天皇賞春・秋連覇を狙ったスペシャルウィーク。
天皇賞秋は絞りに絞った－１６㌔。ダービーの頃に戻した馬体重で偉業に挑戦。
見事に連覇した。
日本馬の中の№１ホース。同世代の外国産馬エルコンドルパサー、グラスワンダーには勝てないまま。
海外で名を馳せたエルコンドルパサーは引退を表明した。もう、日本では走ることはない。
エルコンドルパサーに敗れたジャパンカップ。日本の王者として再び挑む。
そこにエルコンドルパサーの姿はない。
だが、
招待外国馬の中にあった名、モンジュー。
凱旋門賞でエルコンドルパサーを半馬身退け優勝した、ヨーロッパの英雄。８戦７勝、２着１回。
長く深い欧州の芝から短く固い日本の芝。長い輸送による疲れ。凱旋門賞そのままの強さを発揮することはなくとも・・・・・・。
スペシャルウィークにとって、モンジューとの対戦は、何よりも望むところだった。
モンジュー（フランス）だけではない。
ドイツからは、１９９８年ドイツ年度代表馬タイガーヒル、ドイチェスダービー優勝馬ボルジア。
イギリスからは、エプソムダービー覇者ハイライズを筆頭に、フルーツオブラヴ、アルボラーダ。
香港からは３７戦１５勝、７歳インディジェナス。Ｇ１実績には乏しいが、歴戦で培った勝負根性は何ものにも勝るものがあった。
スペシャルウィークはじめ、迎え撃つ日本勢。
菊花賞でクビ、クビ差の３着。アドマイヤベガ、ナリタトップロード、テイエムオペラオー、『３強』の一角を崩したラスカルスズカ。
半兄は超高速馬サイレンススズカ。
兄とは違う。だが、兄のように走りたい・・・・・・。
Ｇ１・２着、銀メダル４回、ステイゴールド。
競走中でも他馬に噛みつきに行く荒い気性。サンデーサイレンス産駒の劣等生。
勝たなくては・・・・・・、走らなくては・・・・・・、明日はない。
気を改めた、できるだけ。わがままは、出さない。
一流馬に交じって互角の勝負も可能となった。
３１戦３勝、２着１０回、３着７回。重賞未勝利、勝てないステイゴールド。
『善戦マン』は、もういらない。６歳、ステイゴールド。明日のために・・・・・・勝たねば種牡馬としての明日はない。
１１月２８日、ジャパンカップ。
１．タイガーヒル
２．ウメノファイバー
３．アンブラスモア
４．スティンガー
５．オースミブライト
６．ラスカルスズカ
７．インディジェナス
８．スエヒロコマンダー
９．アルボラーダ 出走取消
10．ステイゴールド
11．フルーツオブラヴ
12．ハイライズ
13．スペシャルウィーク
14．モンジュー
15．ボルジア
１番人気モンジュー、２番人気スペシャルウィーク、３番人気タイガーヒル。
４番人気ラスカルスズカ、５番人気ステイゴールド。
この日、フランスから戻ったエルコンドルパサーが東京競馬場で引退式を行った。
蛯名正義を背に、４コーナーからゴールまで駆け抜けたエルコンドルパサー。
その雄姿は、誰にエールを送っていたのだろうか？
６歳でようやく頭角を現した逃げ馬、アンブラスモアがハナを切った。
内からタイガーヒル、真ん中からインディジェナス、外国勢が行く。
絡むのはスティンガー。
ステイゴールド、オースミブライトが好位につけ、その後ろをラスカルスズカが行った。
平均ペース。
１，２コーナーを回り、アンブラスモアの２番手にはスティンガーが上がった。
後方５頭目、じっくり行くスペシャルウィーク・武豊。
その前にハイライズ・デットーリ。
後ろに、１番人気、凱旋門賞馬モンジュー・キネーン。
世界の名手が武豊を取り囲んだ。
淡々としたペースの中で、徐々に差を開いていったのはアンブラスモアだ。
５馬身、６馬身、７馬身、８馬身。ただ１頭で３コーナーへ向かった。
軽快に逃げるアンブラスモア。
中団からフルーツオブラヴが押し上げた。
反応したステイゴールド、タイガーヒルがアンブラスモアに急接近。
大外から先団をめがけたのは、スペシャルウィークだ！
直線に入った。
アンブラスモアを交わして先頭に立ったのはステイゴールド、インディジェナス！
場内が大興奮、大絶叫！その中を伸びてきた！ スペシャルウィークだッ！
ステイゴールドを斬り捨て先頭に立ったインディジェナス。
１２番人気も、香港、歴戦の強者（つわもの）。
スペシャルウィークが並びかけた！
激しい２頭の叩き合い。
２頭に迫ったのは、
ハイライズだ！
モンジューだッ！
世界の強豪。
勝たなくては、ここで勝たなくては・・・・・・見ているか？ エルコンドルパサー！
オレは勝つッ！
スペシャルウィークの馬体は大きく躍動、
一気にゴールを突き抜けた。
１着スペシャルウィーク
２着インディジェナス
３着ハイライズ
４着モンジュー
５着ラスカルスズカ
（つづく）