桜花賞が終わった。

 

阪神ジュベナイルフィリーズを新馬2戦目で制した、ブエナビスタの半妹ジョワドヴィーヴル。

 

ディープインパクト2年目産駒として、牝馬クラシックを凌駕すると思われた。

 

 

ジョワドヴィーヴルは6着に敗れ、勝ったのは、同じディープインパクト産駒ジェンティルドンナだった。

 

2着にもディープ産駒ヴィルシーナ。

 

 

主役は交代したが、ますます種牡馬として凄さを見せ始めたディープインパクト。

 

 

3歳牡馬たちの精鋭が集う皐月賞でも、主役の座を狙うのは、ディープインパクト産駒だった。

 

 

 

人気こそ、ほんのわずかな差でグランデッツァに譲ったが、その名の通りスケールの大きさで圧倒するのがワールドエースだ。

 

父ディープインパクト、母マンデラ。

 

ノーザンファーム産の『大物』として、デビュー前から高く評価されたワールドエース。

 

2戦目の若駒Sこそ、重馬場、スローペースにはまり2着となったが、新馬戦、きさらぎ賞、若葉Sを、後方一気の差し脚でぶった切り勝利。

 

 

その切れ味は、父ディープインパクト彷彿させた。

 

 

 

ディープインパクト産駒だがワールドエースとは対照的に、先行脚質でクラシック候補に名を連ねたのがディープブリランテだ。

 

母ラヴアンドバブルズ。新冠町のパカパカファーム産だが、競りでノーザンファームに買い求められた逸材。

 

新馬戦を5馬身差、2戦目東京スポーツ杯2歳Sは3馬身差、圧勝で2戦2勝。

 

 

3歳になって、共同通信杯では、まさかのゴールドシップに差され2着。

 

皐月賞トライアル・スプリングSでも、グランデッツァに差され2着。

 

前に、前に行きたがるが気性がアダとなって、直線、早くに先頭に立って差される結果。

 

強敵相手に課題となったのは、過剰すぎる前向きさ、だった。

 

 

 

 

vsディープインパクト産駒、その筆頭となったのがグランデッツァだ。

 

父アグネスタキオン、母マルバイユ。桜花賞馬マルセリーナの半弟。

 

2歳時は、新馬戦2着のあと、未勝利戦、札幌2歳Sを連勝。ラジオNIKKEI杯2歳Sはアダムスピークの3着。

 

クラシック候補の一角だったが、3歳初戦のスプリングSでミルコ・デムーロ騎乗。

 

1番人気ディープブリランテに、1馬身4分の1の差をつけ勝利。

 

一躍、皐月賞有力候補となった。

 

 

 

 

父ステイゴールド、母父メジロマックイーン。

 

快進撃を見せるステイゴールド産駒。ドリームジャーニー・オルフェーヴル兄弟と・同じニックスなのが、ゴールドシップだ。

 

新馬戦・コスモス賞と連勝も、札幌2歳Sはグランデッツァの2着、ラジオNIKKEI杯2歳Sはアダムスピークの2着。

 

堅実も爆発力のなかったゴールドシップ。

 

3歳になって、共同通信杯。鞍上が地方から移籍して4年目の内田博幸に替わり、好位の内からディープブリランテを差し切った。

 

 

皐月賞で開花したオルフェーヴル、同じニックスのゴールドシップ。

 

先輩『王者』を追随できるか?

 

 

 

 

新馬勝ち2戦目でラジオNIKKEI杯2歳Sを制したアダムスピーク。

 

衝撃の勝利だった。

 

父ディープインパクト、母シンハリーズ。全妹となるのがシンハライトだ。

 

3歳、皐月賞トライアル・弥生賞に1番人気で登場も、コスモオオゾラの8着。

 

衝撃の強さは、全く見られなかった。

 

 

 

ディープインパクト産駒はきさらぎ賞3着ベールドインパクト、弥生賞3着アーデントも名を連ねた。

 

 

 

弥生賞、9番人気で制したコスモオオゾラ。

 

フロックじゃないッ。真価を証明するか!

