夏が過ぎて、秋のG1シリーズが始まる。

牝馬3冠目、秋華賞。

桜花賞・プリモディーネ、オークス・ウメノファイバーが載冠。


オークス3着だった桜花賞馬プリモディーネは蹄が蟻の巣状に穴があく蟻洞を発症。長期休養を余儀なくされた。


3歳女王スティンガー。トライアル抜きのぶっつけローテーで臨んだ桜花賞、12着。トライアル1着後のオークスは4着。

秋は古馬に挑むこととなった。天皇賞秋へ出走。




オークス7番人気、大外一気に勝利目前のトゥザヴィクトリーを差し切ったウメノファイバー。

オークスからぶっつけの出走となった。


オークスで見せた究極の切れ味も、フロック視される声が多かった。

それだけに、それだけに、いま一度見せたい疾風の差し脚。




あり余る素質を持てあますトゥザヴィクトリー。

サンデーサイレンス産駒の期待馬。

持ち前のスピード、前向き過ぎる気性が折り合いを欠くハメとなり、ゴール前の失速となった。

桜花賞3着、オークスはハナ差の2着。


秋華賞トライアル・ローズSは4コーナー2番手から、0.2秒差の4着。歯痒さの残るレースは春のままだった。

鞍上・武豊、策はあるのか?




同じサンデーサイレンス産駒、フサイチエアデール。

桜花賞2着、オークス・トライアル2着までは武豊騎乗だった。オークスはトゥザヴィクトリーに乗った武豊。エアデールは四位洋文が乗り、5着。

トライアル・ローズS・2着から福永祐一が乗ることとなった。

プリモディーネで桜花賞、初のG1制覇を果たした福永祐一。桜花賞1週後に落馬事故で左腎臓摘出。復帰後、迎えた初のG1。期するものがあった。


手が届きかかった桜花賞、屈辱のオークス、迎えたクラシック最後の1冠。

燃えるしかなかった、フサイチエアデール。




G1・2勝、重賞6勝。有馬記念2着、ジャパンカップ2着の『アマゾネス』。外国産牝馬ヒシアマゾンを全姉にもつヒシピナクル。

デビューから話題を集めた。

しかし、3戦目に臨んだ阪神3歳牝馬Sはスティンガーの10着。思い知らされた姉との違い。


偉大過ぎる姉。

少しでも近づきたい。


2,2,1,1,1着。秋華賞トライアル・ローズS優勝。

素質を開花させたヒシピナクル。まだまだ姉ヒシアマゾンには及ばない。


それでも、姉さんに恥じないレースは、きっとしてくるよ。




6月デビュー、4戦3勝、2着1回。クイーンSを勝ち、彗星のようにスターダムに上り詰めようとするエアザイオン。

藤沢厩舎、鞍上・岡部幸雄。

天皇賞秋へ回った同厩舎のスティンガーの代わりに栄冠をつかみ獲るか





10月24日、秋華賞。

1.メジロビクトリア
2.エイシンルーデンス
3.ゴッドインチーフ
4.フレンドリーエース
5.トゥザヴィクトリー
6.フサイチエアデール
7.ゴールドティアラ
8.レッドチリペッパー
9.ハギノスプレンダー
10.ウメノファイバー
11.エアザイオン
12.クロックワーク
13.ピサノガレー
14.マイネレジーナ
15.ヒシピナクル
16.ブゼンキャンドル
17.エフテービルサド
18.メジロサンドラ


1番人気トゥザヴィクトリー、2番人気ヒシピナクル、3番人気フサイチエアデール。

4番人気ウメノファイバー、5番人気エアザイオン。


混戦模様といわれた秋華賞。

阪神内回り2000mは先行有利とも、器用さのある馬が狙いともいわれた。

そのコース常識が・・・・・・通用するのか?



桜花賞、オークスも逃げたエイシンルーデンス。真っ先に飛び出した。

真ん中からハギノスプレンダー、外からエフテービルサドが上がって行った。


内回り2000mを意識してか、早めに好位置を取ろうと、1コーナーめがけて殺到する先団。


2コーナーを回ってエイシンルーデンスのすぐ後ろに付けたトゥザヴィクトリー。

外にはエフテービルサド、内にはメジロビクトリアが絡んだ。

ゴッドインチーフ、ハギノスプレンダー、メジロサンドラが差なく続く。

ひしめき合う中団、外にヒシピナクル。


1000m通過、58秒4、ハイペース。



向う正面。

『外々を通っては、辛い』ヒシピナクルが仕掛けた。

一気に進出。トゥザヴィクトリーの外まで押し上げた。


ウメノファイバー、エアザイオン、レッドチリペッパー、後続も仕掛ける。


激流。


かろうじて4コーナーまで粘った先団。


直線に入ると、次々と馬群に呑まれた。

トゥザヴィクトリーも、馬群に消えていった。


先頭に立ったのはヒシピナクル。

内からフサイチエアデール。

中を割って、ウメノファイバーが伸びてくる。


人気差し馬の対決か!



だが、早すぎた。


止まった伸び脚。

ヒシピナクル、ウメノファイバー、フサイチエアデール。



大外から、


伸びてきた。


12番人気ブゼンキャンドル。


続いた、10番人気クロックワーク。



激流前、後方2番手、最後方にいた2頭。


ダート2勝しか実績のないブゼンキャンドル。まだ、900万下条件の身。

トライアル・ローズS3着で出走を決めた。初めての華やかな舞台。ただ、ただ喜びの全力疾走。

気がつけば、先頭が見えたッ!



東北の地、東北牧場で生まれたクロックワーク。

デビューは3月、遅かったが新馬・山桜特別連勝。オークス・トライアル3着。

初めてのクラシック・オークスは9着に沈んだ。それでも、ラジオたんぱ賞3着、クイーンS3着、重賞でがんばってきた。

なぜに10番人気、東北生まれの馬の意地。見せてやるッ!



矢のように伸びてきたブゼンキャンドル、クロックワークが


迫り、並ぶ間もなくフサイチエアデール・・・ウメノファイバー・・・ヒシピナクルを差し切った。


馬連9万4630円、歴史に残る大波乱。



第4回秋華賞、優勝の栄冠はブゼンキャンドルに輝いた。


1着ブゼンキャンドル

2着クロックワーク

3着ヒシピナクル

4着ウメノファイバー

5着フサイチエアデール


(つづく)