牝馬クラシック第1弾、桜花賞。
『2歳女王』を決める阪神ジュベナイルフィリーズが1着ローブティサージュ5番人気、2着クロフネサプライズ15番人気、3着レッドセシリア10番人気の大荒れ。
混戦模様といわれた牝馬クラシック戦線。
人気となったのは、15番人気で阪神ジュベナイルフィリーズを2着したクロフネサプライズだった。
父クロフネ、母アイアンブリッジ。母アイアンブリッジは地方・佐賀で13戦1勝。
さして注目される馬ではなかった。
4戦2勝、小倉2歳S9着の実績で臨んだ阪神ジュベナイルフィリーズ。2番手から粘り込んで大波乱の立役者となった。
3月、桜花賞トライアルのチューリップ賞を、武豊を背に逃げ切り勝ち。
2着ウインプリメーラに3馬身半差。
混戦桜花賞に断を下したかのような圧勝だった。
クロフネサプライズとは対照的に、後方一気の切れ味で支持を得たのがレッドオーヴァルだ。
父ディープインパクト、母コートアウト。半兄が安田記念を勝ったストロングリターン。
新馬戦から4戦連続1番人気。3戦2勝、2着1回で迎えたチューリップ賞はクロフネサプライズの7着に終わった。
1番人気とともに4戦すべて最速の上がりは、さすがにディープインパクト産駒。
根強い支持を得ていた。
父ネオユニヴァース、母ウインドインハーヘア。
ディープインパクトの半妹として話題を呼ぶトーセンソレイユ。
3歳1月デビューの新馬戦を勝利。2月、エルフィンS(オープン)をウインプリメーラに半馬身差の勝利。
2戦2勝。エリート娘による桜花賞制覇はなるのか?
フィリーズレビューを制して一躍注目されたのがメイショウマンボだ。
父は13番人気で天皇賞春を勝ったスズカマンボ。母メイショウモモカ、その母は桜花賞トライアル・4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)2着、桜花賞7着のメイショウアヤメ。
祖母と同じトライアル好走で、桜花賞出走を決めたメイショウマンボ。
祖母の成し得なかった『桜花賞制覇』。12戦未勝利で終わった母に代わって、挑戦意欲に燃える。
父は『薔薇一族』のロサード。2004年、種牡馬となったが、2010年から種付けは行われていなかった。
2010年に生まれた3頭の仔馬。その1頭、クラウンロゼの活躍により、ロサードは種牡馬として再登録されることとなった。
2歳11月、デビュー新馬戦を10番人気で勝利。
3歳になって、1月、フェアリーS(G3)も10番人気。
単勝83.3倍も見事に逃げ切り勝ち。ウキヨノカゼ、サンブルエミューズ、リュミナンスとのアタマ、ハナ、クビの大接戦を粘り切った。
3月、アネモネS(オープン)を差し切り勝ちで3連勝。
自分のため、父のための3連勝。
夢のまた夢だった『桜の舞踏会』。バラ娘が舞う。
マルセリーナ、ジェンティルドンナ、初出走から産駒が勝ち続けるディープインパクト。
レッドオーヴァルだけではない、アユサンもいる。
新馬勝ち後、アルテミスS2着、阪神ジュベナイルフィリーズ7着、チューリップ賞3着。
なんとかつかみ取った桜花賞出走。
レッドオーヴァルにミルコ・デムーロが騎乗するなら、アユサンに乗るのは弟クリスチャン・デムーロ。
阪神ジュベナイルフィリーズを勝って『2歳女王』となったローブティサージュ。
アルテミスS勝ち馬コレクターアイテム。
秘かに『桜の女王』を狙う実績馬たち。
4月7日、桜花賞。
1.ストークアンドレイ
2.サマリーズ
3.クラウンロゼ
4.サンブルエミューズ
5.ウインプリメーラ
6.ローブティサージュ
7.アユサン
8.ティズトレメンダス
9.プリンセスジャック
10.シーブリーズライフ
11.サウンドリアーナ
12.トーセンソレイユ
13.クロフネサプライズ
14.レッドオーヴァル
15.ナンシーシャイン
16.ジーニマジック
17.コレクターアイテム
18.メイショウマンボ
1番人気クロフネサプライズ、2番人気レッドオーヴァル、3番人気トーセンソレイユ。
4番人気メイショウマンボ、5番人気クラウンロゼ。
ゲートが開き、好スタートを切った内枠の馬が先頭争いにひしめいた。
その中でハナを切ったのはサマリーズ。
クラウンロゼ、ウインプリメーラ、ストークアンドレイ、ローブティサージュ、サウンドリアーナ、後続がひと塊。
外から上がりを見せたのは、クロフネサプライズだ。
メイショウマンボ、アユサンが中団。
馬群の後方に内で出足のつかなかったトーセンソレイユ、プリンセスジャック。
馬群の後方から、さらにバラけて追走するのがレッドオーヴァル。
ティズトレメンダス、ナンシーシャインと続き、
最後方から行くのはサンブルエミューズ。
朝に雨が上がり良馬場になったとはいえ、時計がかかる馬場。
3ハロン34秒8は、速いか?
3,4コーナー中間地点、外から押し上げたクロフネサプライズが2番手に上がり、
先頭を奪う勢い!
先頭に立って、直線に入ってきたクロフネサプライズ・武豊!
外から続いたのはジーニマジック・川田将雅!
その外、大外から捲ってきたメイショウマンボ・武幸四郎!
武豊、武幸四郎、兄弟対決か!
直線、17頭を引き連れゴールをめざすクロフネサプライズ!
横に、大きく広がった後続。
内から顔をのぞかせるローブティサージュ・秋山真一郎!
馬群の真ん中を割って、クロフネサプライズのすぐ外を迫ったのは、アユサンだ!
その外から、唸りを上げて末脚を発揮する、レッドオーヴァルだ!
アユサン、鞍上クリスチャン・デムーロ。
レッドオーヴァル、鞍上ミルコ・デムーロ。
デムーロ兄弟が、武豊に襲いかかる!
一溜まりもなかった!
全く並んだ2頭。
激しい兄弟対決。
後方から、14番人気プリンセスジャック・福永祐一が追い込むも・・・・・・。
クロフネサプライズに並びかけるのが、精一杯!
やはり、ディープインパクト産駒か!
アユサン、レッドオーヴァル、譲らぬ2頭の叩き合い。
7番人気アユサンが、意地を見せた!
ゴール前、わずかに伸び勝ったアユサン。
負けたくない、同じディープインパクト産駒!
兄貴に負けられないッ。
若きクリスチャン・デムーロ、渾身の力でアユサンを動かした!
クビ差、
大きな、大きなクビ差。
アユサンが弾け、飛んだ!
1着アユサン
クビ
2着レッドオーヴァル
2馬身半
3着プリンセスジャック
クビ
4着クロフネサプライズ
1馬身半
5着ローブティサージュ
(つづく)