安田記念を制し、マイル王ともなった『絶対王者』ロードカナロア。
 
スプリンターズSを勝って短距離G1・5勝。
 
ラストランを12月の香港スプリントに定め、マイルチャンピオンシップは不出走となった。
 
本来、スプリンターのロードカナロア。海外スプリントG1、それも連覇という偉業をめざすことがラストランにはふさわしいと思えた。
 
 
12月には香港スプリントを見事に制することとなるわけだが、2着馬に5馬身差の圧勝、歴史を変えた名馬、まさに『絶対王者』のラストランだった。
 
 
 
『絶対王者』不在となったマイルチャンピオンシップ。
 
そこは戦国模様。
 
 
ひたすらマイルを追求するダノンシャーク。
 
3歳春はクラシックをめざし、若葉S3着、プリンシパルS4着。出走叶わず。
 
本格的にマイル中心に舵を切った。
 
 
父ディープインパクト、母カーラパワー。
 
ディープインパクト譲りの切れ味を持っていたが、重賞ではあと一歩、突き抜けられないもどかしさがあった。
 
4歳時は、京都金杯2着、マイラーズカップ2着、エプソムカップ2着。初めてとなるG1マイルチャンピオンシップは、直線の『玉突き事故』に合い、サダムパテックの6着。
 
 
5歳になってど本格化を見せ、1月・京都金杯1着、4月・マイラーズカップ3着。
 
6月・安田記念。直線、またもや不運、ロードカナロアに一瞬進路を塞がれ、3着。
 
9月・京成杯オータムハンデ2着、10月・富士S1着。
 
 
邁進してきたマイル路線。勝てるッ!見えかけてきた『てっぺん』。
 
今度こそ、突き抜けてやる!
 
 
 
 
ダノンシャークと同期のディープインパクト産駒トーセンラー。
 
きさらぎ賞を勝ち、クラシック戦線に乗った。
 
オルフェーヴルの前になす術もなく、皐月賞7着、ダービー11着、菊花賞3着。
 
菊花賞3着が、唯一の勲章だった。
 
 
4歳はG2・G3を走り、4,10,11,3,2,2,7着。遠くなったG1。
 
きさらぎ賞を勝った時はクラシックへの野望を持った。
 
古馬になって、意気込みだけが空回り。
5歳になって、いろんな意味で角が取れたトーセンラー。
 
 
悔しさが力みにつながっていた。
 
いまある力を出すだけ。それでいい。
 
結果は、後からついてくる。
 
 
2月、京都記念。6番人気で2着ベールドインパクト、3着ショウナンマイティに勝利。きさらぎ賞以来、2年ぶりの勝利だ。
 
4月、天皇賞春でフェノーメノの2着。
 
大きな、大きな自信となった。
 
6月・宝塚記念5着、10月・京都大賞典3着のあと、G1挑戦はマイルチャンピオンシップとなった。
 
 
生まれて初めてのマイル。G1好走の菊花賞、天皇賞春とは真逆の短距離戦。
 
栗東のリーディング上位を躍進する藤原英昭厩舎。勝機あってこその厩舎の選択。
 
トーセンラーにできることは、厩舎の選択を信じるだけだった。
 
 
 
 
4歳になってグングン力をつけてきたダイワマッジョーレ。
 
父ダイワメジャー、母ファンジカ。半兄ハイアーゲームは重賞2勝、ダービー・キングカメハメハの3着馬。
 
2月・東京新聞杯2着、3月・ダービー卿トロフィー2着、5月・京王杯スプリングカップ1着。
 
初G1挑戦、安田記念はロードカナロアの9着に敗れた。
 
10月・スワンS、コパノリチャードに逃げ切りを許すも、2着。
 
2度目のG1挑戦。半兄ハイアーゲームを超えて見せる!
 
 
 
 
重賞4勝、内マイル重賞3勝、クラレント。
 
父ダンスインザダーク、母エリモピクシー、その全姉はエリザベス女王杯を制したエリモシック。
 
6月・エプソムカップでジャスタウェイを破り、10月・毎日王冠はエイシンフラッシュの0.1秒差3着。
 
混戦は望むところ、好位から出し抜けを図るか!
 
