アメリカからやってきた良血外国産馬クロフネ。

NHKマイルカップを制しダービー制覇に臨んだが、ジャングルポケットに0.7秒離された5着と敗れた。


『クロフネ襲来』ならず。


秋、G1シーズン。距離を考え、菊花賞(芝3000m)よりも天皇賞秋(芝2000m)へと目標を変更されたクロフネ。

テイエムオペラオー、メイショウドトウ・・・・・・古馬への挑戦が話題になった。


クロフネの野望を阻んだ馬がいた。アグネスデジタルだ.。

直前に、アグネスデジタルが出走を表明した。

外国産馬2頭枠。天皇賞秋に出走できる外国産馬は2頭、賞金順でメイショウドトウ、アグネスデジタル。クロフネの挑戦は、走る前に途絶えたのだ。


アグネスデジタルの天皇賞秋勝利により、『クロフネの出走を阻んだ』という非難は霧散した。


天皇賞秋前日。10月17日にクロフネは自らの走りでファンのド肝を抜いていた。

新たな『クロフネ襲来』を予感させる走り。


東京・ダート1600m・武蔵野S(G3)だった。中団から進出、4コーナーでは2番手に上がり、直線は突き放す一方、2着イーグルカフェに9馬身の差をつけた。

ゴール前では鞍上・武豊が追うことなく、1分33秒3。1992年、ナリタハヤブサが記録した1分34秒5、従来のJRAレコードを大幅に更新。


ダート界に走った衝撃、『クロフネ襲来』。


ジャパンカップダートに出走。G1で、その真価を見せることとなった。




常識を超えたクロフネの走りを見たい・・・・・・クロフネ一色となったジャパンカップダート。

世界のダート王を決める戦いであること、その主旨であることは、間違いない。


アメリカからはリドパレス、ジェネラスロッシ、ディグフォーイットが来日。フランスからキングオブタラ、ドイツからアエスクラップ、強豪が集まった。




クロフネの衝撃・・・・・・事実だが、ダート界の頂点を走り続けてきた日本馬。

クロフネ一色にはさせない!


前年のファエブラリーS、ジャパンカップダートの覇者、ウイングアロー。

春、フェブラリーS(ダート1600m)はノボトゥルーに敗れた2着だったが、距離伸びてさらに力を発揮する馬。

2100m・ジャパンカップダート。伸びる距離、さらに、6歳・27戦、歴戦で培った勝負強さ。

『クロフネ襲来』を、受け止めて見せる!



春、フェブラリーSを制したノボトゥルー。

その後、9,2,4,3,4着。勝ちはないが、鞍上はフェブラリーSで乗ったオリビエ・ペリエに戻った。

名手の手腕で復活するか!



灘S(オープン)・マーキュリーカップ(G3)・白山大賞典(G3)、3連勝中ミラクルオペラ。

本格化した4歳。若い力の勢いで歴戦の雄を打倒する。





11月24日、ジャパンカップダート。

1.ミラクルオペラ
2.ワールドクリーク
3.ノボトゥルー
4.プリエミネンス
5.ミツアキサイレンス
6.オンワードセイント
7.ディグフォーイット
8.ウイングアロー
9.クロフネ
10.ジェネラスロッシ
11.リージェントブラフ
12.アエスクラップ
13.キングオブタラ
14.リドパレス
15.レギュラーメンバー
16.ハギノハイグレイド


1番人気クロフネ、2番人気リドパレス、3番人気ウイングアロー。

4番人気ミラクルオペラ、5番人気ノボトゥルー。


単勝1.7倍、クロフネ。圧倒的人気にクロフネは応えられるのか?



アメリカのディグフォーイット、ジェネラスロッシが先頭、2番手。

外国馬ペースとなった。


3番手は外からレギュラーメンバー、内にノボトゥルーが行く。


アメリカのトップホース、リドパレスは中団前。好位置から進む。


後方に構えたミラクルオペラ、ウイングアロー。

その後ろから行くのは、クロフネ。



3コーナー手前、徐々に位置を上げるリドパレス。

後方から動いたのは、クロフネだ!


2100m、距離は長い。

スパートにはまだ早い。好位置に押し上げるだけか?


3,4コーナー。

好位へ取りついたリドパレス。すぐ後ろまで迫ってきたクロフネ。


リドパレスは、意識になかった。

上げたスピードは留まるところを知らない。わが道を行くのか?次々に前を交わした。


クロフネの超ロングスパート。


大歓声の中、4コーナーでは先頭に立って、後続を2馬身離した。


これで、直線、後続を振り切れるというのか?



クロフネを追いかけた、ノボトゥルー。ペリエがゴーサインを出した。


中団まで押し上げたミラクルオペラ、ウイングアロー。

最後の末脚で、クロフネに挑む!



猛烈に追い上げるミラクルオペラ。

ノボトゥルーを捕まえた!


そのミラクルオペラを、

ウイングアローが抜き去った!



ダート王の意地。


クロフネを・・・・・・・・・・・。




クロフネの姿は7馬身先にあった。


圧勝、悠々のゴール!


2分5秒9。前年、ウイングアローが出した記録2分7秒2を1秒3更新。



ダートの『怪物』として、『クロフネ襲来』。


1着クロフネ

2着ウイングアロー

3着ミラクルオペラ

4着ノボトゥルー

5着プリエミネンス



ダートで底知れぬ可能性を見せたクロフネは、年末に屈腱炎、発症。

競走馬引退となった。



(つづく)