3月27日、日本では高松宮記念が行われる。
その1日前、3月26日、アラブ首長国連邦・ドバイではドバイワールドカップが行われた。
1996年第1回開催と歴史は浅いが、世界最高賞金レース(現在世界最高は、2017年1月に開催されたアメリカ・ペガサスワールドカップ)として、世界から注目を浴びるレースとなった。
第1回から第14回はダート、2010年の第15回から第19回まではオールウェザー、2015年の第20回からは再びダートへと戻っている。
日本馬は1996年、第1回からライブリマウントが参加、6着。
1997年、ホクトベガ、競走中止。
1998年、キョウトシチー6着。
2000年、ワールドクリーク6着。
2001年、トゥザヴィクトリー2着、レギュラーメンバー9着。
2002年、アグネスデジタル6着、トゥザヴィクトリー11着。
2004年、アドマイヤドン8着、リージェントブラフ9着、サイレントディール12着。
2005年、アジュディミツオー6着。
2006年、カネヒキリ4着、スターキングマン7着。
2007年、ヴァーミリアン4着。
2008年、ヴァーミリアン12着。
2009年、カジノドライヴ8着。
2010年、レッドディザイア11着。
毎年のように期待馬を送り込みながら、勝てないでいる日本馬。
日本においてダート9連勝で臨んだホクトベガの涙の競走中止、予後不良もあった。
芝で活躍のトゥザヴィクトリーの2着、大健闘もあった。
しかしながら、勝ち星のなかった日本馬。
この年、第16回はオールウェザー、人工素材を使った全天候型コースということもあり、日本からブエナビスタ、ヴィクトワールピサの芝を代表する2頭、ダートを代表するトランセンドと、3頭が出走することとなった。
有馬記念は2着。『黄金世代』ヴィクトワールピサにハナ差負けたブエナビスタ。
前哨戦を使わずぶっつけとなったが、ドバイへ乗り込み鞍上にライアン・ムーアを迎えた。
有馬記念で『黄金世代』の頂点に立ち、ブエナビスタを破ったヴィクトワールピサ。
2月、中山記念を2着キャプテントゥーレに2馬身半差の完勝。
万全の状態でドバイへ。鞍上はミルコ・デムーロだ。
フェブラリーSを勝ち、『ダート王』としてワールドカップ挑戦を決めたトランセンド。
オールウェザーコースがどう影響するか?
未知の世界も、チャレンジ精神。
大舞台で高揚する心がパワーに感じたトランセンド。
鞍上はトランセンドに乗って2,2,1,1,1着の藤田伸二。
異郷の地で、『人馬一体』ぶりを見せることができるか?
3月26日、ドバイワールドカップ(オールウェザー・2000m)。
ゲートが開いて、外から猛然と先頭に立ったのはトランセンドだ。
2番手にアイルランド馬、アイリッシュダービー、アイリッシュチャンピオンSを勝ったケープブランコ。
3番手内は、アイリッシュダービー1番人気4着だったモンテロッソ。
ブエナビスタ、ヴィクトワールピサは最後方に並んだ。
14頭立て、世界の強豪13頭を引き連れて逃げるトランセンド。
2番手ケープブランコに3馬身の差をつけた。
快調に飛ばすトランセンド。
向こう正面、
最後方から一気に上昇。
ヴィクトワールピサだ!
全体のペースダウン。
デムーロは勝負をかけたか?
ヴィクトワールピサを逃げるトランセンドと離れた外、並行させて走った。
最終コーナーをめざして、後続が押し上げ先頭から最後方7馬身ほどに固まった。
直線へ。
逃げるトランセンド、ヴィクトワールピサ。
外から猛然と襲いかかろうとするケープブランコ!
トゥワイスオーヴァー!
ジオポンティ!
世界の強豪。
最内からは、モンテロッソ!
後方馬群から、なかなか外へ出せないブエナビスタ。
やはり、強いかッ!世界。
再び突き放そうとするのは、トランセンドだ!
ヴィクトワールピサだ!
世界に負けないッ!
全く譲らず、2頭で再びの逃走劇。
トランセンド、ヴィクトワールピサ、壮絶な叩き合い。
ジリジリとではあるが、迫るケープブランコ!
最内からモンテロッソ!
迫るゴール。
半馬身、
出た!
ヴィクトワールピサ!
迫るケープブランコ、モンテロッソが並び交わした。
そして、
トランセンドに迫り来た!
懸命に粘るトランセンド!
懸命に押す藤田伸二!
大歓声のなか、次々にゴールして行った。
ブエナビスタは馬群に包まれ続け、8着。
日本馬初の勝利!
ワンツーフィニッシュ!
日本人関係者歓喜の中を、
ウイニングランをしたのは、ヴィクトワールピサだ。
歴史的瞬間・・・・・・『世界一』。
1着ヴィクトワールピサ
半馬身
2着トランセンド
クビ
3着モンテロッソ
クビ
4着ケープブランコ
4分の3馬身
5着ジオポンティ
(つづく)