2008年、2009年とウオッカ連覇した安田記念。

 

ウオッカは引退。2着だったディープスカイ引退。

 

前年、マイルチャンピオンシップを制したカンパニーも引退。

 

 

混戦模様となった。

 

 

 

リーチザクラウン=載冠。クラシックは13着、2着、5着。

 

ジャパンカップ9着、有馬記念13着。走るほどに『載冠』から遠ざかる現実。

 

 

『伝説の新馬戦』、1着アンライバルド(皐月賞)、2着リーチザクラウン、3着ブエナビスタ(桜花賞・オークス)、4着スリーロールス(菊花賞)。

 

リーチザクラウンだけが、取り残された。

 

新馬戦のあと、未勝利戦で見せた2着馬に2.1秒、大差の逃げ切り勝ち。

 

強烈すぎたイメージが、壊れていく・・・・・・。

 

 

ブエナビスタと同じ父スペシャルウィークの良血。

 

何としてでも・・・・・・2月、フェブラリーS、ダートG1に挑戦したが、10着。

 

芝・マイルに照準を合わせて、4月、マイラーズカップ。

 

好位からトライアンフマーチ、キャプテントゥーレの追撃を振り切り、1年2カ月ぶりの勝利。

 

 

距離を縮め、逃げ脚を封印したリーチザクラウン。

 

『らしさ』を捨てて、狙うは安田記念『載冠』。

 

 

 

 

皐月賞、アンライバルドの2着、トライアンフマーチ。

 

リーチザクラウンと同じ父スペシャルウィーク。母は桜花賞馬キョウエイマーチ。

 

ダービー14着、菊花賞9着。母にならってマイル中心に路線を変えた。

 

キャピタルS(オープン)1着、東京新聞杯(G3)2着、阪急杯(G3)4着。

 

ダービー卿チャレンジトロフィー(G3)では1番人気10着も、マイラーズカップ2着で復活。

 

 

母キョウエイマーチは半弟インペリアルマーチを産んですぐ、2007年5月9日に死亡。

 

第1仔ヴィートマルシェは繁殖。第2仔ヴィートヴァンクルは登録抹消、残された競走馬はトライアンフマーチと半弟インペリアルマーチの2頭だけだった。

 

『桜花賞馬キョウエイマーチの仔』、トライアンフマーチの背負った十字架は・・・・・・重かった。

 

 

 

 

皐月賞馬キャプテントゥーレ。

 

父アグネスタキオン、母エアトゥーレ。

 

父と同じ皐月賞を制覇し、良血の重責は果たした。

 

だが、左第3手根骨骨折、1年間4カ月の休養。

 

 

復帰2戦目に朝日チャレンジカップで重賞勝ちを収めるも、天皇賞秋12着、マイルチャンピオンシップ4着。完全復活とはならない。

 

5歳になって、1月・アメリカジョキークラブカップ12着、4月・マイラーズカップ3着。

 

皐月賞馬として完全復活を宣言するためにも、何としてでも獲りたいのはG1の称号だった。

 

 

 

 

ダービー2着馬、タニノギムレット産駒スマイルジャック。

 

菊花賞16着、マイルチャンピオンシップ11着、安田記念9着、天皇賞秋11着、マイルチャンピオンシップ6着。掲示板さえ遠くなった。

 

5歳になって、3月・六甲S(オープン)1着、4月・マイラーズカップ(G2)5着。

 

スマイルジャック、あくなき挑戦は続く。

 

 

 

 

2007年、マイルチャンピオンシップ2着スーパーホーネット。

 

2005年、朝日杯フューチュリティS2着馬が、マイル界にその名を復活させた。

 

 

2008年、京王杯スプリングカップを勝ち、安田記念1番人気8着。

 

秋は、毎日王冠デウオッカに勝ち、マイルチャンピオンシップは1番人気2着。

 

2009年、マイラーズカップでカンパニーに勝ち、安田記念はウオッカの7着。

 

 

脚部不安から8カ月ぶりの復帰戦に選んだのは、2月、フェブラリーS。

 

なす術なしのエスポワールシチーの15着。

 

4月、マイラーズカップも9着惨敗。

 

 

前哨戦では必ず勝利したスーパーホーネット。

 

惜しい、惜しいままに時は過ぎて、7歳。

 

老兵は、去り場所を求めて走るのか?

