『黄金世代』を支えるすべての馬が出そろった。

 

そういえるのが、『第77回優駿競走』日本ダービーだ。

 

 

 

皐月賞馬となったヴィクトワールピサ。

 

父ネオユニヴァース、母ホワイトウォーターアフェア。半兄アサクサデンエン。

 

デビュー戦の新馬戦こそローズキングダムに敗れ2着。

 

未勝利戦・京都2歳S・ラジオNIKKEI杯2歳S・弥生賞・皐月賞、5連勝でクラシック『1冠』を制した。

 

鞍上は、武豊の落馬負傷で皐月賞から急遽手綱を取った岩田康誠。

 

 

ダービーで『2冠』をめざす・・・・・・絶対的王者にふさわしい戦績。

 

従来なら。

 

だが、この年は違った。

 

G1級の逸材が、キラ星のごとくいた。

 

 

『伝説の黄金世代』と、呼ぶ人がいる。

 

 

 

皐月賞2着、ヒルノダムール。

 

父マンハッタンカフェ、母シェアエレガンス。母父はラムタラ。

 

イギリスダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドS、凱旋門賞のヨーロッパ3大競走を4戦4勝、無傷で制覇した『神の馬』・・・・・・それがラムタラだ。

 

 

2,1,4,1,2着。若駒Sでは『超良血』ルーラーシップを破り、若葉Sではペルーサの2着。

 

重賞未勝利、派手さこそないが、確実に差してくる強靭な末脚。

 

日本で産駒の活躍はなかったが、ヨーロッパの歴史的名馬ラムタラの『血』は、ヒルノダムールの奥深いところで『魂』のごとく息づいていた。

 

デビューから乗り続ける鞍上は、藤田伸二。

 

 

 

皐月賞3着はエイシンフラッシュ。

 

父キングズベスト、母ムーンレディ。

 

父キングズベスト、その父はキングカメハメハと同じキングマンボ。

 

母ムーンレディはドイツからの輸入繁殖牝馬。18戦6勝、重賞4勝馬。

 

 

皐月賞前は、京成杯を勝ち5戦3勝、3着1回も、トライアルを使えなかったことから、皐月賞は11番人気、

人気を落としていた。

 

鞍上は、地方からJRA移籍3年目の内田博幸。

 

 

 

皐月賞4着、ローズキングダム。

 

父キングカメハメハ、母ローズバド。母父サンデーサイレンス。

 

 

『薔薇一族』の御曹司ともいえるローズキングダム=バラの王国。

 

G1・3連続2着の母ローズバドはじめ、『薔薇一族の悲願』だったG1制覇を、朝日杯フューチュリティS制覇で見事に果たした。

 

『王国』を築くべく臨んだクラシック戦線。皐月賞は、直線、伸び負けて4着と敗れた。

 

ダービーこそは、胸にあるのは、ただ一つ・・・・・・リベンジ。

 

鞍上は小牧太から後藤浩輝へと、乗り替わった。

 

 

 

 

皐月賞不出走組。当然視されるのは、皐月賞には間に合わなった上り馬。

 

だが、この年は、ダービーの主役となっても不思議でない実力馬・素質馬がいた。

 

 

 

NHKマイルカップを日本レコードで圧勝したダノンシャンティ。

 

父フジキセキ、母シャンソネット。

 

新馬戦勝利後、即、挑戦したラジオNIKKEI杯2歳Sでヴィクトワールピサの3着。

 

3歳になり、2月、共同通信杯をハンソデバンドのハナ差2着。

 

3月、毎日杯で重賞初勝利。

 

順風満帆、皐月賞を使わずNHKマイルカップを勝利して、

 

厩舎の偉大な先輩キングカメハメハと同じく、ダービーで『変則2冠』を狙う。

 

鞍上は安藤勝己。

 

 

 

関東のトップ厩舎、美浦・藤沢厩舎が送り出す逸材ペルーサ。

 

父ゼンノロブロイ、母アルゼンチンスター。

 

2007年、セレクトセールで1億円の高値で落札されたペルーサ。

 

新馬戦・500万下・若葉S、3連勝。若葉Sではヒルノダムールを破り、皐月賞有力といわれたが、ダービーに狙いは定められた。

 

藤沢厩舎に所属したシンボリクリスエス、父ゼンノロブロイと同じ、芝2400mの青葉賞からダービーへのローテーションが組まれた。

 

その青葉賞はトゥザグローリーに4馬身の差をつけ圧勝。

 

4戦4勝、負けることなど知らずにダービーへと向かうこととなった。

 

鞍上は、関東の勝負師・横山典弘だ。

 

 

 

『女帝』エアグルーヴの仔、ルーラーシップ。

 

父キングカメハメハ。半姉はアドマイヤグルーヴ、半兄フォゲッタブル。

 

サンデーレーシングの所有馬となり、募集価格は1億8000万円。

 

新馬戦から1.5倍、1.7倍、1.4倍、2.2倍、1.9倍。圧倒的1番人気。

 

1,2,1,5,1着。若駒Sではヒルノダムールに敗れ2着、毎日杯では故障発症、落馬したザタイキの影響を受け、ダノンシャンティの5着。

 

皐月賞を断念、勝つしかダービー出走権のないプリンシパルSを勝って、ダービー出走を決めた。

 

鞍上は、四位洋文だ。

 

 

 

馬名通り『栄光へ向かって』、ひた走るトゥザグローリー。

 

父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリー。母父サンデーサイレンス。

 

キャロットファームの所有馬、募集価格は1億2000万円。

 

3歳3月とデビューは遅く、新馬戦・500万下を連勝のあと、青葉賞でペルーサの2着。

 

敗れはしたが、ダービー出走権を獲得。

 

鞍上は、戸崎圭太。

 

 

 

 

どの馬が勝っても『ダービー馬』としてふさわしい実力馬たち。

 

だが、勝つのは1頭。

 

 

世代最高峰レース、ダービー。

 

『黄金世代』の頂点に立つのは?

 

 

 

(つづく)