桜花賞はジュエラー、オークスはシンハライトが制した牝馬戦線。

 

3歳牝馬最後のG1となる秋華賞は、有力馬に次々と『闇』が訪れ混沌となってきた。

 

 

阪神ジュベナイルフィリーズを勝ち、『2歳女王』となったメジャーエンブレム。

 

桜花賞を断然の1番人気で4着と敗れ、リベンジとしたNHKマイルカップで有力牡馬相手に勝利。

 

秋の牝馬戦線で復権をめざすも筋肉痛で予定の秋華賞の前哨戦を回避。そのまま秋全休となった。

 

 

 

桜花賞をジュエラーのハナ差2着と敗れ、ジュエラーが骨折で戦列を離れたオークスを制覇したシンハライト。

 

秋華賞トライアル・ローズSを制しながら左前浅屈腱炎を発症。長期療養に入らざるを得なかった。

 

 

 

メジャーエンブレム、シンハライトの秋華賞回避によって、重い期待がのしかかってきたのはジュエラーだ。

 

3歳牝馬で残った唯一のG1馬。桜花賞馬であるジュエラー。

 

 

オークスを前に左前第1指骨を剥離骨折。断念せざるを得なかったオークス。

 

何とか間に合った復帰戦のローズSは、好位追走も末脚不発。シンハライトの11着と大敗。

 

秋華賞へ暗雲が立ち込めた。

 

 

桜花賞馬としての誇り、オークスを走れなかった無念、そして、ともに戦ったシンハライト、メジャーエンブレムへの思いも込めて、勝たねばならないッ。

 

ジュエラーには『復活』の二文字しかなかった。

 

 

 

 

『女王候補』の回避、不振によってチャンスと燃える牝馬たち。

 

 

シンハライトと同じく左前浅屈腱炎で回避したオークス2着馬チェッキーノに代わって、最有力候補に躍り出たのは、ディープインパクト産駒ビッシュだ。

 

デビューが3歳2月。桜花賞には間に合わなかったビッシュ。

 

オークスでシンハライトの0.1秒差3着に飛び込み、秋への期待を抱かせた。

 

 

秋初戦は9月・紫苑S。最速の上がりで大捲り、ヴィブロスに2馬身半差をつけて勝利。

 

敢然とG1獲りに出た。

 

 

 

 

紫苑Sでビッシュの2着となったヴィブロス。

 

父ディープインパクト、母ハルーワスウィート。全姉に3歳牝馬戦でジェンティルドンナのオール2着となったヴィルシーナ。半兄に天皇賞春3着のシュヴァルグラン。

 

 

新馬戦2着、未勝利戦1着のあとチューリップ賞12着、フラワーカップ12着、牝馬クラシック出走が叶わなかった良血。

 

7月、500万下条件を4馬身差の圧勝。9月、紫苑Sで後方から2着に追込み秋華賞の出走権利を獲った。

 

やっと姉、兄と同じG1の舞台に上がることができたヴィブロス。

 

ただ走れた、だけでは意味がない。『良血開花』、本領発揮するために・・・・・・狙いはあくまで頂点だ。

 

 

 

 

ジュエラーと同じヴィクトワールピサ産駒パールコード。

 

春はフローラSをチェッキーノの2着。オークス出走権を獲得するも、-14㌔の馬体減が影響し体調を整えずオークスを回避。

 

秋に飛躍を期した。

 

9月、紫苑Sでは+16㌔、馬体重は戻したが久々の一戦はビッシュの5着。

 

2走目の良化で念願のG1出走。

 

意地にかけても走り抜く!

