春のG1シリーズを締める宝塚記念。

 

オルフェーヴル、ジェンティルドンナの因縁の対決に加え、天皇賞春5着から巻き返すゴールドシップ、天皇賞春を制したフェノーメノ、競馬ファンにとって心躍る対決が見られるはずだった。

 

3月の産経大阪杯を勝ち、順調に滑り出したオルフェーヴルだったが、6月に運動誘発性肺出血を発症、宝塚記念を回避することとなった。

 

オルフェーヴルは国内戦を戦うことなく、夏には凱旋門賞をめざしてフランスへ旅立つこととなる。

 

 

 

オルフェーヴルは抜け、ジェンティルドンナ、ゴールドシップ、フェノーメノ『3強』対決となった宝塚記念。『3強』に怯んだか?11頭立てとなった。

 

 

 

 

ジャパンカップでオルフェーヴルに勝った『3冠牝馬』ジェンティルドンナ。

 

ディープインパクトの牝馬代表産駒どころか、牡馬も含めた代表産駒となる勢いだ。

 

 

古馬となった初戦はドバイ・シーマクラシックに出走。

 

イギリスを拠点に世界を駆けまわるセントニコラスアビーの2着と敗れたが、世界に実力は示した。

 

帰国後初戦となる宝塚記念。

 

海外帰りの初戦、疲れは心配されたが、ジェンティルドンナもまた凱旋門賞挑戦のプランが組まれており、ここで負けるわけにはいかなかった。

 

 

 

 

天皇賞春で自慢の大捲りが不発となったゴールドシップ。

 

神戸新聞杯から菊花賞、有馬記念、阪神大賞典、4連勝。

 

負ける気がしない自信が、一気に吹き飛ばされた。

 

ダービー以来、2度目の連対を外した2着。

 

 

思いはフェノーメノへのリベンジ。そして、オルフェーヴルを倒した牝馬ジェンティルドンナへの、強い対抗心。

 

年齢以上に白くなりつつある芦毛の馬体に、闘志が漲った。

 

 

 

 

天皇賞春で、初のG1制覇を果たしたフェノーメノ。

 

菊花賞に向かわず天皇賞秋で古馬に挑戦し、2着。

 

距離3200mの天皇賞春で念願のG1を勝ち獲った。

 

 

無尽蔵のスタミナをもつオルフェーヴル、ゴールドシップと同じく、父ステイゴールド。

 

中距離でも見せる『怪物パワー』を、フェノーメノも爆発させるか!

 

 

 

 

『3強』の牙城を潰すべく・・・・・・5歳、ディープインパクト産駒。

 

天皇賞春2着で勢いに乗るトーセンラー。

 

皐月賞、オルフェーヴルの3着は、もう遠すぎる実績か?ダノンバラード。

 

 

 

どんな相手でも、どういう状況でも、逃げて、逃げて逃げまくるのは、8歳シルポートだ。

 

 

 

6月23日、宝塚記念。

 

1.ヒットザターゲット

2.タニノエポレット

3.フェノーメノ

4.ダノンバラード

5.シルポート

6.トーセンラー

7.スマートギア

8.ナカヤマナイト

9.ローゼンケーニッヒ

10.ゴールドシップ

11.ジェンティルドンナ

 

 

1番人気ジェンティルドンナ、2番人気ゴールドシップ、3番人気フェノーメノ。

 

34番人気t-センラー、5番人気ダノンバラード。

 

 

 

好スタートを切ったジェンティルドンナだが、

 

すかさずハナを奪ったのはシルポートだ。

 

 

ドンドン、ドンドン、飛ばして行くシルポート。

 

2番手に内ダノンバラード、外ジェンティルドンナ。

 

 

正面スタンド前、場内が大きく沸いたのは、

 

いつものように後方スタートのゴールドシップが、ジェンティルドンナのすぐ後ろまで上がってきたことだ!

 

押しても、押しても動かないゴールドシップが、前を行くジェンティルドンナに襲いかかるような勢いで上がってきた。

 

 

どよめきの中を、さらにどよめかしたのは、シルポートの逃げだ。

 

2コーナーを回って10馬身、向こう正面では15馬身以上の差をつけた。

 

いままで以上の大逃げ。

 

 

これで最後のレースとわかっていたのか!8歳シルポート。

 

 

1000m通過58秒5。ただ1頭のハイペース。

 

 

2番手にダノンバラード。

 

3馬身離れてジェンティルドンナ。

 

その後ろにつけたゴールドシップだ。

 

 

トーセンラー、フェノーメノが続く。

 

後方を行くタニノエポレット、スマートギア。

 

最後方はローゼンケーニッヒだ。

 

 

 

3コーナーから後続が一斉に差を詰めにかかったが、

 

4コーナーを回ってシルポートのリードは、まだ7,8馬身あった。

 

 

直線、逃げるシルポートを追いかけるダノンバラード、ジェンティルドンナ、ゴールドシップ!

 

 

シルポートの限界が来た!

 

下がり始めたシルポート。

 

 

交わして先頭に立ったダノンバラード・川田将雅!

 

その外から、一気に伸びたのは、

 

ゴールドシップだ!

 

 

内田博幸のムチが飛ぶや、瞬時に反応した。

 

この伸び、この脚が、ゴールドシップ、お前の脚だッ!

 

 

後ろには目もくれずゴールをめざす内田博幸。

 

 

2番手になったダノンバラードが、馬体をグラつかせながらも、懸命に粘る!

 

オルフェーヴルだけじゃない!オルフェーヴル世代の意地。

 

 

ゴールドシップの一気の追い上げに、ついて行けなかったジェンティルドンナ・岩田康誠。

 

やはり、疲れか?

 

それでも、

 

脚を伸ばそうとする。

 

 

少しでも前へ、前へ!

 

ダノンバラードに並ぶところまで追い詰めた!

 

 

爆発できなかったフェノーメノ・蛯名正義も、懸命に迫った!

 

 

緊迫する2着争いを後ろに、

 

 

悠々とゴールした。

 

 

強い、強い、ゴールドシップ再び。G1『4冠』。

 

 

1着ゴールドシップ

3馬身半

2着ダノンバラード

クビ

3着ジェンティルドンナ

半馬身

4着フェノーメノ

2馬身

5着トーセンラー

 

 

ジェンティルドンナの凱旋門賞挑戦は見送られた。

 

シルポートは、その後、骨膜炎を発症、引退。宝塚記念が最後のレースとなった。

 

 

(つづく)