5歳になってヴィクトリアマイル、安田記念を制し、牝馬のG1記録を次々と塗り替えるウオッカ。

 

 

秋、第一弾の狙いは天皇賞秋だった。

 

前年、ダイワスカーレットと2cm、ハナ差勝負で勝ったウオッカ。

 

まだシンボリクリスエスしかいない連覇へ挑む。

 

 

勝てばG1・7勝目。シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクトと並ぶJRA・G1最多タイとなる。

 

 

秋初戦は、10月、毎日王冠。前年と同じローテーションで、前年と同じ逃げとなり、前年と同じ2着だった。勝ったのはスーパーホーネットでなくカンパニーだ。

 

前哨戦は負けても、本番では勝つ!ウオッカの神髄を発揮するか。

 

 

 

 

完成しきれなかった馬、シンゲン。

 

父ホワイトマズル、母ニフティハート。母父サンデーサイレンス。

 

 

デビューは2005年12月。フサイチジャンクの15着。

 

7カ月の休養。

 

2006年は2,1着。

 

さらに6カ月半休養。

 

2007年は1,1,6,9,1,10着。

 

骨折11カ月の休養。

 

2008年、1,6着。

 

本格化したのはこの年、6歳だった。

 

2月・白富士S(オープン)1着、5月・新潟大賞典(G3)1着、6月・エプソムカップ(G3)1着。

 

9月、オールカマー、マツリダゴッホの3着。

 

 

6歳にして走り続ける喜びを知ったシンゲン。

 

相手がウオッカであろうと臆することは、ない。

 

 

 

 

菊花賞馬オウケンブルースリ。

 

古馬となって、3月、阪神大賞典7着後、腰部不安発症。

 

春G1は全休となった。

 

 

ようやく癒えた秋、10月、京都大賞典を勝利。

 

菊花賞馬の復活ぶりを見せた。

 

世代№1ディープスカイが浅屈腱炎で引退となり、残された世代の総大将として、若さを武器にウオッカに挑む。

 

 

 

 

宝塚記念で朝日杯フーチュリティS以来、2年6カ月ぶりのG1勝利を得たドリームジャーニー。

 

長かった・・・・・・。『2歳チャンプ』のままでは終われない。思いさえ、消え入りそうになる長き日々。

 

ようやく、たどり着いた『夢の旅路』の果て?

 

いやいや、夢に終わりはない!

 

 

9月、オールカマー2着。天皇賞秋制覇へ、感触はつかんだ。

 

 

 

 

8歳となった重賞7勝馬カンパニー。

 

3戦1勝のみで種牡馬となった父ミラクルアドマイヤ。孝行息子として、その種牡馬生活を支えたカンパニー。

 

G1では2007年天皇賞秋、メイショウサムソンの3着が最高。

 

善戦マンで終わってしまうのか?

 

 

前年、天皇賞秋4着、マイルチャンピオンシップ4着。

 

この年、安田記念4着、宝塚記念4着。

 

 

7歳、8歳、衰えを見せる年を重ねるにつれ、

 

なぜか、なぜか、カンパニーの中では、遠かったゴールが近くにある。

 

 

歴代、8歳のJRA・G1馬はいない。可能性ゼロの世界。

 

カンパニーは挑み続ける。

 

 

 

 

骨折休養、1年4カ月ぶりに復帰、関屋記念4着、朝日チャレンジカップ1着。皐月賞馬キャプテントゥーレ。

 

 

ジャパンカップ優勝馬スクリーンヒーロー。有馬記念5着、天皇賞春14着、宝塚記念5着、1回限りの激走だったのか?

 

 

有馬記念優勝馬マツリダゴッホ。オールカマー1着は、復活の狼煙か!

