阪神ジュベナイルフィリーズを勝ち『2歳女王』となり、桜花賞を勝って
『桜の女王』となった。
 
前年のブエナビスタと同じ歴史を刻むアパパネ。
 
 
オークス制覇・・・・・・『2冠』をめざす。
 
 
その勝ち方に、ブエナビスタほどの威圧感はない。
 
チューリップ賞では、重馬場とはいえショウリュウムーンに敗れた。

桜花賞で巻き返したとはいえ、その強さに絶対的な信頼はなかった。
 
 
父キングカメハメハ、母は外国産馬ソルティビッド。
 
母ソルティビッドは12戦3勝、2着2回。フェアリーS2着、1200m中心に走ったスプリンター。
 
母の血から来るオークス・芝2400mへの距離不安。
 
 
アパパネ『2冠』制覇には、大きな試練が立ちはだかっていた。
 
 
 
 
チューリップ賞でアパパネに勝った馬、ショウリュウムーン。
 
桜花賞は先行ペースにはまり、後方から追い上げるもアパパネの0.2秒差4着。

父はアパパネと同じキングカメハメハ。母父はダンスインザダーク。
 
ダンスインザダークの産駒には菊花賞馬ザッツザプレンティ・デルタブルースはじめ、ファストタテヤマ、フォゲッタブル、長距離で活躍した馬が名をそろえる。
 
距離延びるオークスこそ・・・・・・人気は高まった。
 
 
 
 
 
桜花賞を初の逃げの手に出て2着のオウケンサクラ。
 
父は凱旋門賞の勝ち馬バゴ。母父は長距離血統リアルシャダイ。
 
血統的には、まさに長距離こそ力発揮の場。

安藤勝己を背に、オークス2400mは、どう出る?
 
 
 
 
 
父はジャングルポケット、母はマンハッタンカフェの全妹マンハッタンフィズ。
 
誰もが認める血の強さは、アプリコットフィズ。
 
桜花賞は、アパパネと同じ位置から真っ向勝負。
 
5着に敗れた。

2戦2勝の東京コース、オークスこそ巻き返しだ。
 
 
 
 
オークストライアル・フローラSを勝ち、4戦3勝、3着1回。
 
桜花賞を狙わず、オークス一本に的を絞って待ったサンテミリオン。

秋の古馬『3冠』、天皇賞秋・ジャパンカップ、有馬記念を連覇したゼンノロブロイの初年度産駒。
 
牡馬ペルーサとともに、産駒両壁となるか?
 
 
2戦目から手綱を取る横山典弘が鞍上。桜花賞で横山典弘が鞍上となったアプリコットフィズは、四位洋文騎乗となった。
 
 
 
ゼンノロブロイ初年度産駒の勢いを示すか?
 
サンテミリオンのほか、アグネスワルツ、アニメイトバイオ、コスモネモシン、ギンザボナンザ、ニーマルオトメ、6頭もの産駒が出走した。
 
 
 
誰も想像しえなかった、競馬史上に残る大激戦。
 
人々は、歴史の証人となる。
 
 
 
5月23日、オークス。
1.コスモネモシン
2.アグネスワルツ
3.アプリコットフィズ
4.ショウリュウムーン
5.ギンザボナンザ
6.オウケンサクラ
7.ニーマルオトメ
8.プリンセスメモリー
9.モーニングフェイス
10.タガノエリザベート
11.ブルーミングアレー
12.トレノエンジェル
13.アニメイトバイオ
14.シンメイフジ
15.エーシンリターンズ
16.ステラリード
17.アパパネ
18.サンテミリオン
 
 
1番人気アパパネ、2番人気ショウリュウムーン、3番人気オウケンサクラ
 
4番人気アプリコットフィズ、5番人気サンテミリオン。
 
 
 
