皐月賞優勝、ダービー2着、ジェニュイン。
皐月賞2着、ダービー優勝のタヤスツヨシとともに、初年度サンデーサイレンス産駒として、華々しいクラシックデビューを果たした。
距離的に菊花賞を諦め天皇賞秋で古馬に挑戦、2着。
2500mの有馬記念では、まさかの10着。
古馬となって輝きを失いかけた。二冠目のG1奪取のために走ったマイルG1・安田記念は4着。
天皇賞秋は14着。皐月賞以来、勝てない戦いが8戦。
もう、勝てないのか?
臨んだG1・マイルチャンピオンシップで勝利。取り戻した輝き。束の間だった。
有馬記念14着。
この年、有馬記念以来のぶっつけ、でも走るしかなかった安田記念。
慢性化する球節炎との闘い。走れる時に走る、ローテーションなどない走り。
半兄はアメリカG1・6勝のシアトリカル。アメリカ生まれの外国産馬タイキブリザード。
大いなる期待のなかで競走生活は始まった。同期の日本馬はナリタブライアン。
安田記念3着、宝塚記念2着、ジャパンカップ4着、有馬記念2着、安田記念2着。
6歳を終わって国内、16戦4勝、2着8回、3着1回、4着3回。重賞1勝。
どんな距離でも、どんな場所でも安定して走る実力馬。
G1を勝てなければ、『善戦マン』で終わってしまう。
活路を海外に求め挑戦したカナダ・BCクラシック。13着、ドンジリ負け。傷心の帰国。
7歳、もう後がない。
5月、京王杯スプリングカップを勝ち、臨む安田記念。
『勝ち』しか考えない。
同じ『タイキ』の5歳外国産馬タイキフォーチュン。
4歳馬のマイルG1として生まれた第1回NHKマイルカップ。
18頭中14頭が外国産馬という外国産馬のオールスター戦。1分32秒6、好タイムで勝ち上がった。
そのまま、勝ちを忘れたG1馬。
マイルで復活を誓う。
新馬戦から5戦4勝の、4歳外国産馬スピードワールド。
4歳にして、ほぼ白い芦毛馬。
NHKマイルカップは捻挫で出走ならず。無念を古馬相手の安田記念にぶつける。
勝算は、あり!
2年連続スプリンターズS2着、高松宮杯2着。
スプリントのシルバーメダル・コレクター、ビコーペガサス。
彼もまた、善戦マン。
5月、高松宮杯10着。メダルも遠くなった。
悲しき7歳と、なりたくないッ! 思いは果てしなく・・・・・・。
国際競走として、フランスからアマジックマンも出走。
武豊が手綱を取った。
6月8日、安田記念。
1.ショウリノメガミ
2.オースミマックス
3.ロイヤルスズカ
4.スギノハヤカゼ
5.マサラッキ
6.クラウンシチー
7.スピードワールド
8.タイキフォーチュン
9.アマジックマン
10.タイキブリザード
11.ビートパッション
12.ヤマニンパラダイス
13.チアズサイレンス
14.エイシンバーリン
15.ヒシアケボノ
16.ジェニュイン
17.ナムラホームズ
18.ビコーペガサス
1番人気タイキブリザード、2番人気タイキフォーチュン、3番人気スピードワールド。
4番人気アマジックマン、5番人気ジェニュイン。
1200m・スプリントで日本レコードを出したエイシンバーリンが飛び出した。
追いかけるのはマサラッキ、ヒシアケボノ。続くチアズサイレンス、スギノハヤカゼ。
高松宮杯、スプリント決戦のメンバーがどんどん前を行く展開。
ジェニュインが先行勢のすぐ後ろについた。
タイキブリザード、ビコーペガサスが中団。
タイキフォーチュンもすぐ後を追う。
後方に控えたのはアマジックマン、ナムラホームズ、ひと際白い馬体が目立つスピードワールドだ。
流れるような淀みないペースのなか、直線に入って抜け出してきたのはマサラッキ、ヒシアケボノ、スギノハヤカゼ。
スプリンターたち。
騒然とする場内。
最後の坂を駆け上がって、満を持して伸びてきた。
ジェニュインだッ!
その外から、タイキブリザード!
スプリンターに負けない!
力強い伸び脚。
スピードワールド、4歳若駒も突っ込んできた!
白い馬体が躍った。
最後の最後、ここからが勝負だ!
負けられないッ!
2着は、もういらない・・・・・・タイキブリザードが伸びる。
もっと、もっと、輝くんだ。ぶっつけでも、走れる時に走る。一戦一戦に、いまある戦いに、全力!
ジェニュインが弾けた。
スピードワールドを斬り捨てた2頭。
魂の戦い。
クビ差、
栄光をつかんだのは、
『善戦マン』返上、タイキブリザードだった!
1着タイキブリザード
2着ジェニュイン
3着スピードワールド
4着アマジックマン
5着ナムラホームズ
(つづく)