 

 

宝塚記念2着サクラメガワンダー。菊花賞馬アサクサキンウス。宝塚記念優勝馬エイシンデピュティ。

 

 

カンパニーと同じ8歳コスモバルク。海外G1馬も国内G1を・・・・・・25度目のG1挑戦。

 

 

 

 

11月1日、天皇賞秋。

 

1.コスモバルク

2.スクリーンヒーロー

3.カンパニー

4.アドマイヤフジ

5.ヤマニンキングリー

6.アサクサキングス

7.ウオッカ

8.キャプテントゥーレ

9.サクラオリオン

10.シンゲン

11.スマイルジャック

12.ドリームジャーニー

13.マツリダゴッホ

14.サクラメガワンダー

15.オウケンブルースリ

16.ホッコーパドゥシャ

17.エイシンデピュティ

18.エアシェイディ

 

 

1番人気ウオッカ、2番人気シンゲン、3番人気オウケンブルースリ。

 

4番人気ドリームジャーニー、5番人気カンパニー。

 

 

 

スタート。内枠を利して飛び出したのはスクリーンヒーローだったが、

 

外からキャプテントゥーレ、その外からエイシンデピュティが交わして行った先頭争い。

 

 

強引にハナを切ったのはエイシンデピュティだった。

 

2番手キャプテントゥーレ、スクリーンヒーローが3番手に下げた。

 

その外からはマツリダゴッホも上がった。

 

コスモバルクは内から5番手。

 

 

サクラメガワンダー、ヤマニンキングリの好位陣。

 

中団から行くのはシンゲン、内カンパニー。

 

 

後方集団にオウケンブルースリ。

 

毎日王冠とは打って変わって、後方4頭目につけたのがウオッカだ。

 

鞍上・武豊は折り合いに苦悩したか?馬群の中でウオッカを制御した。

 

 

最後方から行くのがドリームジャーニー。

 

 

 

1000m通過59秒8。平均ペース。

 

 

有力馬は後ろだろう。

 

好スタートからインのポケットに入ったスクリーンヒーロー、鞍上・北村宏司は展開利を感じ取った。

 

 

 

動かぬ隊列。

 

4コーナー、エイシンデピュティにじんわり迫るキャプテントゥーレ、マツリダゴッホを見ながら、徐々にスクリーンヒーローを外へ持っていく北村宏司。

 

 

直線、粘るエイシンデピュティ、その外から並びかけるキャプテントゥーレ。

 

 

さらに外から伸びようとするのが、スクリーンヒーローだ!

 

7番人気と人気の落ちたジャパンカップ優勝馬。

 

 

力を、力を見せてやるッ!

 

 

先頭に立とうとした、その時、

 

 

外から弾けたのが、

 

 

カンパニーだ!

 

 

ベテラン・横山典弘。

 

渾身のムチに応えて、8歳カンパニーが鋭く弾けた!

 

 

外から来るシンゲン、オウケンブルースリ、ドリームジャーニー!

 

伸び脚に破壊力はない!

 

 

内から馬群を縫うように進出。

 

グングン迫ったのは、ウオッカだ!

 

 

後方から、伸び遅れを取り戻そうと、

 

一気に伸びた!

 

 

馬群を抜け出し、内に切れ込み、スクリーヒローに並び、

 

カンパニーを追った!

 

 

カンパニーに出し抜けを喰らったスクリーンヒーロー。

 

ウオッカにも迫られ、

 

それでも、後退はできないッ。

 

 

意地で伸びた!

 

 

ウオッカ、スクリーンヒーロー、並んで追う。

 

つかまえるゾッ、カンパニー!

 

 

 

8歳カンパニー、

 

 

可能性ゼロの壁を超えろッ!

 

 

強く、強く、輝け、カンパニー!

 

 

横山典弘に応えたカンパニー。

 

 

一筋の光りとともに、ゴールを突き抜けた!

 

 

8歳、天皇賞馬カンパニー。

 

 

1着カンパニー

1馬身4分の3

2着スクリーンヒーロー

クビ

3着ウオッカ

3馬身

4着オウケンブルースリ

ハナ

5着シンゲン

 

 

(つづく)