 
 
 
前年の覇者、サダムパテック。
 
香港マイル6着、京王杯スプリングカップ7着、安田記念13着。
 
燃え尽き症候群か?
 
スワンS、コパノリチャードの3着は・・・・・・まだまだ、燃え尽きない!
 
 
 
 
3歳、コパノリチャード。スワンSを逃げ切った勢いで挑戦。
 
マイルG1・2勝グランプリボス。前年の安田記念2着、マイルチャンピオンシップ2着。
 
ジェンティルドンナの全姉ドナウブルー。全円のマイルチャンピオンシップ3着。
 
3歳で安田記念に挑戦。古馬を一蹴したリアルインパクト5歳。
 
5戦5勝でNHKマイルカップを制したカレンブラックヒル。以後4連敗、夢なら覚めろ!
 
 
 
11月17日、マイルチャンピオンシップ。
 
1.コパノリチャード
2.サダムパテック
3.レッドオーヴァル
4.ダイワマッジョーレ
5.トーセンラー
6.ガルボ
7.サンレイレーザー
8.カレンブラックヒル
9.ダノンヨーヨー
10.ドナウブルー
11.サクラゴスペル
12.クラレント
13.ダノンシャーク
14.リルダヴァル
15.ダークシャドウ
16.グランプリボス
17.マイネイサベル
18.リアルインパクト
 
 
1番人気ダノンシャーク、2番人気トーセンラー、3番人気ダイワマッジョーレ。
 
は・・・・・・4番人気クラレント、5番人気サダムパテック。
 
 
一斉のスタート、最内から先頭に立ったのはコパノリチャード。
 
ガルボが2番手、3番手クラレント、内から合わせるのはダイワマッジョーレ。
 
差がなくリアルインパクト、サダムパテック、グランプリボス、カレンブラックヒル、ダノンシャーク、ひしめき合った。
 
 
後方に控えたのはドナウブルー、トーセンラー。
 
最後方がサンレイレーザー、ダノンヨーヨーだった。
 
 
 
3ハロン35秒1、スローペース。
 
勝つために・・・・・・有力馬は前に位置し、動き時を待った!
 
 
軽快に飛ばすコパノリチャード。
 
17頭を引き連れ、直線に入った!
 
 
内から迫ろうとするガルボの、さらに内からこじ開けたダイワマッジョーレ!
 
伸び脚が止まりかけたクラレントの外から、
 
伸びてきたのはダノンシャークだ!
 
 
もう、不利は被りたくないッ!
 
前方は開けた、内で逃げるコパノリチャード、内から伸びるダイワマッジョーレ、
 
交わし切るだけだ!
 
鞍上・福永祐一が追い出した!
 
 
サダムパテックも、グランプリボスも、伸び脚がない!
 
その後方にいたトーセンラー。
 
 
やはり、マイルはついていけなかったか?
 
いや、その分、残っていた末脚。
 
 
鞍上・武豊が追い出すや、
 
矢のように伸びた!
 
 
いままで見せたことのない切れ味!
 
 
コパノリチャードをダイワマッジョーレが、ダノンシャークがとらえ、
 
始まった2頭の最後の激突!
 
 
勝つのはダイワマッジョーレか?ダノンシャークか?
 
思われた瞬間。
 
2頭の外を走った黒い閃光!
 
 
黒鹿毛トーセンラーが迫り、並ぶ間もなく交わして行ったッ!
 
 
どこに秘めていた?
 
父ディープインパクト譲りの切れ味。
 
 
初めてのマイルで、弾け飛んだ!
 
 
ダノンシャークは、ついにはダイワマッジョーレをもとらえきれずに、野望は先送りとなってしまった。
 
 
1着トーセンラー
1馬身
2着ダイワマッジョーレ
4分の3馬身
3着ダノンシャーク
1馬身4分の3馬身
4着コパノリチャード
アタマ
5着ドナウブルー
 
 
(つづく)