 

 

 

 

父は安田記念、マイルチャンピオンシップを勝ったエアジハード。

 

その父サクラユタカオーは天皇賞馬秋の勝ち馬。

 

偉大な父、祖父を持つショウワモダン。

 

母は33戦4勝馬のユメシバイ。

 

ショウワモダンがG1を勝てば、『父仔3代G1制覇』。夢の実現。

 

 

重・不良馬場で活躍、雨要員といわれたショウワモダン。

 

39戦目にして初のG1出走。

 

4月、37戦目・ダービー卿チャレンジトロフィーで重賞初制覇。

 

5月、38戦目・メイS(オープン)勝利。

 

かつてない好調さで臨む6歳ショウワモダン。G1出走だけで、そこは夢の世界だった。

 

ショウワモダン、『夢芝居』の舞台は開く。

 

 

 

 

国際レースである安田記念。香港からの3頭の刺客。

 

香港G1馬、チャンピオンズマイル3着から参戦してきたのは5歳、ビューティーフラッシュだ。

 

そして、チャンピオンズマイル2着の8歳馬、フェローシップ。

 

チャンピオンズマイル4着、7歳サイトウィナー。

 

 

 

 

6月6日、安田記念。

 

1.リーチザクラウン

2.スマイルジャック

3.アブソリュート

4.フェローシップ

5.サイトウィナー

6.ファリダット

7.グロリアスノア

8.キャプテントゥーレ

9.スーパーホーネット

10.ビューティーフラッシュ

11.マルカシェンク

12.ライブコンサート

13.マイネルファルケ

14.マルカフェニックス

15.トライアンフマーチ

16.サンカルロ

17.ショウワモダン

18.エーシンフォワード

 

 

1番人気リーチザクラウン、2番人気トライアンフマーチ、3番人気キャプテントゥーレ。

 

4番人気ビューティーフラッシュ、5番人気スマイルジャック。

 

 

1番人気リーチザクラウン、単勝4.0倍。

 

6番人気スーパーホーネット、7番人気フェローシップ、8番人気ショウワモダン、9番人気エーシンフォワード、10番人気ファリダットまでが単勝10倍台という大混戦だった。

 

 

 

スタート!出遅れたのはマルカシェンク。

 

好スタートを切ったのは高松宮記念3着のエーシンフォワード。

 

 

マイネルファルケ、キャプテントゥーレ、トライアンフマーチが続いた。

 

 

内、ダッシュよく3番手グループを行くリーチザクラウン。

 

安藤勝己が、懸命に下げた。

 

 

香港馬フェローシップ、ビューティーフラッシュが行き、

 

ごった返す中団、後方。

 

 

サイトウイナー、スマイルジャック、ショウワモダン、サンカルロ、ライブコンサート・・・・・・ひしめき合った。

 

 

後方に構えたのはスーパーホーネット、アブソリュート。

 

最後方が、ビリーヴ産駒、前年の安田記念3着、ファリダットだ。

 

 

 

3ハロン33秒6、4ハロン44秒9、1000m通過56秒3。

 

全く淀みのないハイペース。

 

 

高速馬場、スピードなき馬は、去るのみ、か?

 

 

 

直線に入って、逃げるエーシンフォワードに襲いかかったのは、

 

トライアンフマーチ・内田博幸だ!

 

キャプテントゥーレ・横山典弘だ!

 

 

母の思いを胸に、良血2頭。

 

 

香港馬サイトウィナー・ウイリアムズも突っ込んでくる!

 

 

外から伸びてくるのは、

 

重馬場要員ショウワモダン。

 

鞍上は熱血漢・後藤浩輝。

 

 

スピード馬サクラユタカオー、エアジハードの血を繋ぐショウワモダン。

 

決して、重だけの馬じゃないッ!

 

 

渾身のムチ、それに応えるショウワモダン。

 

 

グイグイ伸びた!

 

 

夢芝居の始まりだ!

 

 

その外から、電光石火の末脚を見せたのは、

 

7歳、スーパーホーネット・藤岡佑介!

 

 

ウオッカにも、カンパニーにも勝ってきた。

 

このままじゃ終われないッ!

 

 

残る力のすべてを、四肢に込めた。

 

 

 

最内から、鋭く、鋭く伸びたのは、スマイルジャック・三浦皇成だ!

 

我慢に我慢を重ね、直線にかけた!

 

 

最後方から馬群をかき分け延びるファリダット!

 

 

粘るトライアンフマーチ、サイトウィナー!

 

 

稀に見る大混戦のゴール前。

 

 

 

真っ先に飛び込んだのは、

 

ショウワモダン。

 

 

ゴールを過ぎて、

 

 

高々と上がった後藤浩輝の右腕。

 

歓喜の雄たけびの中を、

 

 

ショウワモダンは勝利を噛みしめ、グッと首を下げた。

 

 

 

1着ショウワモダン

半馬身

2着スーパーホーネット

アタマ

3着スマイルジャック

半馬身

4着トライアンフマーチ

アタマ

5着サイトウィナー

 

 

クビ、クビ、で6着ファリダット、7着キャプテントゥーレ。

 

リーチザクラウンは馬群に揉まれ、14着と敗れた。

 

 

(つづく)