オルフェーヴルが凱旋門賞に挑戦、2年連続2着。またもや日本馬の制覇はお預けとなった。
 
そして、天皇賞秋、ジャパンカップを回避し、有馬記念をラストランと定めたオルフェーヴル。
 
 
次代を担うべき4歳馬ゴールドシップ、フェノーメノも回避することとなり、牝馬ジェンティルドンナ『1強』の様相を呈するようになった4歳馬のが天皇賞秋だ。
 
 
 
『牝馬3冠』に加え、ジャパンカップでオルフェーヴルを破ったジェンティルドンナ。
 
現役牝馬最強どころか『歴代牝馬最強』の呼び声も高まった。
 
偉大なる種牡馬サンデーサイレンスを超えるかと思われるディープインパクトの、紛れもない『最優等生』。
 
 
古馬になって、3月・ドバイシーマクラシック2着。
 
6月・宝塚記念は、ドバイの疲れが残ったか?ゴールドシップの3着。
 
実力は示したが、勝てないままに迎えた天皇賞秋。
 
 
前哨戦を使わず、直行で乗り込んできた。
 
決して万全のローテーションとはいえない。だが、『最強牝馬』である限り、泣き言は言えない。
 
そして、課せられたものは、ただ一つ・・・・・・勝利。
 
 
 
 
3歳若駒から古馬へ・・・・・・その成長力は、牡馬が勝る。
 
もちろん、個体差はあるが、古馬になって勝っていないという現実。
 
ジェンティルドンナ『1強』の壁は、決して厚くない。燃える牡馬が集結した。
 
 
 
武豊を背に覚醒したトウケイヘイロー。
 
父ゴールドヘイロー、母ダンスクイーン。
 
父ゴールドヘイローは、サンデーサイレンス産駒としては珍しい地方・大井でデビューした馬だった。脚部難に悩まされ続け、4歳5月、8戦5勝、3着1回の競走成績を残して引退した。
 
無名に近いサンデーサイレンス産駒を父に、母ダンスクィーンは父と同じ大井で7戦1勝。
 
トウケイヘイローの誇れるものは、父の父がサンデーサイレンス・・・・・・それしかなかった。
 
 
4番人気で新馬戦を勝ち、17番人気で新潟2歳Sを7着、7番人気で3着、3番人気で1着、9番人気で朝日杯フューチュリティSを4着。
 
結果を残すことによって評価を上げていくしかなかった。

芝1400m・1600mを中心に14戦5勝、2着1回、3着1回。ダービー卿チャレンジカップで重賞初制覇も果たしたが、一流馬になりきれないトウケイヘイロー。
 
武豊に乗り替わった4歳6月、鳴尾記念が転機となった。
 
初距離・芝2000m、2番手から3コーナー先頭、逃げ切り勝ち。
 
7月、函館記念・芝2000m、2着アンコイルドに1馬身4分の3差逃げ切り重賞連勝。
 
8月、札幌記念・S馬2000m。圧巻の逃げ切り。2着アスカクリチャンに6馬身差をつけた重賞3連勝。
 
2000mの距離、『逃げ』戦法に徹することによって覚醒した。
 
 
 
6歳となった『黄金世代』エイシンフラッシュ。
 
3月、産経大阪杯3着。
 
4月には香港に渡り、クィーンエリザベス2世カップ3着。
 
10月、帰国初戦の毎日王冠。ジャスタウェイ、クラレント相手に勝利。
 
勝てば天皇賞秋連覇も、エイシンフラッシュは『やれるだけやる』、マイペースだった。
 
 
 
唯一、3歳馬の挑戦はコディーノ。
 
クラシックを獲れる逸材といわれた藤沢和雄厩舎の期待馬。
 
単勝1.3倍で臨んだ朝日杯フューチュリティS2着。ロゴタイプに敗れてから歯車が狂った、か?

