清宮・早稲田実、オコエ・関東一。

マスコミで騒がれ続けた両校を打ち破り、決勝へ進出した仙台育英、東海大相模。


大会前からいわれてきた優勝候補。


強力打線とプロが狙う小笠原、吉田、投手の二枚看板をもつ東海大相模。

強力打線と好投手・佐藤世那を擁して勝抜いてきた仙台育英。


夏の甲子園で問題視される投手の連投。疲労度では、明らかに優位だった東海大相模。


序盤から現れた。

佐藤世那君の伸びを欠いたストレートを打ち込んだ東海大相模。4回までに6点を奪った。

仙台育英打線も3回に3点を獲って応酬。



3対6。やはり、『白河の関は越えられないのか』、そんな思いが走った。


100年の高校野球(中等野球)の歴史。

第1回大会で秋田中が決勝で敗れて以来、東北勢の決勝出場7度、すべて準優勝。


『悲願』、オレたちの手で・・・・・・。優勝を意識して甲子園にやってきた仙台育英。

花巻東、秋田商、奇しくも東北校同士の対戦で勝ち上がってきた仙台育英。

彼たちは、打ち砕いてきた東北の強豪選手たちの熱い思いも背負っている。


『オレたちの代わりに、東北に深紅の優勝旗を・・・・・・』


熱い、熱い、思い。



疲労のため、伸びないストレート、通用しない。苦しいピッチングの佐藤世那君。

このまま打たれ続けるわけには、いかないッ。

130㌔フォークを多投した。投げ続けると、握力を極端に失くすと言われるフォーク。


でも、抑えるためには、もう、点はやれない。


踏ん張る佐藤世那君。



思いは、味方の打球に乗り移った。


6回裏、2アウト満塁。佐藤将太君が小笠原君の剛球に喰らいついた、ファール。変化球にも空振りはしないッ、ファール。

粘って、粘って、負けてたまるかッ!


ついにとらえた。走者一掃、同点3塁打。



甲子園球場がどよめいた。



どこからともなく沸き起こった、球場全体を包む拍手の大エール。



7回、8回、踏ん張る佐藤世那君。


東海大相模・小笠原君も、一人で投げ抜く。

吉田君とともに戦ってきた甲子園。決勝は、エースナンバー『1』の意地で投げ抜く。

同点とされた。だが、勝ち越し点はやらない!



9回表、9番・小笠原君。佐藤世那君の投げたフォークが高めに浮いた。すっぽ抜けた。

一瞬、指から抜けた握力のせいだろう。


振り抜いた打球は・・・・・・ライトスタンドに飛び込んだ。



東海大相模の歓喜、動揺した仙台育英。

あれよ、あれよという間に、3点追加。


10対6。東海大相模に深紅の優勝旗が渡った。



おめでとう、東海大相模。


よくがんばった、仙台育英。



やはり、甲子園は素晴らしい。


決着はつく。どちらも優勝なんて、できない。


でも、


でも、


断言しよう。



甲子園球場の観客からの、


テレビに見入ったファンからの、


『栄冠』は・・・・・・君たちに輝く。



東海大相模、仙台育英、両校選手。


素晴らしい熱戦、ありがとう!