方までズリ下がった。

 

 

3頭とは離れた外にいたイスラボニータは被害もなく差し込んだが、ミッキーアイルにアタマ差及ばなかったワケだ。

 

 

確実に被害はあった。一番大きかったのはディサイファで、次は直接ぶつけられたネオリアリズムであり、ネオリアリズムが寄れた真後ろにいたサトノアラジンだった。

 

だが、現行の降着ルールは、『被害馬が被害を受けなかった場合、加害馬に先着していたと思われる時は、加害馬を降着とする』となっている。

 

そのまま走っていたら勝っていたか?そんなこと、どう証明できるというのだろう。

 

ほぼ、着順通りで決まるのが現行のルール。

 

 

長い審議も予想通りの決着。

 

馬に罪はないが、後味の悪さが残るG1となった。

 

 

 

1着ミッキーアイル

アタマ

2着イスラボニータ

4分の3馬身

3着ネオリアリズム

4分の3馬身

4着ダノンシャーク

アタマ

5着サトノアラジン

 

 

(つづく)