 

 

 

 

桜花賞7着、オークス7着、牝馬クラシック皆勤はレッドアヴァンセ。

 

父ディープインパクト、母は7勝、重賞3着3回のエリモピクシー。伯母エリモシックはエリザベス女王杯優勝馬、秋華賞2着。

 

半兄リディル(デイリー杯2歳S)、半兄クラレント(重賞6勝)、半兄レッドアリオン(重賞2勝)、全兄サトノルパン(京阪杯)、ズラリと並ぶ重賞勝ち馬の兄たち。

 

いつ見せるか?良血の走り。

 

 

 

 

『超』のつく良血はカイザーバル。

 

父エンパイアメーカー、母は桜花賞、ヴィクトリアマイルG1・2勝ダンスインザムード。伯母に名牝ダンスパートナー、伯父に名馬ダンスインザダーク。

 

ローズSをシンハライトの3着。目覚めたか?『超良血』。

 

 

 

 

10月16日、秋華賞。

 

1.エンジェルフェイス

2.ジュエラー

3.パールコード

4.パーシーズベスト

5.レッドアヴァンセ

6.ゲッカコウ

7.ヴィブロス

8.デンコウアンジュ

9.クロコスミア

10.ビッシュ

11.フロンテアクイーン

12.ウインファビラス

13.ワンダーピルエット

14.ミエノサクシード

15.カイザーバル

16.ダイワドレッサー

17.ネオヴェルザンデイ

18.キンショーユキヒメ

 

 

1番人気ビッシュ、2番人気ジュエラー、3番人気ヴィブロス。

 

4番人気パールコード、5番人気レッドアヴァンセ。

 

 

 

ゲートが開いて、中からクロコスミア、外からネオヴァルザンデイ、ダイワドレッサーが飛び出してくるが、

 

1,2コーナーを回って先頭に立ったのはクロコスミアだ。

 

 

ローズSを2着に逃げ粘ったクロコスミアの逃げ。

 

2番手ネオヴェルザンデイ、3番手ウインファビラス。

 

 

ダイワドレッサー、エンジェルフェイスが行き、パールコードが続く。

 

中団から外々を上がって行くのはカイザーバルだ。

 

 

先団から2馬身離れてキンショーユキヒメ。さらに2馬身下がってヴィブロス。

 

ジュエラー、レッドアヴァンセが続き、外を上がって来たのはビッシュ。

 

 

後方にゲッカコウ、ワンd-ピルエット。

 

最後方に並ぶのがデンコウアンジュ、ハーシーズベスト。

 

 

 

1000m通過59秒9、平均ペース。

 

 

軽快に飛ばすクロコスミアを先頭に、ウインファビラス、ダイワドレッサーネオヴェルザンデイが横一線で追い上げ直線を迎えた。

 

そのすぐ後ろ、外から追い上げるのはカイザーバル・四位洋文!

 

 

直線に入るや、外から勢いよく抜け出した!カイザーバル。

 

『超良血』が、ついに開花か!

 

 

内を縫うように姿を見せたのは、桜花賞馬ジュエラー・M.デムーロ!

 

馬群の中から意地の追い上げ。

 

 

1番人気ビッシュ・戸崎圭太、後方から差を詰めるが、伸びが止まった!

 

 

馬場の真ん中を伸びてきたのはパールコード・川田将雅!

 

 

大外から、一気に伸びた、ヴィブロス・福永祐一だ!

 

 

粘るカイザーバルを、内から追い詰めるジュエラー!

 

ゴール寸前、

 

伸びたのは外!

 

 

パールコードだ!

 

追いかぶさるように、一気に切れたヴィブロス!

 

 

カイザーバルをとらえ切ったパールコード!

 

さらに差し切ったヴィブロス!

 

 

ジェンティルドンナの前に、ハナ差2着に敗れた姉ヴィルシーナを、

 

超えた!

 

 

秋華賞馬ヴィブロス。圧巻の切れ味で手に入れたG1勝利。

 

 

1着ヴィブロス

半馬身

2着パールコード

半馬身

3着カイザーバル

クビ

4着ジュエラー

1馬身4分の3

5着レッドアヴァンセ

 

 

秋華賞を回避したメジャーエンブレムは、その後、爪を痛めるアクシデントもあり、ついには復帰することなく、2017年1月、引退、を発表。

 

シンハライトは浅屈腱炎の回復を待たずに、11月、引退が決められた。

 

4着と敗れたジュエラーは、2017年2月、放牧中に骨折、引退となった。

 

 

(つづく)