有馬記念を制したドリームジャーニーは右前脚の球節に腫れをもち、天皇賞春を回避。

 

前年、皐月賞馬アンライバルドは右前浅屈腱炎で休養、ダービー馬ロジユニヴァースは体調整わず回避、菊花賞馬スリーロールスは有馬記念で右前脚浅屈腱不全断裂を発症、引退。

 

 

スターホース不在となった天皇賞春。

 

『新星』誕生!をめざして、精鋭が集結した。

 

 

 

母は『女帝』エアグルーヴ。父はダンスインザダーク。

 

『良血』を持て余したか?3歳秋まで条件馬だったフォゲッタブル。

 

 

フォゲッタブル=忘れがちな、馬ではいられないッ。

 

覚醒した。

 

 

菊花賞、スリーロールスの2着。ステイヤーズS・芝3600mを勝ち、有馬記念4着。

 

古馬になって、2月、ダイヤモンドS・芝3400mを勝ち、3000mを超える長距離重賞2勝。

 

天皇賞春・芝3200m、長距離でこそ『我が道を得た』フォゲッタブル。

 

『血の証し』を見せるか!

 

 

 

 

父ジャングルポケット、母ハヤベニコマチ。母父サンデーサイレンスのジャガーメイル。

 

競走馬としての成長が遅く、デビューは未勝利戦が終了する直前の3歳9月だった。

 

難とか走れる状態の中で、18頭立て18番手。3コーナーからの大捲り、直線も差し脚止まらず突き抜けた。

 

見る者がド胆を抜かれた『魂の走り』。

 

 

その後、2,1,8,4,1,1,1着。スクリーンヒーローに勝ってオープン入り。

 

1番人気で臨んだアルゼンチン共和国杯。勝てばジャパンカップをめざす・・・・・・、スクリーンヒーローに敗れた、2着。

 

香港に飛び、香港ヴァーズに出走。3着だった、が、『やれる』・・・・・・自信はついた。

 

 

5歳になってG1獲りに出た。天皇賞春5着、香港ヴァーズ4着。

 

甘くはなかったスターホースへの道。

 

 

6歳。競走馬にとって衰えを見せ始める年齢。

 

デビューが1年遅いジャガーメイルにとっては、発展途上。

 

 

2月、京都記念でブエナビスタの半馬身差2着。

 

2度目の天皇賞春・・・・・・スターホースへの輝く道。

 

 

 

 

未勝利脱出は7戦目。這い上がったステイゴールド産駒ジャミール。

 

2,1,2,2,1,3,1着でオープン入り。

 

初重賞、阪神大賞典でトウカイトリックの2着し、

 

初G1、天皇賞春に挑戦する。

 

究極の上り馬、それがジャミールだ。

 

 

 

 

出走馬唯一のG1馬マイネルキッツ。

 

前年の天皇賞春が、12番人気、スターホースと呼ばれることはない。

 

宝塚記念7着、ジャパンカップ8着、有馬記念5着。

 

 

やはり・・・・・・それだけは言われたくない。

 

1月、アメリカジョッキークラブカップ4着。3月、日経賞1着。

 

 

全てをかけて獲りに行く!

 

ディフェンディングチャンピオンとして。

 

 

 

 

牝馬には過酷すぎる3200m。

 

あえて挑戦する5歳牝馬メイショウベルーガ。

 

1月・日経新春杯・芝2400mを勝ち、3月・阪神大賞典・芝3000mではトウカイトリックのクビ・ハナの3着。

 

牝馬と侮るなかれ。

 

 

 

 

2006年から5年連続出走は、8歳トウカイトリック。

 

9,3,7,6着。

 

前哨戦は5年連続・阪神大賞典。2,3,4,5,1着、5年目にして勝利。

 

一泡吹かして見せるか?長距離ランナー・トウカイトリック。

 

 

 

 

5月2日、天皇賞春。

 

1.カネトシソレイユ

2.エアジパング

3.フォゲッタブル

4.メイショウドンタク

5.フィールドベア

6.トウカイトリック

7.ナムラクレセント

8.トーセンクラウン

9.メインストリーム

10.テイエムアンコール

11.ミッキーペトラ

12.ジャガーメイル

13.ジャミール

14.メイショウベルーガ
15.エアシェイディ

16.マイネルキッツ

17.ゴールデンメイン

18.ベルウッドローツェ

 

 

1番人気フォゲッタブル、2番人気ジャガーメイル、3番人気ジャミール。

 

4番人気マイネルキッツ、5番人気メイショウベルーガ。

 

 

ゲートが開いて、ハナを切ったのはミッキーペトラだ。

 

フィールドベアーが続き、外から10歳馬ゴールデンメイン、マイネルキッツが上がり、2番手グループを形成。

 

 

マイネルキッツ、決死の先行策か?

 

 

1周目、正面スタンド前に来て、飛ばす先行勢。

 

ミッキーペトラが単騎、3,4馬身開いた。

 

マイネルキッツ、やや遅れてゴールデンメイン、フィールドベアー。

 

 

さらに3馬身あとにテイエムアンコール。

 

 

さらに5馬身離れて、集団の先頭にメイショウドンタクだ。

 

 

中団、ナムラクレセントと並ぶジャガーメイル。

 

その後ろにつけたのが、フォゲッタブル。

 

さらに、メイショウベルーガが続く。

 

 

後方にトウカイトリック、エアシェイディ。

 

最後方が、ジャミールだ。

 

 

 

1000m通過60秒7、平均ペース。

 

 

向こう正面では、先頭から6番手メイショウドンタクまでがひと塊となり、

 

3馬身離れた後方集団と真っ二つに馬群が分かれた。

 

 

 

3コーナー勝負どころ。

 

真っ先に動いたのはメイショウドンタク16番人気だ!

 

鞍上・武幸四郎、一発勝負に出たか?

 

 

ドンドン上がるメイショウドンタク。

 

前で呼応したのはマイネルキッツ・松岡正海だ!

 

 

一気にミッキーペトラを交わし、先頭に立って直線に入った。

 

外から絡むメイショウドンタク。

 

 

外から先行集団をめざして上がってきたのは、ジャガーメイル。

 

 

スミヨン、ルメールと続いた外国人騎手の鞍上。

 

いま乗るのは、『豪州の名手』クレイグ・ウイリアムス。

 

 

一気に前に迫った!

 

 

後を追いかけるフォゲッタブル・内田博幸。

 

激しく動く手、だが、ジャガーメイルに取り残される。

 

 

懸命に、懸命に、脚を動かすフォゲッタブルの顔が歪んだ。

 

 

 

先頭に立って、差を開くマイネルキッツ。

 

 

めざせ!スターホースへの道。

 

自らを、鼓舞した!そして、込めた。

 

あらん限りの力を!

 

 

引き離されながらも、踏ん張るメイショウドンタク。

 

その外から、

 

突き抜けた!

 

ジャガーメイルだッ。

 

 

追い詰める!

 

 

マイネルキッツを。

 

 

弾け飛ぶジャガーメイル。

 

 

鋭く、鋭く、激しく、牙を剥いた!

 

 

ゴール寸前、

 

マイネルキッツをとらえ切った。

 

 

ジャガーメイル。

 

王道の冠、天皇賞奪取!

 

 

 

1着ジャガーメイル

4分の3馬身

2着マイネルキッツ

5馬身

3着メイショウドンタク

1馬身半

4着ナムラクレセント

2馬身半

5着エアジパング

 

 

(つづく)