春のマイル王決定戦、安田記念。

スプリント路線、高松宮記念からエントリーしたのは、キングヘイロー、ブラックホーク、トロットスター。


高松宮記念でついにG1を制したキングヘイロー。

『超良血』の重みに耐えかねた。G1奪取のために彷徨った。

皐月賞2000m、ダービー2400m、菊花賞3000m、有馬記念2500m、安田記念1600m、宝塚記念2200m、天皇賞秋2000m、マイルチャンピオンシップ1600m、スプリンターズS1200m、フェブラリーS1600m(ダート)、そして、辿り着いた高松宮記念1200m。


5月、京王杯スプリングカップは11着と惨敗。高松宮記念で燃え尽きたか?

『超良血』キングヘイローの旅は終わらない。




高松宮記念4着ブラックホーク。前年末、スプリンターズSの覇者。

スプリント連覇を狙ったが、クビ、クビ、ハナ差4着、わずかに・・・・・・執念に負けた。


マイルチャンピオンシップ3着。20戦、8勝、うちマイル5勝。実績はマイルだったブラックホーク。

京王杯スプリングカップ、スティンガーの2着。安田記念でG1・2勝目を狙う。




デビューからダート5戦2勝、2着2回。ダート好成績を捨て芝レースを走り出したトロットスター。

1200m・スプリントを中心に短距離で生き抜く術を見い出したか?

4歳暮れ、スプリンターズS7着。

5歳になり、シルクロードS2着、高松宮記念9着。


まだ勝ち負けできる器ではないかもしれない。希望だけは捨てない! 突き進む。




新馬から3連勝で阪神3歳牝馬Sを勝ったスティンガー。サンデーサイレンス牝馬産駒。

桜花賞12着、オークス4着。天皇賞秋4着、ジャパンカップ14着。


短距離路線に全力傾注。1月、京都牝馬特別1着。

5月、京王杯スプリングカップ、ブラックホークはじめG1馬・5頭をなぎ倒した。

安田記念へ、自信漲る参戦!




NHKマイルカップを制覇し、5戦4勝、2着1回。明るい将来しかなかったようなシンボリインディ。

馬房内で暴れ、故障。半年の休養が馬を変えた。

14,9,9,5着。あの強さはどこへ行った?

シンボリインディ、強さを取り戻すために・・・・・・ひたすら、走る。




前年、マイルチャンピオンシップ4着、外国産馬アドマイヤカイザー。

NHKマイルカップを勝ったイーグルカフェ。挑戦する4歳馬。

スティンガーと同期の牝馬。オークス馬ウメノファイバー、桜花賞2着・エリザベス女王杯2着フサイチエアディール。




国際レース、海外から2頭が参戦。

イギリスからやってきたのは、世界の馬主集団ゴドルフィンが所有するディクタット。

1998年、シーキングザパールが日本調教馬として初めて獲った海外G1、モーリス・ド・ギース賞を1999年に勝利。

日本にやってきた初戦は京王杯スプリングカップ。スティンガーの6着。



香港から来たフェアリーキングプローン。

香港G1を2勝している6歳セン馬。

香港ではトップマイラーの1頭ではあったが、日本での評価は低かった。





6月4日、安田記念。

1.ダイワカーリアン
2.アドマイヤカイザー
3.フサイチエアデール
4.エイシンルーデンス
5.シンボリインディ
6.スティンガー
7.ロサード
8.ブラックホーク
9.キングヘイロー
10.ディクタット
11.オースミジェット
12.フェアリーキングプローン
13.ウメノファイバー
14.レッドチリペッパー
15.トロットスター
16.イーグルカフェ
17.エイシンルバーン
18.マイネルマックス


1番人気スティンガー、2番人気ブラックホーク、3番人気キングヘイロー。

4番人気シンボリインディ、5番人気アドマイヤカイザー。



桜花賞も、オークスも、秋華賞も、距離関係なく潰れても逃げまくったエーシンルーデンス。

2枠4番、ダッシュよく先頭に立った。

追ったのはダイワカーリアン、マイネルマックス。

キングヘイローが4番手につけた。


すぐ後ろにつけたスティンガー。自信の好位策。

18番人気、最低人気のトロットスターが並ぶ。

最内にはシンボリインディ。


中団後方、じっくり溜めるのはブラックホークだ。

フェアリーキングプローン10番人気、ディクタット6番人気、外国勢2頭も溜めた。


後方につけたのは、末脚自慢アドマイヤカイザー、イーグルカフェ。

最後方は、ロサードだ。



先頭から最後方まで20馬身以上、縦長の展開。


前はどこまで粘れるのか?


流れる展開。


4コーナーめがけ後続が追い上げ、一気に馬群が詰まった。



直線、ズラーッと馬群が横に広がった。

ダイワカーリアンが先頭に立った。


外から伸びようとするのはキングヘイローだ、ステンガーだ、トロットスターだ!

内からシンボリインディ、ブラックホーク!


内外、離れた叩き合い。



高松宮記念、彷徨い彷徨って、つかんだG1。達成したかキングヘイロー。いや、終わりはない!

『超良血』の十字架・・・・・・走り続ける限り。

安田記念も、獲るッ!



短距離路線中心に蘇った『3歳女王』スティンガー。

負けられない!1番人気の意地。



一流馬に交じって、ただ懸命に食い下がるだけ。

18番人気トロットスターの走りは無欲だった。



キングヘイロー、スティンガー、トロットスター、外3頭が伸び勝った。

凄まじい叩き合い。


キングヘイローが、2頭を振りきろうとした。


その時、


キングヘイローの背中に戦慄が走った。


凄まじい気配が迫った。


スティンガー、トロットスターを葬り去り、キングヘイローに襲いかかる外国馬。


フェアリーキングプローンだッ!



実力がつかめない世界の馬。

ハマった時の凄まじさ。


キングヘイローを差し切って先頭に立った。



遅れてやって来た外国馬。


ディクタットまでが、ゴール前キングヘイローをとらえた。


外国馬ワン・ツー。


キングヘイローの野望は、世界に呑み込まれた。


1着フェアリーキングプローン

2着ディクタット

3着キングヘイロー

4着スティンガー

5着トロットスター


(つづく)