年の初めのG1。2月、『ダート王』をめざすフェブラリーS。

 

 

2009年・ジャパンカップダート、2010年・フェブラリーSを含むダートG1・5連勝を飾った、現役最強の『ダート王』エスポワールシチー6歳。

 

前年の11月、ダートの本場アメリカへ渡り、ブリーダーズカップ・クラシックに挑戦、10着と敗れた。

 

その疲れがとれぬままにジャパンカップダートを回避、年明けも出走態勢が整わずフェブラリーSも回避することとなった。

 

地方ダート重賞3連勝(うちG1・2勝)の中央馬スマートファルコ6歳も出走せず、現役最強とは言い難いなかでの『ダート王決定戦』ではあったが、世代交代をめざす4,5歳を中心に活力あふれる馬たちが集結した。

 

 

 

前年のジャパンカップダートを逃げ切ったトランセンド。

 

馬名トランセンドは英語で『超越する』。

 

 

3歳時は、芝・京都新聞杯9着を挟んでダート4戦4勝、3歳新設重賞レパードSを3馬身差の圧勝。

 

次世代の先鋒として注目されたが、エルムS4着、武蔵野S6着、古馬陣に完敗。

 

3歳馬同士だけの『お山の大将』ぶりが露見した。

 

 

4歳になって1,8,2,2着。本格化を見せたのは11月・みやこSを勝利してからだった。

 

続くジャパンカップダートでG1初挑戦、1番人気を背負って、見事逃げ切った。

 

本格化なった『お山の大将』。

 

『超越する』ためには、中央G1連勝。その先には『世界挑戦』が待っている。

 

 

 

長らくオープン大将だった、5歳セイクリムズン。

 

1200m・1400mのオープン上位常連だったが、霜月S勝利を皮切りにカペラS・1200m(G3)、根岸S・1400m(G3)、重賞連覇。

 

勢いに乗ってマイル・ダートG1に挑戦。

 

 

 

3歳でジャパンカップダートに挑戦。トランセンドを徹底マーク、苦しめた4着、バーディバーディ。

 

年末、東京大賞典もスマートファルコンの3着と健闘。

 

4歳古馬になって、いよいよ本格化を見せるか?

 

 

 

シンボリクリスエス産駒。3歳9月までは芝で夢を追いかけたダノンカモン5歳。

 

ダートに変わり13戦1,3,2,4,3,5,4,1,1,2,2,1,2着。

 

堅実に階段を上がってきた。

 

重賞勝ちはない。だが、付けた力は本物。

 

一歩、一歩、武蔵野S2着、根岸S2着。

 

トランセンドに肉薄するか!

 

 

 

 

7歳、気力で走る地方・船橋の英雄フリオーソ。

 

地方G1・5勝、2着9回の実績を誇り、ヴァーミリアン、カネヒキリ、エスポワールシチー、スマートファルコンと戦ってきた。

 

7歳になっても衰えることなく、1月、川崎記念を勝ち、G1制覇。

 

2007年・ジャヤパンカップダート10着、2008年・ジャパンカップダート7着も、地方馬の意地にかけて、あくなき挑戦は続く。

 

 

 

 

2月20日、フェブラリーS。

 

1.オーロマイスター

2.コスモファントム

3.ダイショウジェット

4.ライブコンサート

5.バーディバーディ

6.クリールパッション

7.ダノンカモン

8.ビクトリーテツニー

9.パワーストラグル

10.ダイシンオレンジ

11.メイショウタメトモ

12.トランセンド

13.フリオーソ

14.セイクリムズン

15.シルクメビウス

16.マチカネニホンバレ

 

 

1番人気トランセンド、2番人気セイクリムズン、3番人気フリオーソ。

 

4番人気バーディバーディ、5番人気ダノンカモン。

 

 

 

快速、逃げて本格化を迎えたトランセンド。

 

逃げるのか?

 

ゲートが開いて外枠勢が好スタート。

 

 

その中で先頭に立ったのは、トランセンドだ。

 

大外からマチカネニホンバレが並びかけた。

 

 

わずかに半馬身ほど出たトランセンドだが、ピッタリ貼り付くマチカネニホンバレ。

 

 

セイクリズムンが3番手、メイショウタメトモが続く。

 

内々から好位に上がって行くのは、バーディバーディだ。

 

 

中団にダノンカモン、クリールパッション、ライブコンサートらがひしめいた。

 

 

後方にジャパンカップダート2着、5着のシルクメビウス。

 

その外に並んだのが、地方の雄、フリオーソだ。

 

 

手綱を託されたのは、ミルコ・デムーロ。

 

 

ダイショウジェット、オーロマイスターが続き、

 

3馬身離れた最後方、末脚に賭けるのはビクトリーテツニー。

 

 

 

マチカネニホンバレ・クラストに絡まれながらも、

 

淡々と逃げるトランセンド・藤田伸二。

 

 

直線に入っても、足取りは軽かった。

 

懸命に喰らいつくのはマチカネニホンバレ。

 

 

3番手に上がってきたのはダイシンオレンジだが、

 

その外から上がってきたのは、バーディバーディ・池添謙一だ!

 

 

ジャパンカップダートで、逃げるトランセンドに喰らいついたバーディバーディ。

 

好位から、隙を窺っていた!

 

 

直線半ば、2弾ロケットを発射したトランセンド。

 

一気に突き放した!

 

これが、『超越した』力かッ!

 

 

マチカネニホンバレを交わそうとするバーディバーディ!

 

 

外からグングン伸びてきた!

 

ダノンカモンだ!

 

そして、

 

遥かに力強い脚で伸びてきた、

 

フリオーソだ!

 

 

7歳、地方馬の意地。

 

フリオーソがグングン迫り、

 

バーディバーディをとらえた!

 

 

だが、そこまでだった。

 

 

トランセンド。

 

世界へつながる勝利。

 

 

ドバイへ・・・・・・『ダート王』として、ゴールを駆け抜けた。

 

 

1着トランセンド

1馬身半

2着フリオーソ

クビ

3着バーディバーディ

1馬身4分の1

4着ダノンカモン

クビ

5着マチカネニホンバレ

 

 

フェブラリーSの勝利によって、トランセンド陣営は3月に行われるドバイワールドカップ(2000m・オールウェザーコース)に挑戦することを決めた。オールウェザーコースは芝でもダートでもない、人工素材を利用した全天候型の馬場だ。

 

日本からはヴィクトワールピサ、ブエナビスタも参戦する、世界最高賞金レース。

 

 

(つづく)