牝馬クラシック、春の祭典は桜花賞。
圧倒的人気を背負ったのはメジャーエンブレムだ。
父ダイワメジャー、母キャッチータイトル。
良血馬の宝庫、ノーザンファームにあっては決して目立つ存在ではなかった。
美浦・田村康仁厩舎に入厩。2歳6月、早々と新馬戦デビュー。ルメールを鞍上に1番人気となり、2番手から抜け出し勝利。
アスター賞(500万下)も勝利、アルテミスS(G3)ではデンコウアンジュに後方一気の脚で差され2着。
『2歳女王』を決める阪神ジュベナイルフィリーズでは、2番手から4コーナー先頭、ウインファビラスに2馬身差の完勝。
先行抜け出しの安定したレースぶりで、桜花賞№1候補となった。
3歳戦は2月、クイーンカップから始動。
2着フロンテアクイーンに5馬身の差をつけて逃げ切り勝ち。
鞍上は初戦から乗り続けるクリストフ・ルメール。
『桜の女王』へ・・・・・・一点の曇りもなかった。
対抗できる馬として上げられたのが、桜花賞トライアル・チューリップ賞の1,2着馬だ。
写真判定でハナ差1着となったシンハライト。
父ディープインパクト、母シンハリーズ。全兄がラジオNIKKEI杯2歳Sを勝ったアダムスピーク。
2歳時は新馬戦1勝。3歳になって、紅梅S(オープン)を勝ち、2番人気でチューリップ賞に出走。
後方11番手から、1番人気ジュエラーとともに33秒0の最速の上がりでゴール。
まさに紙一重のハナ差勝ち、互角の戦いだった。
前を行くメジャーエンブレム、後方から差すジュエラー。シンハライトは、鞍上・池添謙一とともにどの位置で決め打ちするか!
土つかずの3連勝。負けていないという無限の可能性を武器に、どう挑む。
チューリップ賞、ハナ差2着がジュエラー。
父は新種牡馬となるヴィクトワールピサ。母バルドウィナ。半姉には桜花賞4着、重賞4勝のワンカラットがいる。
新馬勝ち後、シンザン記念で牡馬相手にロジクライのクビ差2着。強烈な末脚を見せた。
チューリップ賞ではシンハライトに写真判定の末、わずかに敗れたが、3戦連続して最速の上がりを記録。
展開ひとつで差し切る目論見は、騎乗するミルコ・デムーロの胸の内にあった。
2015年、JRAの通年免許を取得したミルコ・デムーロ、クリストフ・ルメール、日本の騎手界には無くてはならない存在となった外国人騎手。どう戦うか?
シンハライト、池添謙一。日本人騎手の意地を見せるか!
1番人気メジャーエンブレム単勝1.5倍。2番人気シンハライト4.9倍、3番人気ジュエラー5.0倍。
4番人気のレッドアヴァンセ・武豊が22.0倍と、人気面でもちぎられた伏兵馬たち。
チューリップ賞は8着だが、2.2.0.1、エルフィンS勝ちのレッドアヴァンセ。半兄にリディル、クラレント、レッドアリオン、サトノルパン、重賞級が並ぶ良血だ。
チューリップ賞3着で出走権を得たラベンダーヴァレイ。全兄はマウントシャスタ、カミノタサハラ。騎乗するのはリーディングジョッキー・戸崎圭太。
桜花賞トライアル・フィリーズレビュー、1番人気2着アットザシーサイド。鞍上・福永祐一が虎視眈々と上位を狙う。
4月10日、桜花賞。
1.キャンディバローズ
2.ブランボヌール
3.メイショウスイヅキ
4.ソルヴェイグ
5.メジャーエンブレム
6.ビービーバーレル
7.デンコウアンジュ
8.アッラサルーテ
9.ジープルメリア
10.アットザシーサイド
11.レッドアヴァンセ
12.シンハライト
13.ジュエラー
14.カトルラポール
15.ラベンダーヴァレイ
16.ウインファビラス
17.アドマイヤリード
18.メイショウバーズ
1番人気メジャーエンブレム、2番人気シンハライト、3番人気ジュエラー。
4番人気レッドアヴァンセ、5番人気ラベンダーヴァレイ。
内のソルヴェイグ、メジャーエンブレムが好スタートを切ったが、
アッラサルーテがハナを奪い、外からドンドン追い越して行くのがカトルラポール、メイショウバーズ。
ウインファビラス、ラベンダーヴァレイも上がって行き、メジャーエンブレムはアッという間に6,7番手に下がった。
折り合い重視ののルメールは予想より後ろの位置でメジャーエンブレムの勝利の策を練った。
シンハライト、ジュエラーの差しペースはつくりたくない。じっと我慢だ。
内で位置を下げていくメジャーエンブレムの外を位置取りを上げていくのはシンハライトだ。
その2頭後ろにアットザシーサイド。
後方4頭目にレッドアヴァンセがいて、デンコウアンジュ、そして、ジュエラーは後方2頭目だ。
最後方にアドマイヤリード。
3ハロン34秒8、平均ペースだが、外から押し寄せる馬群の波が先行馬に脚を溜める余裕を奪った。
直線に入って、カトルラポール、メイショウバーズ、ウインファビラス、3頭が横並びの外を上がってくるのはシンハライトだ!
前が窮屈で出られないメジャーエンブレム!
ルメール、ピンチだッ。
先行3頭の外、メジャーエンブレムは体を捻じ曲げるように、狭い空間を突くしかなかった。
シンハライトに先に抜け出され、ようやく2番手に足上げたが・・・・・・、
もう、切れる脚は残っていなかった。
ゴールをめざすシンハライト・池添謙一!
メジャーエンブレムを追い抜き迫ったのは、アットザシーサイド・福永祐一!
日本人騎手の意地か!
瞬間、まさに瞬間。
大外から伸びてきたのは、ジュエラーだ!
アットザシーサイドを交わしたかと思うと、シンハライトに襲いかかった!
完全に勝ちを意識したシンハライト!
迫る、迫る、迫るジュエラー!
2頭が並んだゴール!
トライアル、・チューリップ賞の再現か!長い写真判定。
ハナ差勝ったシンハライト。それは、トライアル。
本番では、デムーロ騎乗ジュエラーに凱歌が上がった。
メジャーエンブレムを、勝ち寸前だったシンハライトを差し切った『桜の女王』。
新種牡馬ヴィクトワールピサの一番星、ジュエラーだ。
1着ジュエラー
ハナ
2着シンハライト
1馬身4分の3
3着アットザシーサイド
半馬身
4着メジャーエンブレム
半馬身
5着アドマイヤリード
(つづく)