 

 

 

4月15日、皐月賞。

 

1.モンストール

2.アダムスピーク

3.トリップ

4.メイショウカドマツ

5.アーデント

6.ディープブリランテ

7.ベールドインパクト

8.サトノギャラント

9.ワールドエース

10.スノードン

11.マイネルロブスト

12.フジマサエンペラー

13.シルバーウエイブ

14.ゴールドシップ

15.コスモオオゾラ

16.ゼロス

17.ロジメジャー

18.グランデッツァ

 

 

1番人気グランデッツァ、2番人気ワールドエース、3番人気ディープブリランテ。

 

4番人気ゴールドシップ、5番人気アダムスピーク。

 

 

グランデッツァ3.1倍、ワールドエース3.2倍、ほぼ互角といっていい人気だった。

 

 

 

晴れ、やや重馬場とはいえ、内はかなり荒れた馬場だった。

 

そ?の馬場が、どう影響するか?

 

 

ゲートを出るなり、押して押して先頭に立ったのは4番枠メイショウカドマツだ。

 

それに絡んで行ったのは16番枠ゼロス。

 

 

3番手以降の集団、その先頭がディープブリランテ。

 

口を割り、首を上げては行きたいそぶりを見せる。必死で抑える鞍上・岩田康誠。

 

これ以上、行きたがっては末が持たない。

 

 

内からアダムスピーク、外からコスモオオゾラ、

 

モンストール、トリップ、ロジメジャーがひしめく好位集団。

 

 

グランデッツァは後方4番手。

 

後方2番手にワールドエース。

 

最後方からは、ゴールドシップだ。

 

 

後方に陣取る人気馬。

 

 

 

2コーナーを回り、ドンドン後続を引き離すメイショウカドマツ、ゼロス。

 

人気馬を混乱差すか?大逃げだ。

 

 

1000m通過、やや重馬場で59秒1、ハイペース。

 

縦長になった馬群。

 

 

後方は、届くのか!

 

 

3コーナー手前、今度はゼロスが先頭に立った。

 

6馬身離れてメイショウカドマツ。

 

さらに4馬身離れて、アダムスピークが上がった。

 

4番手ディープブリランテ。

 

 

4コーナーへ向けて、内ピッタリを逃げるゼロス。

 

悪い内を避け、馬場の真ん中より外に、進挙げたを取る各馬。

 

 

アダムスピーク、メイショウカドマツ、その外に上がってきたディープブリランテ!

 

馬群の大外、中団まで押し上げたワールドエース! グランデッツァ!

 

 

 

直線、

 

馬群の内から抜け出した芦毛馬に、

 

 

場内は騒然となった。

 

わが目を疑った。

 

 

その芦毛馬は、ゴールドシップだ!

 

 

最後方にいたゴールドシップ。

 

 

なぜに?

 

のちに言われた『ワープ走法』。

 

 

 

最後方から、外を回っては届かないッ。

 

前の馬たちが、悪い内を避けて外へ行くなら、道はできる。

 

ギリギリ、悪い内との狭間。

 

『一か八か』『乾坤一擲(けんこんいってき)』、行くしかないッ!

 

 

鞍上・内田博幸が選択したイン突入!

 

馬場に脚を取られれば、おしまい。

 

 

 

最短距離をワープしたゴールドシップ。

 

無我夢中。

 

直線に入り、気づけば先頭に立っていた。

 

 

想定外の、内から抜けたゴールドシップ。

 

懸命に追いかけるディープブリランテ!コスモオオゾラ!

 

 

大外から、豪快に伸びたワールドエース・福永祐一!

 

№1を自負する切れ味。

 

 

前行く馬たちを、差し切った。

 

前方に映る芦毛は、幻でしかなかった。

 

 

ステイゴールド産駒ゴールドシップ。

 

オルフェーヴルに続く皐月賞制覇は、馬場がもたらせた『奇襲戦法』だった。

 

 

1着ゴールドシップ

2馬身半

2着ワールドエース

4分の3馬身

3着ディープブリランテ

ハナ

4着コスモオオゾラ

1馬身4分の1

5着グランデッツァ

 

 

(つづく)