皐月賞3着、藤沢厩舎・横山典弘の決別、ダービー9着。
 
秋、前哨戦の毎日王冠は7着。
 
取り巻く環境に翻弄されるように、コディーノの走りからは覇気が消えて行った。
 
 
周りがどうあろうと、自分は自分。己の走りをするだけだ!自らに言い続けるコディーノだった。
 
 
 
2歳新馬戦では2着馬を5馬身引き離し、一躍、スターダムにのし上がりかけたジャスタウェイ。
 
新馬戦以後はすべて重賞を走り、アーリントンカップで重賞制覇はあるも、NHKマイルカップ6着、ダービー11着。
 
G1制覇は遠く及ばず、他の重賞でも好走・凡走を繰り返していた。
 
 
父ハーツクライ、母シビル。馬主は『ハーツクライ大好き』というアニメ脚本家、『銀魂』で。知られる大和屋暁氏。
 
 
6月、エプソムカップで最速の上がり32秒7で2着して以来、馬が変わったように安定しだした。
 
8月、関屋記念。33秒2、最速の上がりでレッドスパーダの2着。
 
10月、毎日王冠。32秒7、最速の上がりでエイシンフラッシュの2着。

不発がなくなった爆発力。引き出すのは6戦騎乗、2勝、2着3回、相性のいい福永祐一。
 
胸に刻むのは、新馬戦、5馬身ぶっちぎった・・・・・・あの快感。
 
 
 
宝塚記念2着、ダノンバラード。オールカマー3着から覇を狙う。
 
オールカマーを勝利した上り馬はヴェルデグリーン。
 
2011年優勝馬、7歳となったトーセンジョーダン。
 
6歳、悪夢と戦い続ける『黄金世代』トゥザグローリー。
 
 
 
10月27日、天皇賞秋。
1.コディーノ
2.ナカヤマナイト
3.ダイワファルコン
4.トゥザグローリー
5.レインスティック
6.エイシンフラッシュ
7.ジャスタウェイ
8.ヒットザターゲット
9.ジェンティルドンナ
10.トーセンジョーダン
11.トウケイヘイロー
12.フラガラッハ
13.アンコイルド
14.オーシャンブルー
15.レッドスパーダ
16.ダノンバラード
17.ヴェルデグリーン
 
 
1番人気ジェンティルドンナ、2番人気トウケイヘイロー、3番人気エイシンフラッシュ。
 
4番人気コディーノ、5番人気ジャスタウェイ。
 
 
 
ジェンティルドンナが好スタートを切ったが、すぐさま先頭を奪ったのはトウケイヘイローだ。
 
躊躇なくハナを切るトウケイヘイロー。
 
3馬身差、2番手を行くジェンティルドンナ、内々からダイワファルコンが並ぶ。
 
外からはレッドスパーダ。
 
アンコイルド、ダノンバラード、コディーノが続く。
 
中団につけたトーセンジョーダン、エイシンフラッシュ。
 
 
ひと塊の先団、中団。後続はバラけた。
 
その後続を行くのがジャスタウェイ。
 
ヒットザターゲット、ヴェルデグリーンが行き、
 
最後方に並んだのがフラガラッハ、レインスティックだ。
 
 
 
1000m通過、58秒4。ハイペース。
 
 
飛ばすトウケイヘイロー。
 
3馬身の差を開いたまま、16頭を引き連れ直線に入った!
 
 
逃げるトウケイヘイローを追って迫ってきたのは、
 
やはり、ジェンティルドンナ・岩田康誠だ!
 
 
『女王』の意地。勝ちを意識して、トウケイヘイローを潰しにかかった、か!
 
 
アンコイルド・吉田隼人、コディーノ・リスポリ、好位勢も足を伸ばすが脚色が違った。
 
 
懸命に粘るトウケイヘイロー!だが、さすがに堪えたか、ハイペース。
 
武豊でハマった『逃げ』戦法、トウケイヘイローの闘争本能を駆り立てすぎた。
 
 
ジェンティルドンナが先頭に立った!
 
 
その時だ!
 
 
大外から、飛んできたのはジャスタウェイ!
 
福永祐一の唸る右ムチ!
 
 
ジェンティルドンナに並ぶ間もなく交わし去り、差を開いて行く。
 
 
負けじとムチを振るうジェンティルドンナ鞍上・岩田。
 
トウケイヘイローを早めに追いかけたハイペースが・・・・・・もう、追いかける脚は、ないッ。
 
 
後方から、ようやく3番手まで押し上げたエイシンフラッシュの追撃は完全に交わした。が、
 
 
離れて行くジャスタウェイの後姿は、ただ、見つめるだけだった。
 
 
4馬身、
 
 
圧倒的な差をつけて、ジャスタウェイはゴールした。
 
 
新馬戦の快感。日本一となるゴールで、その快感は甦った。
 
 
1着ジャスタウェイ
4馬身
2着ジェンティルドンナ
2馬身
3着エイシンフラッシュ
クビ
4着アンコイルド
1馬身4分の1
5着コディーノ
 
 
(つづく)