3歳マイル王を決めるNHKマイルカップ。
 
 
最も頂点に近い馬は外国産馬エーシントップだった。
 
6戦5勝。京王杯2歳S、シンザン記念、ニュージーランドトロフィー、重賞3勝。
 
逃げて良し、2,3番手からの抜け出しも良し、展開にとらわれない安定感。
 
何よりも重賞3勝の実績は群を抜いていた。

唯一の敗戦は朝日杯フューチュリティS。
 
2番人気も、ロゴタイプ、コディーノの争いに全く参加できずに8着だった。

マイルG1での唯一の敗戦。リベンジの場は、ここしかなかった。
 
 
 
 
デビューまだ3戦、ガイヤースヴェルト。
 
1月・新馬戦、ダート1800mでデビュー。2着馬に7馬身差の勝利。
 
2戦目、ダート500万下条件ではベストウォリアーのハナ差2着。
 
3戦目、初芝となった毎日杯でキズナの2着。
 
一躍、芝の有力馬としてクローズアップされた。
 
 
 
 
母エリモピクシーの全姉はエリザベス女王杯を勝ったエリモシック。
 
全兄リディル、半兄クラレントという良血レッドアリオン。
 
父アグネスタキオンから受け継いだ切れ味をマイルで生かすか!
 
9戦2勝、2着3回、3着2回。ニュージーランドトロフィーではエーシントップのクビ差、2着。
 
隙あらば、ズバッと差す。
 
 
 
 
皐月賞を逃げて潰れたスピード馬コパノリチャード。
 
新馬戦(芝1400m)1着、千両賞(500万下・芝1600m)2着、白梅賞(500万下・芝1600m)1着、アーリントンカップ(G3・芝1600m)1着。
 
そのスピードはマイルでこそ生かされるのか!
 
 
 
 
朝日杯フューチュリティS2着、共同通信杯2着、ゴットフリート。
 
父ローエングリン、母マチカネエンジイロ。
 
ニュージーランドトロフィー、1番人気9着の雪辱を・・・・・・。
 
 
 
 
4戦3勝、2着1回。クロフネ産駒インパルスヒーロー。
 
ファルコンSを勝ち、3連勝の勢いそのままに『マイル王』をめざす。
 
 
 
母はオークス馬シルクプリマドンナ。藤沢厩舎が送り出す良血はフラムドグロワール。
 
5戦2勝、2着1回。鞍上・横山典弘が見せるか?ベテランの味。
 
 
 
父は短距離の切れ者、高松宮記念を制したスズカフェニックス。
 
数少ない初年度産駒マイネルホウオウ。
 
父の種牡馬としての今後は、初年度産駒の活躍にかかっている。
 
懸命に走った9戦。3勝、2着2回、3着1回。皐月賞トライアル・スプリングS3着も、マイルにその可能性を求めた。
 
それが、父スズカフェニックスの望む道。
 
 
 
5月5日、NHKマイルカップ。
 
1.アットウィル
2.ザラストロ
3.ストーミングスター
4.マイネルエテルネル
5.ディアセルヴィス
6.レッドアリオン
7.ゴットフリート
8.マイネルホウオウ
9.コパノリチャード
10.ガイヤースヴェルト
11.カシノピカチュウ
12.フラムドグロワール
13.シャイニープリンス
14.ローガンサファイア
15.エーシントップ
16.サトノネプチューン
17.インパルスヒーロー
18.パクパクモグモグ
 
 
1番人気エーシントップ、2番人気ガイヤースヴェルト、3番人気レッドアリオン。
 
4番人気コパノリチャード、5番人気ゴットフリート。
 
 
 
ゲートが開いて、出遅れたのはレッドアリオンだ。
 
ゴットフリートも出負けして後方に追いやられた。
 
 
ハナを切ったのは、スピード馬コパノリチャード。
 
ガイヤースヴェルトが2番手、3番手に控えたエーシントップ。
 
人気馬が前を固めた。
 
 
一方の人気馬レッドアリオン、ゴットフリートは出遅れて、
 
最後方1,2番手。
 
 
好位に取り付くフラムドグロワール、ローガンサファイア、
 
馬群から弾かれたマイネルエテルネル。
 
外から上がるのはサトノネプチューンだ。
 
 
ひしめく馬群の後方にインパルスヒーロー。
 
後方3頭目を行くのがマイネルホウオウ。
 
 
 
3ハロン、34秒4。平均ペース。
 
人気馬の追撃に、息つく間もなくハナを切るハメとなったコパノリチャード。
 
 
果敢に4コーナーを先頭で回り、
 
直線も懸命に逃げた。
 
迫ってきたのはガイヤースヴェルト!
 
外からやってくるエーシントップ!
 
内からジリジリ伸びるのはフラムドグロワールも顔を見せる!
 
 
最後の坂を駆け上がって、粘り切ろうとするコパノリチャードが力尽きた。
 
 
先頭に立ったガイヤースヴェルト!
 
 
大外から、
 
流れを一変させた!
 
 
豪快に追い込んできたインパルスヒーロー6番人気!
 
その外から、マイネルホウオウ10番人気!
 
 
伸びあぐむエーシントップの内からエンジン全開させたのは、フラムドグロワール8番人気だ!
 
 
出遅れ、後方から突っ込むレッドアリオンだが・・・・・・届かないッ。
 
 
フラムドグロワール・横山典弘!
 
インパルスヒーロー・田中勝春!
 
マイネルホウオウ・柴田大知!
 
 
一瞬に3頭が重なった叩き合い。
 
関東3騎手の執念。
 
 
なにがなんでも勝ちたいッ!
 
騎手18年、一時は夢を失いかけた柴田大知。
 
勝ち星0を味わった2年間、5勝が最高だった7年間。
 
走る希望を与えてくれた、乗る夢を持たしてくれた『マイネル軍団』のために。
 
 
伸びてくれッ、ホウオウ!
 
 
夢中で追った柴田大知。
 
 
ゴール後、
 
何度も、何度も繰り返すガッツポーズ!
 
 
インタビュールームでは、泣きじゃくる柴田大知の姿があった。
 
 
歓喜の勝利、マイネルホウオウ。
 
見事に『マイル王』に輝いた。
 
 
1着マイネルホウオウ
クビ
2着インパルスヒーロー
クビ
3着フラムドグロワール
1馬身4分の1
4着レッドアリオン
クビ
5着ガイヤースヴェルト
 
 
1996年初騎乗。福永祐一と同期の柴田大知。
 
双子の弟・未崎(2011年騎手引退)とともにデビュー。『双子騎手』として話題を集めたが、2003年から2009年09までは不遇の時代を送り、騎乗回数を増やすため2005年からは障害競走にも出走。
 
『マイネル軍団』の岡田繁幸氏に認められ、『マイネル』の馬を数多く乗るようになり、勝ち星を積み重ねられるようになった。
 
障害、中山大障害をマイネルネオスで獲り初G1制覇。
 
そして、マイネルホウオウで平地G1を初制覇し、自身200勝目を達成。
 
 
マイネルホウオウに対する気持ち。
 
柴田大知にとって、『マイネル』の馬は宝以外の何ものでもなかった。
 
 
(つづく)