雨降るやや重馬場。
 
波乱の要素たっぷりにゲートは開いた。
 
 
スタートすぐにハナを切ったアグネスワルツ。
 
1コーナーまでに追い抜いて行ったのはニーマルオトメだ。
 
 
2コーナーを回って3馬身離して逃げるニーマルオトメ。
 
2番手にアグネスワルツ。
 
 
さらに3馬身遅れて、前目につけたショウリュウムーンを先頭に馬群が続いた。
 
タガノエリザベート、コスモネモシン、エイシンリターンズ。
 
 
中団前、外々を回る大外18番枠、サンテミリオン。
 
その一列後ろを行くのが、17番枠アパパネだ。
 
 
距離を心配されるアパパネ。
 
折り合いさえつけば・・・・・・鞍上・蛯名正義はアパパネの行く気に任せた。
 
 
中団、内々を行くアプリコットフィズ。
 
桜花賞で逃げたオウケンサクラは、今回は控え、中団後方。
 
 
後方から末脚に賭けるのはアニメイトバイオ、ブルーミングアレー。
 
最後方は、シンメイフジだ。
 
 
 
1000m通過60秒6。
 
やや重馬場としてはハイペースか?
 
 
気にせずドンドン逃げるニーマルオトメ。
 
3馬身の差を保ちながら、単騎逃げの形をとるアグネスワルツ。
 
 
向こう正面では、2頭と後続の差が7,8馬身と広がった。
 
ざわつき始めた場内。
 
 
2頭の大逃げか?
 
 
後続が、それを許さなかった。
 
3コーナーから、前2頭に迫った後続馬群。
 
 
一気に差を詰め、4コーナーでは一団となった!
 
 
直線に向くや、脚色の悪くなったニーマルオトメを、
 
一気に交わしたアグネスワルツ・柴田善臣。
 
 
後続をも振り切ってリードを開き、一目散にゴールをめざした!
 
 
引き離された後続。
 
 
内から抜け出し、迫ったのはアニメイトバイオ・後藤浩輝だ!
 
 
外から追い上げる、サンテミリオン、アパパネ!
 
伸び脚が違った。
 
 
最後の坂を駆け上がって、アグネスワルツをとらえた!
 
 
残り200m、
 
完全なマッチレースとなった!
 
 
ピンク帽、18番サンテミリオンがわずかに前。
 
同じピンク帽、17番アパパネが外から襲いかかる。
 
 
アパパネが並んだ!わずかに出た!
 
 
わずかクビほどなれど、
 
 
大勢は決した、か?
 
 
オークス一本に絞った。成長を促したサンテミリオン。
 
ここまで来て、アパパネに負けるわけにはいかないッ!
 
鞍上・横山典弘にとっても、まだないオークス優勝。
 
 
人馬、懸命に追った!アパパネに負けてたまるかッ。
 
 
一完歩、一完歩、差し返し始めた!サンテミリオン。
 
 
 
距離不安を乗り越え、先頭に立ったアパパネとて、
 
『2冠』がかかったレース。
 
負けるわけには、いかないッ!
 
 
アパパネ・蛯名正義、
 
サンテミリオン・横山典弘、
 
 
ぶつかり合う闘志!
 
 
馬体は並んだ!首の上げ下げ。
 
 
完全に並んだ。
 
 
そこがゴールだった。
 
 
 
長い、長い、写真判定。
 
 
まったくわからない、勝ち負け。
 
 
結果は、
 
 
1着同着だった。
 
 
アパパネ、サンテミリオン、負けられない気持ち。
 
 
ともに、負けなかった。
 
 
中央競馬、『8大競走』『G1競走』、一度としてなかった。
 
1着同着。
 
 
サンテミリオンが、アパパネが、ともにオークス馬に輝いた。
 
 
1着サンテミリオン
1着アパパネ    同着
2馬身
3着アグネスワルツ
1馬身4分の1
4着アニメイトバイオ
クビ
5着オウケンサクラ
 
 
(つづく)