第1回優勝馬タイキフォーチュンから、シーキングザパール、エルコンドルパサー、外国産馬の優勝が続くNHKマイルカップ。

外国産馬にはないクラシック出走権。皐月賞・ダービー、桜花賞・オークス、走れない鬱憤を晴らすべくG1か?

『外国産ダービー』ともいわれるようになった。




新馬戦から3連勝でデイリー杯3歳Sを制覇。朝日杯3歳Sはアドマイヤコジーンの2着。G1勝利を逃したエイシンキャメロン・アメリカ産。

3歳で完成された強さを見せ、武豊騎乗でグラスワンダーに次ぐ無敗のチャンプを狙ったが、クビ差敗れた。


4歳になり、きさらぎ賞をナリタトップロードの2着。アーリントンカップはバイオマスターの進路妨害、降着によって繰り上がり勝利。ニュージーランドトロフィーはまさかの7着敗退。

すべて1番人気だったエイシンキャメロン。見えた翳り。

『早熟』の二文字を指摘する声が沸き起こった。


デイリー杯を逃げて最速の上がり、3馬身ちぎった。負けようのない実力。甦れば・・・・・・。

自分のなかにある自尊心をかき集めたエイシンキャメロン。




エイシンキャメロンが7着に敗れたニュージーランドトロフィーを制したのがザカリヤだ。

イギリスからやってきた逸材。

的場均騎乗で4戦3勝、3着1回。

エルコンドルパサーの描いたニュージーランドトロフィー・NHKマイルカップ連勝の軌跡。

踏襲するか?




ピリリッと辛い外国産牝馬、レッドチリペッパー。

デビュー戦3着、2着のあと3連勝。クイーンカップ2着、フラワーカップ2着。

7戦中5戦が最速の上がり。鋭い切れ味で牡馬の強者に勝負を挑む。

赤い気炎を上げるレッドチリペッパー。鞍上は男・藤田伸二。




父は無敗で米3冠を制したシアトルスルー。母は米2冠のアリシーバの全妹。

良血馬マチカネキンノホシ。

新馬勝ちのあと、500万下条件戦4着、朝日杯3歳S4着、ラジオたんぱ杯3歳Sをアドマイヤベガの2着。良血の片鱗を見せた。

4歳休み明け、ニュージーランドトロフィー8着。

新馬戦から乗り続ける岡部幸雄。秘策はあるのか?




関東の雄、藤沢和雄厩舎が馬主・シンボリ牧場とタッグを組んで送り出す外国産馬はシンボリインディ。

新馬戦から3走、岡部幸雄が手綱を取り3戦2勝、2着1回。

4歳になって横山典弘が鞍上となりマーガレットS(オープン)を勝利。

1馬身4分の1、クビ、クビ・・・・・・好位からソツなくこなす勝ちっぷりは、外国産馬にしては地味。高く評価れることはなかった。


僅差で勝つ。ある意味勝ち方を知っている馬、それがシンボリインディだ。




18頭中10頭が出走してきた外国産馬。強すぎる外国産馬は、いない。

ならば、秘かに燃える内国産マイネルタンゴ。

走り続けて10戦目。


皐月賞出走、14番人気で4着。大健闘。

『外国産馬ダービー』にはさせない。




5月16日、NHKマイルカップ。

1.エイシンキャメロン
2.タイキトレジャー
3.トウカイダンディー
4.ミッキーダンス
5.シンボリインディ
6.レッドチリペッパー
7.ザカリヤ
8.サヤカ
9.バイオマスター
10.ダイイチブライト
11.マチカネキンノホシ
12.ロサード
13.マイネルタンゴ
14.フサイチミキオー
15.ジュエリーソード
16.グラスグラード
17.インターサクセス
18.ノーザンカピタン


1番人気エイシンキャメロン、2番人気ザカリヤ、3番人気レッドチリペッパー。

4番人気マチカネキンノホシ、5番人気マイネルタンゴ。


エイシンキャメロン4.8倍、ザカリヤ5.0倍、レッドチリペッパー5.2倍。混戦ぶりがわかる人気。



スタートは一団、ごった返した。

大きく出遅れたトウカイダンディー、行き脚がつかないロサード、サヤカを除いた15頭がひと塊。

僅かに制してハナに立ったのはインターサクセス。

ジュエリーソード、バイオマスター、マイネルタンゴが続いた。


内々を先行集団に取りつくエイシンキャメロン。

ザカリヤ、マチカネキンノホシは中団馬群のなか。


レッドチリペッパーは後方、外目の馬群で前を睨んだ。

ソツなく好位取り、レースセンスに上手さのあるシンボリインディは、内外に抑え込まれ馬群の後方まで追い込まれてしまった。


4歳外国産馬にとって、春、唯一のG1。

大挙出走してきた外国産馬には負けられない、ぜひ、勝ちたい思い。


激しい、激しい戦いとなった。


直線、粘る、粘るインターサクセスをとらえようと、

エイシンキャメロン、マイネルタンゴが接近。


一瞬の上がりを見せたエイシンキャメロンは失速・・・・・・やはり、早熟か!

ひと泡吹かせる内国産、マイネルタンゴが先頭に立った。


束の間、


馬群のど真ん中をぶち抜いて来たのが、ザカリヤだった。

的場均のムチに呼応して、鋭く伸びた!


内から、馬群を縫って、影のように取りついた黒鹿毛の馬。


その影は、あろうことか、内をすくってザカリヤの前に出たッ!


してやったり! 

懸命のムチを振うのは横山典弘。


グイグイ伸びた黒鹿毛は、シンボリインディだッ!

馬群後方から、激流の内をどう通ったか?


シンボリインディは忽然と視界に現れ、ザカリヤを抜き去っていった。



改めて前へ、新たな標的へ懸命の追撃を見せるザカリヤ・的場均。


後続から追い上げてきたのは、牝馬レッドチリペッパー、良血マチカネキンノホシ。

前の2頭には、及ばない!



栄光のゴールは、


シンボリインディが決めた。


影のように進出、一気に飛び出した黒い弾丸。


勝つことに長けたシンボリインディが、ザカリヤからG1勝利をもぎ取った。


1着シンボリインディ

2着ザカリヤ

3着レッドチリペッパー

4着マチカネキンノホシ

5着マイネルタンゴ


(つづく)